坂出・綾歌支部メディア教育研究部会活動報告

1 研究主題について
 本年度より新たに情報教育と視聴覚教育の内容を統合し,メディア教育部会が発足した。メディアの意味するところは広範囲かつ多岐にわたる。現代の高度情報化社会においては,自分の考えや思いをより分かりやすく表現・交流するためにメディアを利用する機会がますます増えていくと考えられる。このような現状の中,学校においてもその学習内容に適したメディアを活用することで,より分かりやすい授業実践が求められている。そこで本部会では,さまざまなメディアの活用を通して教職員の指導力向上を図るとともに,主体的に学習する生徒の育成を図りたいと考える。
2 研究の進め方
  1. 研究の概要
    各校の授業実践・研究授業・研究討議を通して主題に迫る。
  2. 研究の経過
    1. 5月1日(坂出市立東部中学校)
      研究組織及び主題の決定,研究の進め方についての共通理解
    2. 6月13日(綾川町立綾上中学校)
      研究授業,研究発表,各学校での実践事例について
    3. 11月30日(坂出市立東部中学校)
      今年度の研究のまとめ,坂出・綾歌中学校研究会研究紀要(第42号)の内容検討,情報交換など
3 研究と実践
  1. 研究授業
    第3学年1組 国語科の時間
      題材「修学旅行の紀行文集を作ろう」
    授業者 綾川町立綾上中学校
      T1教諭 筒井 彰子
      T2教諭 山本 啓二
      ITアシスタント 旅田 恵
     本題材は,4月に行われた修学旅行の記録残すために,紀行文集を作るものである。個々に材料となるものを書き出し,班でそれらを取捨選択して構成を考え,下書きをしたものを,コンピュータに入力して仕上げるという内容である。作文の好きな生徒はもちろん,作文の苦手な生徒も,細かな段階を経ている上に,共同作業なので取り組みやすいと思われる。
     また,今回使用した『スクールイントラパック3』(通称SIP3)は,ネットワーク上の共有フォルダへのデータの読み書きや,イントラ内に設置したWEBページの閲覧,掲示板やメールの利用等ができるソフトである。今回は,掲示板機能を利用して意見交換を行った。掲示板にはログインしたときの氏名が表示されるため,無責任な発言はできない。あいまいな表現になりがちな会話と違い,文章で何度も読み返せるメールやチャット,掲示板などは,表現をよく考えないとトラブルのもとになる。会話とは違うコンピュータでのコミュニケーション力の育成とともに,メールやチャットなどの利用に関する基礎的なモラルを身に付けることをねらいとした。
    • 『スクールイントラパック3』・・・(株)ベネッセコーポレーションが開発した小中学校向けのネットワーク環境を活かした共同学習支援パッケージ
  2. 授業討議
     生徒は活発に書き込みによる意見交換をおこなっていた。その様子から,情報のやりとりの方法について,その場で生のコミュニケーションをおこない修正の仕方を考えるのは,有効であるという意見が多かった。香川大学教育学部の黒田先生(専門 情報教育)からは,「文章を書くときは文章力が重要である。義務教育段階でいかに文章を書くかが大切である。パソコンを使うと,楽に綺麗な字で文章が書けるのが魅力。時間短縮にもなり,余った時間を文章の推敲にまわすこともできる。」という指導を頂いた。
  3. 研究発表
    「eラーニングによる職員研修のあり方」
    宇多津町立宇多津中学校 教諭 合田昌司
     eラーニングとは,インターネットを利用して,学校や家庭などから,自分に必要な知識・技能を学習できる自主学習システムである。eラーニングについて,その長所・短所や有効な活用方法についてプレゼンテーションソフトを活用した発表があった。また香川県教育センターのeラーニングシステムについての紹介があった。
  4. 各校の主な実践例
    各校の実践例をまとめてみると技術・家庭科「情報とコンピュータ」の学習内容を基礎として,各校教科でコンピュータとプロジェクタを活用した提示,総合的な学習の時間における調べ学習のインターネット活用の例が多く見られた。また,全校集会でプレゼンテーションソフトを使いビジュアルな発表形態をとる例もあった。ホームページを使った情報公開や,学校行事ごとにデジカメで撮影しプリントアウトしたものを校内掲示に活用した例など,学校教育にメディアを活用した実践の報告例があった。
4 今後の課題
 各教科の授業や学校行事など,その目的・用途に応じて、メディア機器が利用できるようにしたい。そこで今後は,主体的に学習する生徒の育成するために,デジタルコンテンツや放送番組等の教材を有効に活用するための研究を進めていく必要がある。