平成２０年度２月 全校集会 校長講話 †
坂高の主役として †
今日から３年生は自宅学習。2次試験に向け全力で頑張っている。今日から君たち１・２年生は、まさに本校を動かしていく主役となる。一方、坂高を目指して頑張っている多くの中３生がいる。入学後の彼らをリードし、坂高の素晴らしさを示していくのは君たち１、２年生。坂高の主役としての活躍を期待する。坂高は紛れもなく君たちの母校。だれしもが「いい学校ですね。」といわれる学校でありたいと願っているはず。そうした坂高の評価を作るのは君たち自身。まずは、服装を含む行動面でさわやかで清潔感ある、あいさつのよくできる坂高生であって欲しい。
学習時間 †
次に勉強。学習時間の低下が気になる。特に２年生は1年後には大学入試。しっかり目標を立てて学習に取り組んで欲しい。本格的な受験勉強の開始時期と第一志望校への合格率の関係は次のとおり。3年になってからでは遅い。授業を大切にした、時間を大切にした毎日を送って欲しい。
| ※受験勉強の開始時期と 第一志望校への合格率 | |||
| １学期 | ２学期 | ３学期 | |
| 高１ | ９７％ | ９２％ | |
| 高２ | ９０％ | ８５％ | ６５％ |
| 高３ | ３７％ | ２４％ | |
相撲の話題から †
今日は、将来このような人間になって欲しいという願いから相撲の話をしたい。私は中学、高校の頃相撲が好きで、よくテレビで観戦した。当時、後に戦後最強の横綱と言われた大鵬と、そのライバル柏戸という二人の名横綱が人気を二分していた。大鵬は、今の白鵬のようなタイプで柔軟な身体と深い懐（ふところ）が身上で、相手力士はゴム板に当たるように力がすべて吸収されて身動きを失ったと言う。一方、柏戸は強靭な上半身と突進の破壊力が抜群で、相手力士は鉄板に当たるように跳ね飛ばされ、一気に押し出されたと言う。こうしたことから二人は、それぞれ「柔」の大鵬と「剛」の柏戸と呼ばれていた。 ところで、二人の対戦結果はというと、柔よく剛を制すとのことわざがあるが、大鵬が勝っていた。柏戸もすばらしい力士であり、破壊力は抜群だったが、組みとめられると意外と弱かった。また、身体が硬くよく怪我をした。その点、大鵬は非常に身体が柔軟で、しかも足腰が粘り強く、どのような強烈なあたりもしぶとく食い止める。そして、一旦組みとめると強靭な投げと寄りで絶対に負けなかった。
「柔」と「剛」 †
よく柔と剛というが、本当に強いのは単なる柔でも単なる剛でもなく、大鵬のように剛を内に秘めた柔ではないだろうか。話は変わるが、日本刀は世界にも類を見ない優れた刀であるが、その秘訣は、柔らかくて弾力性のある軟鉄と、硬くて切れ味のよい鋼鉄を重ね合わせて、何度も何度も焼入れと打ち延ばしを繰り返して作るところにある。軟鉄だけでは切れない。鋼鉄だけでは折れる。双方を合わせることで「折れず 曲がらず よく切れる」「しなやかで 粘りのある」すぐれた刀になる。
人間も同じで「柔」のタイプと「剛」のタイプの人がいると思う。このうち、勇気や積極性、負けん気、そして、自分を出すといった「剛」の姿勢は大いに大切である。しかし、必要以上に目立ちたがる、強がって見せる、知識や持ち物を自慢そうに開けかす、自分を主張することに固執する、高圧的に迫る、あるいは人の話を最後まで聞くことなく遮って頭から否定するといった「剛」の姿勢はいかがなものか。そして、自分の思いどおりにならなければ、従わない、従わないばかりか自分の非を棚上げして責任転嫁をする、そして、反省することも努力することもせず、あっさり投げ出す…といったことになれば、周囲の反感を買い、信頼も失う最も悪いパターンである。
「剛」と「柔」を併せ持った、しなやかで折れにくく、強い人に †
本当は、常に謙虚に、まずは柔軟に人の意見にじっくり耳を傾け、一旦冷静に受け止めた上で、意見を返していく「柔」の姿勢をもつことが大切。そして、反省すべき点があるのであれば反省し、修正すべきは修正し、自分の考えを固めたうえで行動に移す。一旦行動に移した後は、反論されても、責められても、決して感情的になることなく、また、臆することなく正々堂々と強く貫徹しようとする「剛」の姿勢が必要となる。言い換えれば「剛」の姿勢を持った「柔」、そうした謙虚さと柔軟さと強さをあわせもった「しなやか」な人間になることが大切。人は努力すれば自分を変えることができる。日本刀のごとく「剛」と「柔」を併せ持った「しなやかで折れにくく、強い人」となれるよう君たちの成長を願っている。
(2009.02.02)
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