平成19年度 第三学期始業式 校長式辞(1月8日)

校長講話

今、世の中で何が注目されているか

 新年を迎えた。年末年始のテレビや新聞の特集を見ると、今、世の中で何が注目されているかがよくわかる。私はそれは環境問題だと思う。環境問題に伴う地球温暖化は核兵器問題と同じで、放置すれば間違いなく人類の生存を脅かすものとなる。今、世界がそれに気付き始めた。君たちはそれを認識し、行動する必要がある。

 
 

目標の実現のために〜人間は習慣の生き物〜

校長講話

 さて、今、3年生諸君は、全力で頑張っていることと思う。入試での大いなる健闘を祈る。ところで、君たちはこの正月、どのような目標を立てたか。3日坊主という言葉があるように、目標の実現は、なかなか難しい。しかし、それなくして進歩はない。目標もそれが習慣化すると以外にたやすくできる。そこで、年の初めにあたり、習慣ということについて話をする。よく、人間は習慣の生き物と言われる。いかにすばらしい言動が取れても、単発で終わったのではだめ。それが習慣化されなければ何にもならない。

 ところで、習慣には「1 行動の習慣」と「2 考え方の習慣」がある。

行動の習慣

 まず、「1 行動の習慣」であるが、これは朝何時に起きるとか、食事の後は歯を磨くといった、毎日の行動の中で繰り返し行う行為に相当するもの。勉強について言えば、必ず英語の予習をする、毎日何時間勉強する…といったようにほとんどが「行動の習慣」である。実は人間の身体はこうした「行動の習慣」が身に付いてはじめて、うまく機能できるようになっている。いい例が脳の記憶の仕組みである。最近の脳科学の研究によれば、記憶には短期記憶と長期記憶があることがわかっている。短期記憶というのは脳の海馬(カイバ)と呼ばれる組織に貯められる記憶で1〜2週間、長くても1ヶ月しか覚えられない。一方、長期記憶というのは大脳皮質にしまわれる記憶で、ここにきちんとしまわれれば、10年、20年、場合よっては死ぬまで残すことができる。海馬に取りあえず収納された短期記憶は、海馬が、記憶される情報の重要性について約30日かけて判断したあと、重要と判断された記憶は大脳皮質に送られて長期記憶となり、そうでない記憶はそのまま破棄される。

校長講話

 では、海馬は何に基づいて記憶の重要性を判断するのかというと、一つは、記憶に対する出入力の頻度である。30日間に一度も使われない情報は重要性がないと思われる。そのためには何度も何度も大事であることを訴えることが大切。そこで必要になるのが復習という行為。普通、短期記憶は4時間で約半分忘れ、翌日になると4分の1程度しか覚えていない。そこで2回、3回と復習を繰り返せば、重要性を訴えることになり長期記憶に移る。ただし、短期記憶は30日が限度なのでそれまでに行う必要がある。例えば、単語の勉強は毎日新しい単語ばかりを覚えるのではなく、新しい単語と昨日覚えた単語の復習を組合せば効果的。

 短期記憶の重要性を判断するもうひとつの要素は、記憶が入力されるときの手段である。情報の入力が、例えば単に視覚情報だけの場合より、視覚と聴覚の2つの手段で入力された方が、海馬はその情報を重要性と認識する。具体的には、単語を覚えるとき、単に見て覚えるだけよりも、書きながら、つぶやきながら覚える方がはるかに効果的。テレビを見ながらの勉強は論外。以上のことを踏まえ、学習の習慣づけの重要さをしっかり認識して欲しい。

考え方の習慣

校長講話

 次に、「2 考え方の習慣」について、これは、例えば、「物事を悲観的に捉える」「楽天的に捉える」といった考えかたのくせのようなもの。これまで私がよく集会で言ってきた「しようか、やめようか迷ったときはするを選べ」とか、「失敗から学ぼう」、「人にされて嫌なことはするな」、「相手の立場に立って考えよう」、「論理的に考えよう」とかいった「心構え」とも言えるようなものにあたる。先ほど述べた「行動の習慣」は、表面に現れすいのでよくわかるし、それが守られてなければ周囲から注意されることもあり、比較的習慣化しやすい。しかし、「考え方の習慣え」となると、自分ではわかりにくいし、直接、指摘されることも少ない。

 これを習慣化するためには、そうした心構えを書いて、常に目に付くところに貼っておくことが最も効果的。世の中に目標やスローガンがあるのは、まさにそのため。よく、スポーツ選手が「一球入魂」とか「目指せ甲子園」とか、「打倒 ○○」といった字をグラブやユニフォームに書いているのと同じ。各自が自分の心構えを机の上や、ノート、手帳…など目に付くところに書いておき、心に刷り込んでいくことが大切。また、自分の尊敬する人、あこがれる人を真似るのも有効。「考え方の習慣」を付けるためには最初は意識して行わなければならないが、そのうち、慣れてくる。 

この一年

 この一年、君たち一人一人の力一杯の努力と、3年生諸君の目前に迫った受験への精一杯の追い込みと健闘を心より祈る。

 
 
校長 島田政輝
(2008.1.8)

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Last-modified: 2008-12-20 (土) 12:19:18