高度情報通信社会における情報活用能力の育成

− 生徒の学習を支援するコンピュータ等の活用方法について −

香中研情報教育部会坂出支部 研究部

1 研究主題について

 文部科学省では,平成17年度までの目標に「全ての公立小中高等学校の,全ての学級のあらゆる授業において,教員及び生徒がコンピュータやインターネットを活用できる環境を整備する」を掲げている。また,平成17年4月1日より,「個人情報の保護に関する法律」が施行された。したがって,情報教育機器を活用した授業を実施していくための教員のIT活用指導力の向上や情報活用モラルについての研修を進めていく必要がある。

2 研究の進め方

(1) 4月19日(坂出市立坂出中学校)

  研究組織及び研究主題の決定,研究の進め方についての共通理解

(2) 6月1日(坂出市立白峰中学校)

  研究授業,講義,各教科の実践事例について

(3) 10月6日(坂出市立坂出中学校)

  eラーニングシステムの概要と教材作成

(4) 12月1日(坂出市立坂出中学校)

  市中研研究紀要(第41集)の内容検討,情報交換など

3 研究と実践

【第2回研究会】

第1学年 総合的な学習の時間 題材「自己紹介文の大変身〜Wordを使って〜
授業者 坂出市立白峰中学校 教諭 濱 田 育 代,近 藤 直 子

(1) 授業のねらい

  情報の送り手としての責任を考えさせたり,個人情報の大切さを学ばせたりすることを通して情報モラルやマナーに配慮し情報社会を構成する一員としての自覚をもたせる。

(2) 各校の実践例

 ア 総合的な学習の時間におけるコンピュータの活用

  (ア) 第1学年では,情報教育の時間を設定している。

  (イ) 全学年においては,2月に自分でテーマを設定して,プレゼンを作成している。

  (ウ) 第3学年では,修学旅行記をWordで作成している。

 イ 情報モラル

  (ア) 相手の人権や個人情報に配慮しながら,メールのかき込みを行わせた。

  (イ) インターネットの利用について10問クイズを実施している。
    特にチャットの利用について指導している。    

  (ウ) 著作権やチェーンメールなど,相手の立場で考えるように指導している。

<総合的な学習の授業風景>

【第3回研究会】

eラーニングシステムの概要とそれを活用した教材作成
講師 香川県教育センター 主任研究員 眞 鍋  理

 eラーニングとは,コンピュータや情報通信ネットワークを使いながら行う学習のことである。コンピュータを活用した実践授業をしていくためには,校内LANやプロジェクタの整備とともに教員の指導力向上のための教員研修が重要になってくる。教員研修を進めていくためには,研修時間や研修場所の設定,教員のリテラシー格差への対応などに配慮する必要がある。そこで,eラーニングに着目した。eラーニングは,自分の選んだ時間で学習が可能であったり,自分のレベルに合ったコースを選択することができたりするなどの利点がある。
 研修会では,講師の眞鍋主任研究員から,まず,eラーニングシステムの利用方法やeラーニング教材の紹介をしていただいた。その後,教材作成ためのPowerpoint2003の操作方法,IPA「教育用画像素材集」からの静止画・動画のダウンロードの方法,MovieMakerを利用した動画の編集方法などについてご指導をいただいた。
 受講された先生方は,eラーニング教材の中から,自分の興味のある教材を選択して観ていた。特に,eラーニング教材が,実際の操作をシミュレートされており,音声による説明もあるなど,非常に好評であった。

<研修中の風景>

<香川県教育センター eラーニングシステム>

※香川県教育センター eラーニングシステム  http://navi.kagawa-edu.jp/inavi/

 利用者IDとパスワードは,平成17年3月22日付けの「香川県教育センターeラーニングシステム等のID・パスワードの発行について(通知)」の中で,各校に連絡されている。

4 今後の課題

 本部会では,普通教室等でのコンピュータを活用した授業に関する研究を実践的に進めてきた。コンピュータを活用した授業が日常的に展開されるためには,プロジェクタや電子情報ボードが気軽に利用できる教室環境の構築や機器利用・教材作成のための学校内のサポート体制が重要である。今後,学校内のサポート体制の一環としての教員研修の充実にさらに努めていかなければならない。