校長
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本校は、今から遡ること96年前の大正4(1915)年、時の大正天皇即位の大嘗祭に際し、香川県が主基の地に点定されて綾歌郡山田村に斎田が設定された光栄を永久に記念しようとする世論の要望から、綾歌郡立主基農林学校として創設されました。ちなみに、「主基」という校名は、特に宮内省の認許を経て付されたもので、全国的にも稀有の由縁をもつものでした。 大正11(1922)年には、県立に移管して香川県立主基農業学校となり、戦後の学制改革では、昭和23(1948)年から新制高等学校として香川県立主基高等学校へと変遷しました。さらに、昭和43(1968)年からは、文部省より自営者養成農業高等学校としての指定を受け、校名を香川県立農業経営高等学校と改称し、今日に至るまで12,900余名の有為の人材を社会に輩出してきました。 現在では、四国で唯一の文部科学省指定による「農業経営者育成高等学校」として、普通教育・農業教育・寮教育を三本の柱とし、生きがいのもてる明るく楽しい学校づくりに努めています。そして、誠実で、勤労と責任を重んじ、柔軟な思考力を持ち、農業と地域社会を愛することのできる人間性豊かな人物を養成することを教育方針としています。 本校では、引き続き、このような教育方針のもと、今後とも、伝教大師最澄の『山家学生式』の一節より、各自の受け持つ分野で誠心誠意励むことを意味する「照于一隅」を校訓としながら、生徒諸君には「当たり前のことが当たり前にできる」こと、具体的には「目標をもって活動する・規則を守る・礼儀正しくする」ことの三項目の実践を求めていくこととしています。 この数年間は、香川県教育委員会より、特色ある高校づくりのための学校独自プランとして「農業経営高等学校地域活性化プロジェクト」が採択され、これに取り組んできました。また、「農経高校アクションプラン」を策定し、その実践に努めてきたところです。本校では、さらに一層、生徒諸君が自分の果たす役割に生きがいを感じることができるようにするとともに、地域から愛され、地域に貢献できる学校を目指した取り組みを進めていくこととしています。 終わりに当たり、私は、着任いたしまして4年目を迎えましたが、以上のような所信を維持しつつ、微力ながら全力で職務に取り組んでまいりたいと考えておりますので、なにとぞご理解とご協力をお願い申し上げまして、あいさつといたします。 |
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平成23年度 第2学期終業式 式辞 平成23年、西暦では2011年というこの一年も余すところ10日程となり、今日は、第2学期の終業式を迎えることとなりました。 この一年を振り返るとき、3月11日の東日本大震災を忘れるわけにはいきません。宮城県沖に発生した巨大地震がわが国を根底から揺さぶったのでした。その被害は、地震の揺れによるものに加え、津波・火災・液状化現象、さらには原子力発電所事故・大規模停電など多岐に渡りました。大津波を受けた東北地方の太平洋沿岸を中心に関東から北海道までを含む広い範囲で死傷者が出る大惨事となりました。死者・行方不明者は2万人に近づくという多さで、これは、第二次世界大戦後としては最悪となる自然災害です。あれから9ヶ月を経た今でも、行方のわからない方が3500人近くいます。お正月を前にして自宅を離れざるをえない避難者は、実に33万人に及んでいることを忘れないでほしいと思います。 私たちは、今年一年、このような自然の猛威に何度か晒されてみて、あらためて、自然が持つ大きな力に恐怖を感じたり、或いは、畏敬の念を覚えたりしたのではないでしょうか。圧倒的に強大な自然の力を目の当たりにしたとき、人間の姿は、悲惨で、繊細な存在としか映らなかったと言わざるを得ません。地震や台風に対して、人はなす術がなく、その猛威の前に、ただじっと堪え忍ぶことしかできなかったのです。科学技術が次々と進歩し、工業化が著しく進展するなかで、自然も含めこの世の全てを人間が統御できる、というような思い上がりは無かったでしょうか。人間が「主」で、自然が「従」であるといった考えに陥ってはいなかったでしょうか。 思い起こせば、わが国は、第二次世界大戦後、科学技術の進歩に支えられる経済成長を基盤に発展を続け、国際社会では経済大国となりました。