高度情報通信社会に対応する学校教育の在り方
−生徒の学習を支援するコンピュータなどの活用を通して−
情報教育部会讃岐支部
1.はじめに
近年,各教科のさまざまな領域において,コンピュータを利用した学習が進められている。今までは,技術・家庭科の「情報基礎」の領域だけで扱ってきたコンピュータが,他の教科でも,指導目標達成のために利用したり,インターネットやテレビ会議システムを利用したりと,各校において,さまざまな授業実践が工夫されている。
また,それにともなって学校におけるコンピュータの設置状況や校内LANの整備状況も飛躍的に充実してきた。
ここでは各校でのコンピュータ活用状況や取り組みをまとめてみた。各校での利用は設備等の充実により異なるが,それぞれ工夫してコンピュータによる指導を進めている。
 
2.研究活動
 (1) 第1回研究調査会 4月28日(木)
  @会場 香川町立香川第一中学校  A内容 研究組織,研究主題の検討
 
 (2) 第2回研究調査会 8月2日(火)
  @会場 e−とぴあ・かがわ
  A内容 教職員のコンピュータ研修
   ア 「e−とぴあ・かがわ」館内見学
   イ 「adobe Premiere」を使った映像編集
 
 (3) 第3回研究調査会 10月20日(木)
  @会場 香川町立香川第一中学校
  A内容 各教科における情報機器を使った授業実践事例
   ア 各教科における実践
・国語
話し合いのネタ作りとしてホームページを使って下調べをし,調べた内容でディベートを行った。また,説明文の指導に於いても調べ学習を実施して,自分の調べた内容を文にするよう試みた。
・社会
選択の調べ学習としてインターネットを利用した。
・数学
計算を中心としたドリル学習に利用したり,シュミレーション(関数)や図形ソフト,問題演習用ソフトを利用した。
・理科
実験結果をPowerPointでまとめて発表したり,シミュレーションソフト(遺伝,星座)や「マルチメディア人体」を利用した。
・音楽
作曲・編曲として利用したり,合唱コンクールのパート練習用の曲をMP3ファイルに保存してパートごとに配布して練習に使った。
・美術
シミュレーションとして配色構成の練習を行ったり,インターネットを利用して美術館巡りを行ったりした。
・技術・家庭科
Excelを使ったカレンダー作成,プライバシーと個人情報の保護
・英語
海外ペンパルとのメール交換
・総合学習等
パワーポイントを使って,郷土学習や人権学習の発表会を行った。
修学旅行や宿泊学習の体験記をグループごとに作成して発表した。
イ 放課後の個別学習
・ドリル学習
ウ クラブ・部活動
・ワープロ,図形作成,プログラム作成,インターネットの利用
エ 教員研修
・コンピュータリテラシー,成績処理,時間割,インターネットの利用(情報検索,ネチケット)
 
3.今後の課題
コンピュータによる学習は,生徒の興味・関心が高く,意欲的に取り組む生徒が多いので,各校でも教科等の指導にコンピュータを積極的に活用している。しかし,予想される問題点も多いので,各校間の研究成果を共有するために,より情報交換を密にしていく必要がある。
その際,機器の整備状況や活用状況には学校間格差が大きく,足並みをそろえて研究を進めるためには,学校間格差の是正が急務である。また,学校職員の研修会への積極的な参加や校内研修,自己研修が大いに望まれるところでもある。
生徒が自ら課題を見つけ,試行錯誤を繰り返しながらも,その解決に向けて主体的に学習していく態度の育成にコンピュータは,大きな役割を果たせる位置を占めている。
また,コンピュータを利用しての情報の活用,テレビ会議システムを利用しての他校との交流も,今後盛んになってくると考えられる。それらを十分活用するための指導方法の研究や環境の整備等を行っていかなければならない。
さらに,来年度からの高松市との合併に伴い,TENSというネットワークになるため,個人情報の管理は,各学校でネットワークを新しく構築していくことが急務である。