平成20年度9月 第二学期始業式 校長式辞

生徒全員がさわやかに挨拶を交し合う気持ちのよい学校に

校長講話

 今日から2学期。大きな事故もなく全員がここに集まっていることは喜ばしい。今日も、多くの生徒たちから挨拶を受けたが、生徒全員がさわやかに挨拶を交し合う気持ちのよい学校にしたい。一学期、ややあいさつが減ってきている印象も受けた。今一度、全員で取り組んで欲しい。

 先ほどは、夏休み中の君たちの活躍ぶりを多く紹介できた。全国を舞台に運動部、文化部ともによく頑張ってくれた。また、普段紹介する機会があまりないが、家庭クラブの諸君達が素晴らしい研究発表を行い、見事、来年度の全国大会への出場権を得た。非常に立派な内容で、こうした地道な調査・実践活動が高い評価を得ると言うことは非常に喜ばしい。坂高生の底力を改めて再認識した。

中国の底力

校長講話

 再認識といえば、今回のオリンピックで中国という国のすごさを再認識した。オリンピックでは競技面で印象深い話題がたくさんあったが、今日は中国のことについて感じたことを話したい。中国は、今回、国の威信をかけて開催に臨んだが、様々に問題の指摘はあったものの、全体的には期待に違わないものであったと思う。特に、開会式の圧倒的スケールと一糸乱れぬ演技、随所に見られる工夫、壮麗さは圧倒的であった。もちろん、このことについて、様々な批判もあるが、金メダル数もアメリカを大きく引き離しトップになるなど、13億の人口を擁し、世界の大国への駆け上がろうとする国の勢いがそのまま出ていたと思う。

 君たちに言いたいことは、今、確かにアメリカは世界唯一の超大国で、経済力でも軍事力でも情報力でも、圧倒的な国である。しかし、そのアメリカが今、最も注目し気を使っている国は中国である。国の経済規模を表すGDP(国内総生産)では、2位の日本、3位のドイツについで4位であるが、その伸びが目覚しく、まもなくドイツを抜き、4年後には日本も抜くと見られている。こうした中国の推進力の源は、文化も経済も先進国並みに発達しつつある沿岸部の工業生産を、50年前の日本と同レベルで、所得水準が沿岸部の実質1/6しかないと言われる内陸部の農民が安い賃金で支えることで国際競争力を維持していることにある。しかも、膨大な人口のため、エンドレスに労働力が供給できる。この中国独自の労働力供給システムが機能する限り中国の経済成長、躍進は続くだろうと言われている。

日本は周囲の国々とどのように付き合っていくか

校長講話

 もちろん、国内には、人口、エネルギー、資源、環境など様々な問題があり、また、政治的にも、都市部と農村部の較差に対する不満、民族問題(チベット問題など)など様々な問題があり、このまま順調に成長を続けるのは困難との見方もある。しかし、紆余曲折はあっても、今後、中国は間違いなく、日本を抜き、アメリカに肉薄すると見られている。そして、同様なことはインドについても言える。

 問題は、こうした状況下で、日本が周囲の国々とどのように付き合っていくかと言うことである。アメリカは、いずれ自国のみが超大国ではなくなると知っている。そして、今後は、もちろん日本との関係も大切にはするだろうが、中国やインドとの組み方にもっと重きを置いていくはず。その時、日本人は、これまで以上にアメリカ以外の国との関係を大切にしなければならない。アメリカは日本を大切にはするだろうが、日本だけがすべてではない。アメリカが生きていくためには、日本の頭越しに中国やインドとの関係を築き、日本が蚊帳の外ということもあり得る。

食糧問題

校長講話

 今、世界的に原油の値上がりが問題になっているが、もっと怖いのは食糧問題だと思う。中国は、かつては農業輸出国だったが、今は人口増のために輸入国に転じている。そして、現在の人口増加や中国社会の変化から見て2030年には、世界中の輸出食料をすべて合わせても中国を支えることができなくなると言われている。そのとき考えなくてはならないことは、現在、日本は世界最大の食糧輸入国であるということ。つまり、2030年を待たずして、中国との食料争奪が起こると思われる。しかも、世界の先進国の食料自給率が70%以上あるのに対し、日本は40%にも満たない。・・・にもかかわらず我々は40%の食料を食べずに捨てている・・・このようなことでいいのだろうか?

世界の国々の中で

校長講話

 このような、非常に先行き不透明な今日、我々は将来を見通しながら世界の国々と付き合いつつ、日本の発展に寄与して姿勢を一人一人がしっかりもたなくてはならない。それがこれからの日本を背負う若者に課せられた義務でもある。君たち日本の高校生は非常にすぐれた資質と勤勉さと教育レベルを有している。しかし、今後は、今以上に、前向きな探究心や幅広い視野、高い問題意識、勤勉さを身に付けて欲しい。

 そういう意味で、今回の家庭クラブの諸君の前向きな研究や取り組みにはほっとするものを感じた。この2学期、君たち1人一人が大きく視野を広げ、その能力を十分伸ばせるよう、大いに頑張って欲しい。

校長 島田政輝
(2008.09.01)

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Last-modified: 2008-12-20 (土) 12:19:19