日本人の「差別意識」を抉り出し、それに向き合い、どうするのがいいのかを考える具体的な資料とその利用方法を以下に紹介します。
(※コメント※は、私が実際に生徒に投げかけた質問や意見です。)
私達「日本国民」は「在日」外国人とどうかかわるべきか。
| @種々の資料をもとに、「在日」外国人の様子とその願いを理解させる。 A「在日」外国人など、他者とどうかかわるか、それを真剣に考えることが人間尊重」そのものであることを理解させる。 |
@ 現在の「在日」外国人の数を説明する。
A 「在日」外国人の中でいちばん多いのが韓国人・朝鮮人であることを確認。
Q.何故多いのか?
A.日本の身勝手な植民地政策、戦争中の強制連行によることを確認。
《資料 1》外国人登録100万人超す−法務省発表
総数 107万5317人(日本総人口の0.87%) |
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国籍・出身地別 |
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韓国・朝鮮 |
68万7940人(構成比64 %) |
中国(台湾・香港を含む) |
15万 339人( 14 %) |
ブラジル |
5万6429人( 5.2%) |
フィリピン |
4万9092人( 4.6%) |
米国 |
3万8364人( 3.6%) |
(朝日新聞1991.10.14)
参考−1987年12月現在の韓国・朝鮮の外国人登録数は67万3787人
1991年における日本人の出国者数と外国人の入国者数
(観光や商売など)
出国者数1063万人
1位 アメリカ356万人
2位 韓国137万人
3位 香港94万人
入国者数386万人
1位 韓国108万人
2位 台湾69万人
3位 アメリカ55万人
B現在日本で活躍する「在日」韓国人を紹介。
《資料 2》京都府峰山町の初代名誉町民−韓昌祐(ハン チャンウ)さん
人口約1万4千人余りの峰山町が町村合併40周年を期に設けた制度で、模範企業の経営と地域文化への貢献」を理由に名誉町民に選ばれたのだ。「夢とロマンと希望を持ち続けることが目的達成のカギ」。この言葉を胸に戦後の50年を歩んできた。経営するパチンコ店37店の売上高は年間で約1440億円。業界では「パチンコ王」とも称されているという。 終戦の1945年、東京の親類を頼って14歳で来日した。法政大学経済学部に進学し、トップクラスの成績で卒業したという。 しかし、就職試験はどこも不採用で、やむなく峰山町で義兄が経営するパチンコ店を手伝った。貯金ができ、57年5月に峰山町で名曲喫茶を開店した。二階はレストラン、地下はクラブに。夏場には屋上でビアガーデンを開き、懸命に働いた。翌年、遊技機20台の小さなパチンコ店を開いた。 当時は丹後ちりめんの好況期で、店はよくはやり、次々に事業を拡大した。現在は、ゲームセンター、ゴルフ練習場、ボウリング場、スーパーマーケットなども経営する。約1200人の社員には「奉仕の精神」を説く。 文部省認可の財団法人韓国文化研究振興財団理事長を務め、韓国文化の研究に力を入れている。72年紺綬褒賞を受けた。 韓国政府からも今年2月、国民勲章「無窮花章」を受章している。「経営は順調です。もうけた金はできるだけ社会に還元するのをモットーにしています」 (朝日新聞1995.6.11) |
C 日本における韓国人・朝鮮人差別の事例をあげさせる。
ノートや靴などへの落書き、チマチョゴリを切り裂く事件、それが不当なものであることを再確認させる。
コメント このような卑劣な差別だけでなく、別な種類の「差別」があるといわれている。
D「国民体育大会」に「在日」外国人を参加させるべきかどうか。
《資料 3の@》スポーツ界の国籍条項をめぐる主な動き
1981年 滋賀国体で、日本の高校に在籍する外国籍の生徒の参加が認められる。 1988年 冬季国体のスケート・アイスホッケー競技会(群馬)で、日本の中学校 に在籍する外国籍の生徒の参加が認められる。 1990年 福岡国体で、日本の大学に在籍する外国籍の学生(留学生を除く)の参 加が認められる。 1991年 日本高校野球連盟が外国人学校の大会参加を認める。 1993年 全国高校体育連盟が、94年度から全国高校総合体育大会への外国人学 校や専修学校の参加を認める。 1994年 広島県高校体育連盟が広島朝鮮中高級学校の「準加盟」を承認。 1995年 大阪府が、選手の参加資格を原則として「日本国籍を有する者」とする 「国籍条項」の撤廃を求める報告書をまとめる。 1997年の「なみはや国体」から変えるよう日本体育協会などに要望する予定。 |
コメント
徐々に「国籍条項」を緩めようという方向に動いている。
でもそれでいいのだろうか?
