平成20年度7月 第一学期終業式 校長式辞

オリンピックに思う

校長講話

 明日からいよいよ夏休みです。今一度、1学期の生活について振り返って下さい。
 ところで、まもなく北京オリンピックが開かれます。オリンピックといえば数々の名場面が残っています。私の印象深いシーンは、山下泰祐選手(全日本柔道連盟理事、国民栄誉賞、203連勝、史上最強の柔道家)の1984年のロスアンジェルス大会の試合です。絶対的な優勝候補といわれながら、2回戦で軸足の右足に肉離れを起こし、それを悟られまいと振舞ったものの決勝ではついに見破られました。相手はエジプトの強豪ラシュワン。会場はラシュワンが右足を責めるものと思っていたところ、彼は決してそこを責めませんでした。そして、結局、体勢を崩した一瞬を突いて横四方固めで山下が優勝しました。ラシュワンは試合後のインタビューで「痛めた足を責めてまで勝とうとは思わなかった」と言ったそうです。そして、表彰台にあがる山下の足を気遣って手を貸したシーンがすがすがしく、ラシュワンに対し、会場から割れんばかりの拍手が起こったのです。このフェアプレーは今でも語り草になっています。

本当の強さ

校長講話

 人間誰でも目の前においしいものや、楽なものがぶら下がっていれば、つい手を出したい気持ちになるものです。ラシュワンももしかしたら、右足を攻めて勝ちたいとの気持ちが覗いたかもしれません。しかし、柔道家としてのプライドがそれを許さなかったのでしょう。自分も過酷な練習に耐えてきた。相手も耐えてきた。そのことがお互いを尊重し、どんなに苦しくても、逃げずにごまかさずに、正面から乗り越えようという認識になったのでしょう。これこそが本当の強さだと思います。

正面から乗り越えようとする強い気持ちを持つ

校長講話

 さて、君たちは、入学式や始業式で、「継続することの大切さ。我慢することの大切さ。そして、素直に反省することの大切さ。」を訴えましたが、どうだったでしょうか?どんなに苦しくても、逃げずにごまかさずに、正面から乗り越えようとする強い気持ちを持つことは何にも増して大切です。
 君たちは、全体的に見て、坂高生らしい元気でさわやかな行動は大いに評価できます。ただ、勉強について言えば、頑張っている人もいますが、全体的には勉強不足です。集団に甘んじてはだめです。

 学習についてもう少し、3年生を中心に話します。しかし、これは1・2年生にもあてはまることです。成績が上がらないからといって、すぐに志願大学を下げたり、安易に推薦に走ったり、教科・科目を捨てたり…楽な方向に流れてはいませんか?今から5教科7科目もできるのだろうか?…と思うかもしれませんが、必ずやれます。安易に逃げるときっと後で後悔します。勉強は自分との戦いです。担任と相談しながら初志貫徹の気持ちをしっかりもって頑張ってください。

夏を制するものは受験を制する

校長講話

 よく「夏を制するものは受験を制する」と言います。この意味は、「夏にどのように優先順位をつけて、計画的にやれるか」と言うことだと思います。夏休みの40日は授業日の80日、つまり3ヶ月分の効果があり、一方、差にもなります。夏休みはまとまった時間が取れる最後の機会でもあります。2学期になれば、授業が再開されます。授業を受けながらの受験勉強は非常に大変です。そして、何と言っても、2学期以降は驚くほど早く時間がたちます。

 では、夏休みに何をするのか?それは、ずばり、弱点の克服と得意教科の伸張です。中には1・2年の復習が必要な人もいるでしょう。問題集で弱い部分を集中的にするもよし、模擬試験などでできなかった問題を再確認することも重要です。模擬試験の意義は、成績そのものよりもできなかった点を知ることにあります。

 以上のことは、1・2年生も同じです。勉強はスポーツと一緒で、決して受身で、先生の話を聞くだけではだめです。必ず自分でやってみて、身体で覚えこまなければなりなりません。もちろん、勉強より、楽しいものは一杯あるでしょう。それに比べ勉強はつらく苦しいものです。しかし、自分を高めると言うことは、自分をしかり、たたくことでもあります。君たち一人一人は素晴らしい素質を持っています。それを伸ばすも伸ばさないも君たち次第なのです。特に、部活をしている人は、練習を通じて苦しいことに立ち向かう根性が付いてきているはずです。この根性を勉強との両立のために使わない手はありません。

自分自身に問いかける勇気

校長講話

 一方、生活面では、「ちょっとまて、それでいいのか」と自分に問いかける態度をもててますか?人間は弱いもので、易きに流される傾向があります。嫌なことから逃げ出したいとき、サボりたいとき、欲しいものが目の前に現れたとき、友だちからの誘惑があったとき…つい負けてしまいます。しかし、そこで一度踏みとどまり、「ちょっとまて、それでいいのか」と自分自身に問いかける勇気を持ってください。生活面での規律がきちんとできることは人間として絶対に大切なことであり、それができると勉強に対する姿勢の向上にもつながるのです。

夏休みは

 夏休みは、自分の力で自分の生活を作り上げる絶好のチャンスです。どうか、事故や怪我のないよう規則正しい生活を心がけながら夏休みを過ごして、2学期にはまたこの場で元気な顔で会いましょう。

校長 島田政輝
(2008.07.18)

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Last-modified: 2008-12-20 (土) 12:19:20