平成23年5月31日(火)
創立118年を記念して放射線腫瘍学の第一人者であると同時に丸亀高校の先輩でもある小野公二先生に御講演賜りました。
講師 | 京都大学原子炉実験所教授 小野 公二 氏 |
専門 | 放射線を用いた診断や治療等を目的とした放射線医学 特に腫瘍の治療を目的とした放射線腫瘍学 |
演題 | 中性子に魅せられて20年 〜中性子の医学研究から学んだこと〜 |
小野先生は中性子を用いた腫瘍治療(中性子補足療法)がご専門で、本日は私たちに中性子発見に至るまでの歴史や中性子の持つ可能性について分かりやすく解説していただきました。
1932年、イギリスの物理学者ジェームズ・チャドウィックが
中性子を発見するまでの過程を、当時学者が中性子をどう
解釈していたかも合わせて簡単にご説明いただきました。
中性子を用いた腫瘍治療(中性子補足療法)の歩んだ
道のりとその概要、そして有効性についてかなり詳しく
教えてくださいました。
その他、私たち在校生へのアドバイスとして、「強く鋭い脳を持ち継続すること」という言葉も賜りました。
ありがとうございました。
■感想 |
中性子発見までの過程や中性子補足療法の仕組みなどについてわかりやすく解説していただき、私自身中性子について大変興味が湧きました。正直講演を聞く前、私は中性子に関してあまりいい印象を持っていませんでした。というのも、中性子は原子炉などから発生し核分裂をひきおこすもので、しかも人体の内側で核反応を起こして遺伝子を傷つけることもある、決して安全とはいえないシロモノだ、と記憶していたからです。 加えて、福島の某原発が大変な事故を起こしている現状。原子力、核などというものに恐怖と不信感を抱きつつあった私にとって、核反応を引き起こす中性子はいいイメージであるどころか、むしろマイナスイメージでした。 しかし講演を聞いていくにつれ、その考えも改めざるを得なくなりました。講演の中で聞いた、癌や腫瘍に対する中性子を用いた治療の有効性。写真付きで見せられたそれは、私の脳裏に未だに鮮明に焼き付いて離れません。それほど、その講話は私にとって衝撃的なものでした。 「人に害なすものでも、使いようによっては利益をもたらす」 今回の講演で気付かされたことです。考えてみると火も然り道具も然り。至極当然のことでした。ですが、私はその考えに強く惹かれました。 今は、人類に仇なすものを人類のために有効利用できたらどんなに素晴らしいことだろうと考えています。 今回の講演は私にとって大変良い刺激となりました。科学の奥深さと可能性の一端に触れることができたような気がします。そして、私もいつかそういった研究をしてみたいと思うようになりました。 |
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