1年5組制作 巨大壁画

PIRATES OF THE CARIBEEAN
WITH 校長先生

これは、果てしなく、壮大なドラマである。

夏休みも終わりが近づき、学力テストのことを考えると頭が痛くなる頃、壁画制作が本格始動した。

一人分のノルマを説明すると、

@とりのこ(模造紙)5枚を貼り付けて1枚にする
A3cmの方眼をひたすら書き込む
B4200枚程度の色紙(全10色)を糊で貼り付けていく

これは気の遠くなるような作業だ。みんな課外が終わった後、@の作業だけとりあえずして帰るけど、A以降が進まないのである。


部活の合間を見つけては、教室に通う日々が続く。
2学期に入った。あと1週間もない。

色紙を貼る段階に入った人がぼちぼち出始めたけど、まだとりのこさえ貼り付けていない人はどうするつもりなのだろう…。

人の心配をしつつも、まず自分のノルマを達成しなければ!

壁画は一人でも欠けたら完成しない。一人一人の責任は非常に重大なのだ。

うだるような暑さが続いていたけど、風は大敵。切り刻んだ色紙がたくさん飛んでしまうのだ。

窓を閉めての作業が続く。
斯文祭前日。今日は全員の貼り絵を合わせて壁画を完成させなきゃいけないんだけど…

終わってない人がたくさんいるっ!!!

やばい。本当にやばい。みんなして7時に登校して、終わっている子も手伝って、それでもなかなか終わらない!!!

あれほど真剣に集中したのは、高校に入って初めてかもしれない。それくらい必死だった。

そして…なんとか全員貼り終えた!!!

いよいよ体育館にて全員のを合体だ。
どでかいブルーシートに並べていく。

一人一人では何の絵だかさっぱりわからないけれど、順番にみんなの絵が並べられていくと…

ちゃんと映画のポスターになっているっ!!

みんなから歓声が上がった!「すげーっ!!!」

左下で校長先生も微笑んでいて面白い。

感動も束の間、今度は地道にブルーシートに絵を貼り付けていく。剥がれないようにしっかりと、1枚1枚丁寧に。

絵が貼れたら、今度は一番上と一番下に角材を入れていく。隣のクラスの先生も手伝ってくれたので助かった。

バンドのリハーサルに気をとられて先生に怒られながらも、貼り付け作業も完了。
体育館を脱出し、いよいよ正面玄関に吊り下げる時がきた。

あまりに大きいので、屋上から吊るすことに。男子たちは普段行けない屋上に喜んで行っていた。

下にいる女子たちは最後の仕上げ作業、上にいる男子たちは今か今かと絵を引き上げるのを待ち構えている。

先生達や他のクラスで準備を終えた人が、興味深げに玄関に集まってきた。

いよいよだ。
「せーのっ!」

上から男子たちが引っ張る。

息を合わせないとうまく持ち上がらない。

しかも風が吹いてきて、壁画が大きくあおられる!

下にいるみんなが壁画を必死に押さえながら、端をテープで止めていく。

ブルーシートより大きな壁画。はみ出している部分は早くも破れかけている。

でも持ち上がるたびあちこちから「おーっ」「すごいね〜」などの声が聞こえてきて、誇らしかった。

たくさんの方々に最後の仕上げを手伝っていただき、1−5の壁画は、ついに、

完成だっ!!!




2日後。

斯文祭を終えた展示物はすべて取り壊される運命にある。

5組の壁画もみんなのため息の中地面に下ろされた。

でも解体する前に、みんなで壁画の上に寝転がって写真を撮った。

このクラスだけの特権だ。

作業を通して、個人の作業とばかり思っていたけど、気付けばたくさんの人たちの手助けがあり、それらなしでは今回の成功はなかったわけだ。感謝を忘れてはいけない。

そして、一人一人の責任の重さ。これも痛感した。