E賛成論と反対論の紹介。討論。
《資料 3のA》国体に外国人を参加させることの是非
賛成論→「大阪は在日韓国・朝鮮人が最も多い。大阪で国体を成功させるには、外国籍府民の協力が不可欠」
「在日外国人にも国民年金、国民健康保険が適用されており、日本に定住している人も、『国民』に含む場合が増えている。国体の国籍条項の撤廃も自然な流れ」
反対論→「国籍条項は国体の憲法のようなもの」
「国体は名称の通り、日本国民つまり日本国籍を持つ人による大会。それを変えれば、もはや『国体』ではなくなる。国体以外の大会に外国人がどんどん参加している。国体ぐらいはそのままでいい」
「韓国にも日本の国体と似た大会があり、毎年、日本に住む韓国籍の選手など百数十人が参加している。大韓体育会によると、参加資格は原則として韓国籍。だから、日本側だけ門戸を開くのは、相互主義の観点からおかしい」
(朝日新聞1995.6.24)
コメント 例えば、盲学校の運動会に鴨川中学校の生徒が参加したいとしたらどうするか。
(実は私は現在盲学校に勤務しています。5年目になります。生徒は全校で70名前後、中学部の生徒は10名前後です。鴨川中学は交流相手校で、生徒は800名前後います。)
もし、彼らが参加するとしたら盲学校より多数であり、一体どこの学校の運動会か分からなくなるのではないだろうか。それを見に来る保護者の数でも盲学校より上になるだろう。それでもいいのか。
(これに対して授業を受けていた二人の生徒は「それでいい」と言いました)
Fこの問題を深めるための資料
《資料 3のB》 ギタヒ(仙台育英高校)高校新V 男子5千
陸上の男子5千メートルで、ジュリアス・ギタヒ(宮城・仙台育英)が自分の持つ高校記録を大幅に更新する13分37秒28で圧勝。この種目は、3年続けて、ケニアからの留学生が制した。
@ジュリアス・ギタヒ(宮城・仙台育英)13分37秒28=高校新、大会新 A古田(静岡・浜松商)14分11秒12 B前田(兵庫・西脇工)14分17秒07 ◎「13分、よっ、40秒を切るペースであります」。 圧倒的にリードして4000メートルを10分58秒。 場内アナウンスも興奮して口がまわらなくなった。 メーンスタンドを通過するたびに拍手がわく。仙台育英のギタヒ。 心躍るスピードだった。 必死の古田にぴったりと食いつかれた。 それも3200メートルまで。 「ちょっと思い描いていたペースより遅かったので修正した」。 その後はもう独壇場だ。 日の出と共に起きるという。 10キロほど、ひとっ走りして朝食をとる。 走る事が生活の一部。妥協がない。 前日の予選でも力を抜かず、13分56秒39の大会新を出した。 自分の走るリズムを大切にしている。 ケニアの首都ナイロビから約150キロのケルゴヤ村が故郷だ。 中学校まで片道約10キロ。お昼には1度家に帰って食事をとり、 また登校した。その上、高地。鍛え方が違う。 練習内容を尋ねた古田は仰天した。「1週間に100キロ。 一日に多いときで30キロだって。僕は1週間で30キロ」 負ける気がしないのだろう。レース前もリラックス。 この日もアフリカの「ニューミュージック」を頭を振り振り、 ヘッドホンで聞いていた。 駅伝に続き、一般種目も来年度から留学生の出場人数が 制限される見通し。強い留学生が批判的な目でみられる事も多い。 レース後、一人ひとりと握手したギタヒ。 「彼は本当にいい目標です」。古田が言い切った。 |
(朝日新聞1995.8.5)
コメント ギタヒもすごいが、古田もすっきりさわやかな発言だ。
こういう人間関係はすてきだ。強くなろうとして自分を鍛える、つまり自分を向上させようとする。
それがスポーツの一番の目的だし、ある意味で人生の目的でもある。そのためには国籍なんか関係ない、と言える。
コメント 次の問題はスポーツほど簡単ではない。
参政権を与えるかどうかという重大な問題。
G「在日」外国人に「参政権」を認めるかどうか。
《資料 4の@》外国人参政権
今夏の参院選挙大阪選挙区に、在日朝鮮人で関西大学講師の
リ・ヨンファ(李英和 37歳 大阪府堺市在住)が立候補の
届出をする。公選法では、日本国籍がなければ被選挙権はなく、
届出は受理されないのは確実だが、
「日本に住む外国人に参政権を」と、選挙期間中、運動を展開する。
リさんは、堺市生まれの三世。大学では、発展途上国の
経済開発などを教えている。
選挙のシーズンになると電話がかかり、
「私は朝鮮人だから」と説明しても「かまわないから投票して」と
依頼されることが度々あった。
「日本人は、外国人には投票権がないことすら知らない」。
