平成20年度 終業式 校長式辞

この一年を総括しよう

 昨日は高校入試の合格発表の日。1年生諸君には入学式で「この日の感激を忘れるな」と言ったが、いかがか?まもなく君たちの後輩が希望に胸を膨らませて入学してくる。それをリードするのは君たち上級生。決意も新たに頑張って欲しい。
 終業式にあたり、君たちのこの一年を総括したい。全体的には真面目で元気な、さわやかで清潔感のある県下に誇れるすばらしい高校生だと思う。能力も非常に高い。外部からの評価も極めて良好。しかし、注文すべき点も何点かある。

【行動】大人への脱皮を望む

 まず、行動面。一言で言うと、子どもから大人への脱皮をしようとする努力を怠っている人が少なからずいると言うこと。大人への脱皮とは、人間にとって最も大切な「信頼される人間」になろうと努力すること。信頼感とは、その人の雰囲気によって自然に作り出されるもの。そして、雰囲気とは日々の言動によって醸し出され、決して一夕一朝ではできない。人の雰囲気は次の4つの要素で作られる。

  1. 振舞い方…目上の人や初対面の人などに対し、場をわきまえた失礼のない誠実な行動が取れるか。
  2. 身なり…外面(服、髪型、化粧…)で判断するのはおかしいと言うかもしれないが、それが現実。清潔感のある身なりができているか。
  3. 言葉遣い…正しい敬語が使えるか。感情に流された乱暴な言葉遣いはしていないか。
  4. 表情…不機嫌な顔をしていないか。挨拶のできる明るい顔ができているか。

これらの積み上げで、その人の雰囲気が醸成されてゆき、信頼感ができてくる。今一度、振り返ってみて欲しい。

ところで、3日前の帰宅途上、夜道の信号のない横断歩道で、横断しようとする数名の高校生を見つけたので車を止めたところ、全員が大きな声で「ありがとうございます」といってくれた。高校生があのような声で、しかも、暗闇の中で車中の私の顔も見えないのに、挨拶をしてくれたのは、初めてのことでちょっとした驚きでもあり非常にうれしかった。それは後で確認すると本校のサッカー部員であった。

【勉強】受験勉強の意味

 次に勉強面。一言で言うと、全体にがんばってはいるが、中には力を出し切っていない人や自ら進んで学ぶ姿勢の着いていない人が少なからずいると言うこと。坂高という集団の中で安住している人、言われたことはするが言われないとしない、提出はするが写すだけ…と言う人はいないか。
 ところで、今は中学生も高校生も受験シーズンの最終盤。恐らく君たちにとって、受験は最大の関心事であり、悩みのタネだろう。力一杯がんばるぞと意気込む反面、できれば楽をして進学したいとの気持ちもあるかもしれない。先日、受験勉強をすでに経験した大人たちの、受験に対する意見を掲載した新聞記事を目にした。

玉磨かざれば光なし

 人はみなダイヤモンドの原石のようなもの。磨けば燦然と輝くが、磨く努力をしなければただの石ころ。受験は自分を磨く一つの機会。そして、一つのことに真剣に取り組んだということが、後の人生において大きな支えとなる。つまり、受験勉強で得た知識と言うよりも、追い込まれてがんばったという体験そのものが大きな財産になる。いや、受験に限らない。はじめに述べた、「信頼される大人への脱皮」についても同様、人は皆、挫折や苦しみを乗り越えてこそ強くなれる。決して楽ではないかもしれないが、確実に言えることは、勉強や日々の努力は自分の将来に対する投資であるということ。その結果は必ず自分に跳ね返る。今一度この一年を振り返り、来るべき新年度に向けた反省と意識の確立を期待したい。

校長 島田政輝
(2010.3.19)

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Last-modified: 2010-03-22 (月) 22:35:16