平成19年度 終業式 校長式辞

一年を総括

 終業式にあたり、君たちのこの一年を総括したい。基本的には真面目で元気があり、さわやかで清潔感のある、高い能力を持ったすばらしい高校生だと思う。しかし、力を出し切るということについてはどうか?残念ながら坂出高校という集団の中で安住している人、欠点さえ取らなければという気持ちの人が、少なからずいるのではないか?君たちの力はそんなものではない。潜在能力は高いが、学習習慣が確立されていないため、学んだことが実力として定着していない者が多くいると思う。また、スカートなど服装面にも課題がある。この一年を振り返り、新年度に向けた反省と意識の確立を期待したい。

辻井伸之さんのピアノリサイタル

 ところで、一昨日の音楽会で、辻井伸之さんのすばらしいピアノを聞いてもらった。彼は生まれつき視力がない。しかし、1歳の頃、母の歌うクリスマスソングに合わせて何気なくピアノを弾くのを見た母は、彼の音楽への特異な才能を感じた。そして、その後、様々な試練を乗り越え、その類稀な能力が見事開花させ、ショパン・コンクールでの入賞等の輝かしい成果を収めながら今日に至っている。もちろん楽譜はない。どのような難曲でもすべて頭で覚えるとのこと。

 一方、辻井さんのように際立った分野で有名というわけではないが、同じ視力障害で負けず頑張っている人に、現在25歳の井上美由紀さんという人がいる。彼女も生まれつき視力がない。しかし、彼女は何にでもチャレンジする意欲的な子どもであった。11歳になったある日、母に自転車に乗りたいと言い出した。常識的に考えて、目が見えないのに自転車に乗ることはまったく考えられない。しかし、母はあえてさせてみた。公園で自転車の練習を始めたが、何度も何度も転倒。やっと起きあがっても、自転車がどこにあるか分からない。ハンドルを探すのも大変。再び乗ってもすぐ転倒。ハンドルで顔を打つ、頭を打つ、ひざを打つ・・・手や足は血だらけ。でも、決してあきらめない。そして30回も40回も転倒を繰り返しながら、挑戦したところ、突然、ふっと乗れるようになったとのこと。このがんばり、根性、恐怖心の克服・・・我々の想像を絶するものだと思う。

現状を打破するためには

 ところで、現状を打破するためには自分が変わるしかない。勉強が長続きしない、成果が上がらないと悩んでいる諸君。そのうち周囲が変わる、何とかなる…と考えていてはいけない。周囲は変わってくれない。自分が変わるしかないと考えるべき。そのためには、それ相応の努力が必要。その努力を引き出すためには、「あの人は私よりはるかに努力していると素直に認める気持ち」と「自分がうまく行かないのは、自分の努力不足のためと素直に受け入れる気持ち」を持つこと。

 私は中学校の時、担任の美術の先生から、絵の勉強のために、画用紙一杯に米粒の絵を何枚も描いたこと、負けそうになったときはその絵を見て頑張ったことを聞かされたことを今でも不思議に強く覚えている。そして、こんな面倒くさいことを…と思ったとき、米粒を書く思いで・・・と考えてがんばったこともある。井上さんの目が見えないのに自転車に乗るその恐怖と勇気、そして、それを実現した想像を絶する努力を考えると、我々は何でもできると思う。

後輩への貴重なメッセージ

 昨日、補習科の試験があった。志願者の作文を読むと

 などの貴重な反省の声が、次々と吐き出されていた。それを後輩への貴重なメッセージと受け止めて欲しい。

反省すべきはし、自分を変えていって欲しい。

 部活にがんばる諸君たちは、授業の重視、時間の有効利用などをしっかり心がけて欲しい。立派に両立を果たして合格した先輩もたくさんいる。負けてはならない。人間は習慣の生き物、考え方を変え、継続すれば必ず人間が変わる。明日から春休み。今一度、この一年を振り返り、反省すべきはし、自分を変えていって欲しい。来るべき新年度での更なる活躍を期待する。

校長 島田政輝
(2009.3.19)

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Last-modified: 2009-03-19 (木) 13:17:33