そう感じ、外国人の参政権を訴えるため立候補を決意した。
ヨーロッパの多くの国では、一定期間在住した外国人にも
地方自治体選挙の参政権を認めている。また、福井県で在日韓国人が
地方選挙の参政権を求める裁判を起こすなど、
地方政治から外国人の政治的権利を求める動きがある。
これに対し、リさんは「私の考えでは、民主主義は権利を
切り売りするものじゃない。国政選挙の被選挙権まで
同等のものを」と、あえて参院選に“立候補”する事にした。
公約は、定住外国人の参政権の他、外国人の指紋押捺制度の全廃、
民族差別や女性差別反対、など。
選挙事務所を構えて遊説し、「もし立候補していたら投票していた」
という署名を集める。
リさんが出馬宣言をした「外登法・入管法と民族差別を撃つ
全国研究交流集会」の討論会には、弁護士やフランス人の
大学講師らが出席。
「市民、住民として、定住外国人にも参政権を与えるべき」
「EC統合を控えたヨーロッパでは、外国人を社会の一員とする
考えが強くなっている」と支援した。
リさんは大阪府選挙管理委員会が開く立候補予定者説明会にも
出席する。
「必要な手続きは全て踏む。最後にはねられるでしょうが、
定住外国人の政治参加の議論に一石を投じることになれば」と
話している。
(朝日新聞1992.4.27)
《資料 4のA》在日外国人の人権に関する総理府の調査
日本国民の約7割が在日外国人の人権について
「日本人と同じように守るべきだ」と考えているものの、
「権利が制限されても仕方がない」という考えも約2割に上り、
従来に比べて二極化の傾向を強めていることが、
総理府が4日付けで発表した人権擁護についての
世論調査で分かった。
調査は今年7月、二十歳以上の3000人を対象に実施し、
2274人から回答をえた。
国内に居住している外国人が生活上のさまざまな面で
差別されていると言われていることに関する質問では、
「日本国籍を持たない人でも日本人と同じように
人権は守るべきだ」が68.3%。
「日本人と同じような権利を持っていなくても仕方がない」が
20.4%だった。
(朝日新聞1993.12.5)
《資料 4のB》ドイツで進む外国人の参政
私が滞在しているドイツのノルトライン・ウェストファレン州では
昨年選挙制度が変わり、
1年以上ドイツに滞在している全ての外国人が、
各市町村の外国人顧問議会選挙に投票・立候補できるようになった。
私達外国人が選んだ代表で構成される顧問議会は、
地方議会を通じて、外国人住民の意志をドイツの社会福祉や
行政サービスに反映させる事ができる。
ドイツに外国人として生活してみると分かるが、
言葉の問題・社会制度・習慣・メンタリティーの違いから
不自由な思いをしたり、日本と比較して、
わが国では別のやり方で効率よくやっているのにと思ったりして、
何かとストレスが溜まる事が多い。
外国人としては諦めてしまう事も多いが、
中には消化されない不満を持ち続けている人もある。
外国人が市政に参加する事で、新しい視点から社会が見つめられ、
ドイツの社会システムの思わぬ弱点が指摘・改善される
可能性が生まれると思う。
国際化が進む日本においてもこれは見逃せない話しであろう。
日本で暮らす外国人にも、一住民として、日本の社会システムに
対する様々な不満を日々抱えて暮らしている人がいるに違いない。
そうした声を汲み上げ、時代に即した社会を築いていくためにも、
在日外国人に対する選挙制度を検討してもいいのではないか。
(朝日新聞1995.4.7 投書欄 ドイツ・アーヘン市
鈴木祥一 32歳 公務員)
《資料 4のC》主な国における在住外国人に対する参政権の付与状況
|
国政レベル |
地方レベル |
参政権付与の 必要条件 |
||
選挙権 |
被選挙権 |
選挙権 |
被選挙権 |
||
スウェーデン |
× |
× |
○ |
○ |
3年以上合法的定住 |
デンマーク |
× |
× |
○ |
○ |
|
ノルウェー |
× |
× |
○ |
○ |
〃 |
オランダ |
× |
× |
○ |
○ |
5年以上合法的定住 |
スイス |
× |
× |
△ |
△ |
一部の州で一定期間 |
スペイン |
× |
× |
△ |
× |
相互主義の原則 |
カナダ |
× |
× |
△ |
不明 |
一定期間の在留 |
イギリス |
△ |
△ |
△ |
△ |
英連邦市民とアイルランド市民のみ |
アイルランド |
× |
× |
○ |
○ |
半年以上合法的定住 |
フランス |
× |
× |
× |
? |
|