平成21年度5月 全校集会 校長講話

緊張感を大切にしながら日々努力

1学期も1ヶ月を過ぎた。授業や部活動が活発に行われ、活気を感じるのは喜ばしい。安易に妥協することなく、緊張感を大切にしながら日々努力して欲しい。また、校内では、積極的に挨拶を交し合うさわやかな坂高生であって欲しい。

目に見えない大切なもの

ところで、先月の離任式で、ある先生が、「本当に大切なものは目に見えない」と言われた。その先生は、目に見えない大切なものとして、人を愛すること、大切にすることを説明されたと思う。それらは自分を大切にすることも含め、いずれも人間として本質的に大事なことである。君たちはその先生の言葉を思い出しながら、もう一度、それぞれに目に見えない大切なものを想像して欲しい。

今日は、目に見えない大切なものという観点でお話をしたい。君たちは高校で様々な勉強や体験を通じて、知的な向上を果たしながら大切なことを身に付けていかなければならない。私が考える君たちにとって大切なものとは次の二つである。それは、最近読んだ本に載っていたことでもあるが、次の2つのインテリジェンス…つまり、知性、理性、人間の知的能力… を身に付けることである。

アカデミック・インテリジェンス 

1つはアカデミック・インテリジェンス。これは学問的な知性。つまり、勉強を通じて得られる知識や技術、論理といったもので、学校で学ぶ多くのものがこれに属する。大学でも社会でも同じ。社会で仕事をする上で必要となる基礎・基本であり、普通、インテリジェンスと言えばこのことを想像する。これが大切であることは言うまでもない。これら、例えば、持っている知識の量、技術の優劣、点数や偏差値、席次、合否結果など比較的目に見えやすい、また、わかりやすいインテリジェンスと言える。

ソーシャル・インテリジェンス

でも、これだけが大切なインテリジェンスではない。もう1つ大切なものがある。それはソーシャル・インテリジェンスである。これは、ソーシャル、つまり、「社会の」という意味で、生活をよりよく営む能力のこと。具体的には、良好な人間関係を築きながら社会人としての力を発揮できる能力のことで、これはアカデミックインテリジェンスに比べると見えにくい。しかし、人間として大変大切なこと。具体的には、仲間とうまく付き合える力、意見の違う相手を柔軟に受け入れたり、上手に説得したり、好感の持てる話し方ができる力のこと。言い換えれば、自分や相手の感情を理解した上で、自分の気持ちを上手くコントロールしながら相手と応対し、自分の力を発揮していく能力のこと。この力がないと、いくら優れたアカデミック・インテリジェンスを持っていても社会の中では受け入れてくれない。

ひとまず聞きとめ、上手に反論・主張して欲しい。

おそらく、君たちは、よく、どうしてこの人は、こんなに思いやりがないのだろう、わがままなのだろう、とげとげしい言い方をするのだろう…と思う場合があると思う。しかし、その時は、まず、気持ちを落ち着けて、「相手は自分と立場や性格、考え方が違っているのだ」と言う前提に立って聞きとめて欲しい。相手の話を決して遮らず、無視せずひとまず聞きとめて欲しい。そして、その上で、決して感情的にならず上手に反論したり、主張して欲しい。そして、逆に「自分も、もしかしてその人と同じようなことをしてはいないだろうか?」と振り返って欲しい。例えば、自分の発言が、いつも多くの人から何となくうまく受け入れられていないと感じたら、それは、わがままな面があるのかもしれないし、周囲の状況を理解できていないのかもしれない。また、好ましくないものの言い方をしているのかもしれない。

ソーシャル・インテリジェンスを磨こう

人間は習慣の生き物。こうした行動や振り返りを繰り返すことで、確実に君たちのソーシャル・インテリジェンスは磨かれる。社会人として必要なことというと、誰しも優れたアカデミックインテリジェンスを想像するが、実は、そうではない。目立ちにくいがソーシャル・インテリジェンスの方が大切。いくら仕事ができ、勉強ができても、人の嫌がることをしたり嫌われるようではだめ。会社でもチームで仕事ができない人は絶対評価されない。どうか、アカデミックなインテリジェンスに比べて見えにくいソーシャルなインテリジェンスをしっかり磨いて欲しい。それが人間的な成長につながる。

君たちの大いなる成長を

ところで、見えにくいものと言えば、実はアカデミックなインテリジェンスについても同じ。点数や席次、偏差値と言ったものは実は目に見えやすい。しかし、本当は、それよりも、問題意識をもつことや、目標に向かって粘り強く続けようとする姿勢、我慢する気持ち、そして、うまくいかなかった場合に失敗を認める素直さといった目に見えにくいものの方がもっと大切。

こうした目に見えにくいものに気付き、その向上を通じて、君たち一人一人がこの一年に大いなる成長を遂げるよう期待する。

校長 島田政輝
(2009.5.01)

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Last-modified: 2009-05-01 (金) 13:23:44