仲多度・善通寺支部メディア教育部会活動報告

1 はじめに
 本年度から,視聴覚教育部会と情報教育部会が合併したメディア教育部会が発足した。研究の方向性をどうすべきか,模索段階にある中,本郡市では,現時点での学校内で活用されている視聴覚機器を含む情報機器の導入状況の把握から進めていくことにした。各学校の生徒やメディア機器の実態はさまざまであり,研究の方向性を絞ることは難しいため幅広い研究主題を立て,学校での実践を検討していくことにした。
 そこで,情報教育と視聴覚教育の両面で各学校の実態に応じた実践例を持ち寄り,実践発表や研究討議を通して学校教育におけるメディア教育の在り方を検討した。 
2 研究の過程
  1.  第1回 平成18年5月 1日(火)
    「組織作りと研究テーマ設定」
    (善通寺市立西中学校)
  2.  第2回 平成18年7月28日(金)
    「各校の実践報告及び研究討議」
    「チャット体験ソフトの紹介と模擬授業」
    (まんのう町立満濃中学校)
3 研究の内容
  1. 各校における実践報告
    1. 善通寺市立西中学校
      • 技術科での2,3年で,文書処理,図形処理,表計算処理,プレゼンテーションソフトウェアの基本操作を学習。
      • 学校行事などの記録をデジタルカメラで撮影し,そのデータでプレゼンテーションを作成し学年PTA,生徒会による小学校6年生対象の学校紹介,各種掲示物で利用。
    2. 善通寺市立東中学校・ VTRによるビジュアル教育の推進。
      • 全校集会の場で,講話だけでなくビデオカメラで収録した生徒の生活状況をプロジェクターで見せることで,集会に集中させる工夫をしている。
      • 学校通信をA3板裏表印刷し画像で伝えている。内容は,朝のあいさつ,給食,清掃,授業,部活動など日々の活動の良い面をほぼすべてである。    
    3. まんのう町立満濃中学校
      • 技術科の授業1年〜3年,選択科目すべての授業に渡って,コンピュータの基礎を学習するとともにものづくりでもインターネットによる資料集めや作図などで利用する。
      • 第2学年で,総合の時間で職業についての調べ学習を行う。「職業調べナビ」を利用し,自分の将来の生き方について,将来の見通しを持たせる。
      • 第3学年で,総合の時間で「平和学習」をテーマに沖縄での修学旅行の学習成果をプレゼンテーションとして作成,発表。   
    4. まんのう町立琴南中学校
      • 視聴覚機材と保管場所,管理責任者が明確に決められており,効率よく機器を利用できる環境が整えられている。授業では,社会科,英語科,理科,美術科,音楽科で活用している。
      • 情報機器においてもパソコン室の使用規定が設けられており,授業,調べ学習,教材研究,掲示物作成などに効率よくしている。また,教職員のパソコン研修も行っている。  
    5. 琴平町立琴平中学校
      • 国語科,社会科では,普通教室でプロジェクターを利用し,説明文をイメージ化し視覚に訴え生徒の興味・関心を高めたり,考える作業をしやすくしたりした。
      • 理科では,専用のシュミレーションソフトを利用し天体の日周運動の理解を深めていく手助けとした。
      • 英語科では,楽しみながら外国の生徒と情報交換する授業を行っている。
      • 美術科,技術科でもプロジェクターを用いて「心の中のイメージ」やデジタルコンテンツの利用により,視覚に訴える授業展開を行い,興味・関心,理解を深めた。
      • 道徳の授業で情報モラルとして「ネット社会の影を考えよう」という授業でネットコミュニケーションの危険性を学習した。  
    6. 多度津町立多度津中学校
      • 選択数学の授業で,数学のパズル学で「タングラム」「ハノイの塔」を考えるためにコンピュータを利用した。興味関心が高まり,思考力も養えた。
      • 講話や地区懇談会で活動状況を映像で保護者に紹介したり,校長講話で映像を使った心にしみいる童話の紹介をしたりした。
      • 技術科の2,3年でソフトウェアの利用において操作の基本学習をした。
      • コンピュータ部で,ペイント,ミュージック・プロの利用。
      • 成績交換には,USBメモリーを利用している。   
  2. チャット体験ソフトの紹介と模擬授業
    1. 研修の目的   生徒,さらに教員にとってもインターネットを活用したネットワークコミュニティの学習が不可欠の時代である。特に,情報通信ネットワーク社会に抵抗なく入り込んでしまう生徒に対しては,その便利な機能や操作面の知識だけでなく,マナーや危険性を理解させることが重要である。
    2. 模擬授業の流れ
      1. チャットの基本操作を知る。
      2. チャットのマナーを知る。
        • 個人的な情報は漏らさない。
        • 人を傷つけるような内容は書かない。
        • 意味のないことを繰り返し書かない。
      3. 上記の点に注意しながら実践する。気になる発言等があれば,その都度指導をする。
      4. 操作して,見つかった課題を発表する。
      5. 部屋の移動方法を知り,さらに内容が深まるように工夫しながら実践する。
      6. 感想を発表する。
      7. チャットの危険性について知る。
        • 不特定多数の人が見ることを意識する。
        • 文字だけで表情や細かいニュアンスが伝わらないので誤解を招くおそれがある。また,文字は記録として残るので,一度発言した内容は消えないという意識を持つ。
        • 無防備な中学生への悪意ある接触者がいるということを知る。
4 成果と課題
 メディア機器の利用場面は非常に多くなった。デジタルカメラやビデオカメラは,学校行事,部活動,授業などで欠かせないものとなっており,その編集手段としてコンピュータが使われ,伝達方法として,印刷物・プロジェクターがある。各校の実践報告でもこれらを積極的に利用している学校がほとんどで生徒や保護者に学校の伝えたいものを具現化する貴重な手段となっている。反面,メディア機器導入状況に学校間の差があり,各校独自で現状のものをいかに有効に活用していくかが課題となる。
 また,情報通信技術や機器の発展と同時に情報モラルや危険性についても高度な指導が必要となってくる。教員にも指導技術のレベルアップのための研修・研究が責務となることを意識し,本部会が先導的役割を果たす必要があると考えている。