これと並行して、人々の生活では、特に高度成長期と呼ばれる1955〜65年以降、大量生産・大量消費を美徳として、電化製品・自動車・情報機器などの物質文明に価値が置かれてきました。私たちは、お金やモノという豊かさをよりたくさん手に入れようとする生き方を追求してきたのです。前の年に比べてどれだけ増えたかという「前年比プラス」の右肩上がりの成長実現を目指す道を、ひたすら突き進んできたのでした。 このような社会を背景として、農業の分野においても工業化が進んだと言われています。トラクタやコンバインなどの大型機械が石油を燃料として圃場を走り、科学技術の成果により工場で生産された肥料や農薬が大量に投与されるようになったのは、ここ20〜30年のことです。今では、大量生産・大量流通という消費社会の要請から、野菜のタネまでが、それまでの在来種(固定種)から一代雑種(F1)に代わりつつあると聞きます。かつては、全国各地で、その土地の気候風土にあった野菜が在来種(固定種)と呼ばれるタネにより、それぞれに栽培されて、食されていました。しかし、現在では品種改良により、野菜のタネは、いわゆる「有望品種」へ集約されたり、大量流通・大量消費という流れの中で経済栽培に適した一代雑種(F1)に移行したりしています。 万塚農場の野菜部門では、多くは一代雑種(F1)による野菜の生産を行っています。その一方、在来種(固定種)のタネを用いる伝統野菜の栽培も行われています。脈々と受け継がれてきた、愛着ある郷土の品種を守り続けているのです。例えば、トウガラシ。品種としては、一代雑種(F1)の「鷹の爪」などが一般にはよく知られていますが、本校では「香川本鷹(さぬき本鷹)」という伝統野菜品種の苗作りを手がけています。ナスでは「三豊ナス」の苗作り。このほか伝統野菜として「さぬき白瓜」や「さぬき長莢」を栽培しています。タカナ類の一種の「万葉」を知らない人はいないと思います。これも伝統野菜です。東讃では「万葉」と呼ばれていますが、中讃では「千葉」と呼び名が変わります。これが西讃に行くと「百貫」と呼ばれ、東讃で言うところの「まんばのけんちゃん」は、西讃では「百貫の雪花」と呼ばれているそうです。これらの伝統野菜は、経済栽培には向かないことがあり、市場に出回ることは少ないかも知れませんが、地元の人々はその恵みを美味しく頂くことができるのです。 農業は、人間が統御することができない自然を相手にするところから始まっています。農業には、人間は自然を統御することができないという発想が根底に流れているのです。私たちが毎日天気をみながら、天気に左右されて農作業に取り組むように、農業の生産活動では、地形や気候などの自然的要因に影響されながら、豊かな大地に対して知恵と汗を絞って働きかけ、動植物をはじめとする数多くの命を育て、食料を生産しています。現在では、農業が対象とする分野は、生物生産に限られることはなく、自然環境や国土の保全、水源涵養や景観維持などまでをも含め、自然と共生するために、広い範囲に及んでいます。 言うまでもなく、人間も自然界の一員です。陸や海、土や水、光や風、さらには動物や植物など様々な生きものとともに、人間もこの地球上で共存していかなければなりません。今後、人間だけの経済的な成長を最優先する考え方や行動を考え直して、地球規模の環境問題や食料問題の早期の解決のためにも、私たちは周りの環境や生きものに目を向け、自然と人間が調和した環境や暮らしをつくっていくことが必要と考えられます。これからの時代の私たちは、自然の前に、まず、謙虚に佇むという姿勢が、従前にも増して求められていると思います。 いつもの年は12月25日から冬休みとなります。今年は、明日の祝日に続いて土曜・日曜となる関係で、少し早く冬休みが始まります。新しい年に入り、新年は、1月8日から学校が始まるところ、この冬に限っては、これも曜日の配列で、1月10日の火曜日が始業式となります。長めの冬休みです。 新しい年を迎え、少し長めのこの冬休みの期間に、生徒の皆さんは、これからの自然と人間のかかわりについて思いを巡らせてほしいと思います。そして、自然と調和し、共存できるような生き方を、身近なところから具体的に実践してくれるようお願いして、第2学期終業式の式辞といたします。 どうぞ、よいお年をお迎えください。 平成23年12月22日 |