平成21年度 2学期終業式校長あいさつ

自信を持って日々を過ごして欲しい。

 いよいよ今年も残りわずかとなった。3年生諸君は今、全力で頑張っていると思う。現役生は試験前日まで確実に上がる。そして、すべてはこれからの一月にかかっている。しっかり頑張ってほしい。全校生の諸君は、この一年、全体的によく頑張った。全国に名をとどろかすような活躍をした生徒や部もたくさんあった。文化部、運動部ともよく頑張った。一方、作文の鈴木さん、福島さん、濱野さんのように地道な活動や豊かな才能を発揮した生徒もいた。また、先日の音楽科の卒業演奏会も3年間の集大成とも言うべき立派なものであった。そうしたことのできる素晴らしい君たちである。自信を持って日々を過ごして欲しい。

「努力する人は希望を語り、怠ける人は不満を語る。」

 さて、この一年を振り返ると、みなそれぞれに目標を持って臨んだ一年であったと思うが、うまくできたところもあれば、そうでないところもあったと思う。私は、うまく行く、行かないは、気持ちの持ち方の問題だと思う。

 「敦煌」や「風林火山」などを書いた有名な小説家である井上靖さんの言葉に「努力する人は希望を語り、怠ける人は不満を語る。」というのがある。これは実に言い得て妙。世の中のすべてを現している。「〜がないからできない」「〜は〜のせいだ」「〜などむちゃだ」何かにつけて愚痴や不満ばかり言う人がいる。もちろん、不満は誰にでもあるし、いくらでも言える。しかし、不満や文句ばかり言い続けて成功した人はいない。努力不足による力不足を正当化するために、他人を責めるのが不満であり愚痴の大部分。不満ばかり言ってモチベーションが上がるはずがない。モチベーションが上がらなければ努力はできない。そこから更に不満が出る。不満は自分のためにもよくないし、周囲にもいい感じを与えない。

 逆に希望を語る人はどうだろう。希望を語る場合はたいていの場合、それに近づこうと努力をしている。希望がやる気を、やる気が努力を引き出すのである。そして、努力しているときは意外と不満は言わない。これが不満ばかりを言う人との違い。また、周囲の受ける好感度もぜんぜん違う。ぐだぐだ文句ばかり言って好かれる人はいない。不満は言ってもさっと切り上げ、前向きになれる人は好かれ、尊敬される。言い換えると「希望を語る人は努力をし、人にも好かれる、不満を語る人は怠け、人にも好かれない。」と言えるのではないか。さて君たちはどうか?不満ばかり言ってはいないか?最近愚痴が多いなと思ったら、危険信号。

脳の開発のためには4つの要件

 話は変わるが、人間の脳細胞は140億個あるが、常時使われているのはその3%に過ぎない。これをいかに多く使うかが成長のかぎ。おそらく0.1%増えただけでものすごい能力開発になると思う。脳科学の本によれば、脳の開発のためには4つの要件があるとのこと。それは、(1)目標を持つこと (2)プラス思考であること (3)感動と感謝の気持ちを持つこと (4)愚痴を言わないこと だそうだ。プラス思考とは、すべてを肯定的に捉えること。例えば、困難に遭遇しても「大丈夫、きっとうまくいく」「まんざら捨てたものではない」「失敗だったが、いい勉強になった」と言うように捉えること。更に具体的には「受験まであと一月しかない、ではなく、まだ一月もある」。「親や先生が勉強しろ、勉強しろというのは、自分を叱っているのではなく、自分への期待の表れ」「挨拶をしたのに返事がないのは、無視したのではなく、聞こえなかったため」などと捉えることを言う。

(1)目標を持つ (2)プラス思考 (3)感動と感謝の気持ち (4)愚痴を言わない

 これらの共通点は、そうした捉え方や行動は、人間にとって「好ましく」「好意的」であるということ。情報が脳に入ったとき、最初に到達する特定の神経部分で、人が認識する前に「この情報は好きだ」「嫌いだ」とレッテル貼りが細胞レベルでなされる。そして「好ましく」思う情報は積極的に記憶され、思考機能が働くが、「嫌いで役に立たない」と思う情報はそれらが働かないとのこと。これが細胞レベルで無意識に瞬時に行われている。そう考えると、「夢を語る人は努力をし、成長する。不満を言う人は怠け、後退する」と言う言葉は見事に当たっている。

心の持ち方を見直そう

 この一年、言い訳ばかりをしたり、文句ばかりを言って素直になれなかった人、逃げてばかりしていた人、その時は楽かもしれないが、君たちの素晴らしい才能を自分で殺していることに等しい。ぜひ自分の心の持ち方を振り返ってほしい。心の持ち方を客観的に認識し、軌道修正できることは人間の成長に最も大切なこと。自分の心の持ち方を見直すことを今年最後のお願いとする。

有意義な冬休みを

 これから冬休み、宿題も課題もたくさんあると思う。しかし、「できない」とか「なんで?」とか不満のみを持つのではなく、「やればできる」「自分への薬だ」との前向きの姿勢で臨んで欲しい。再度言うが「努力する人は希望を語り、怠ける人は不満を語る。」不満を言っているかぎり成長はない。不満を感じてもそのとき限りにし、長く引きずらないこと。保護者懇談では、担任の先生から君たちの現状と一年の総括を含めた指導があったと思う。それを謙虚に受け止めた上で、今、自分に何が必要なのかをよく考え、粘り強く実行してほしい。有意義な冬休みを迎えることを願っている。

校長 島田政輝
(2009.12.24)

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Last-modified: 2009-12-24 (木) 16:25:33