平成18年度 卒業式 式辞

卒業生の皆さん、ご卒業おめでとう

 日差しがまぶしさを増し、新しい春の訪れを感じる今日、ただいまは普通科275名、音楽科26名の生徒諸君に卒業証書を手渡しました。まずは、卒業生の皆さんご卒業おめでとう。心よりお祝いを申し上げます。

 そして、この佳き日にあたり、香川県教育委員会より自然科学館館長宮下良造様、香川県議会より尾崎道弘様、坂出市より教育長横井武雄様をはじめ、多数のご来賓の御臨席と保護者各位の御列席を賜わり、ここに香川県立坂出高等学校卒業証書授与式が挙行できますこと、誠に喜びに耐えません。

多くの人の支え

 さて、卒業生の皆さん、思えば3年前、大きな希望と少しばかりの不安を胸に本校の正門をくぐって以来、夏の猛暑にも寒風吹きすさぶ冬の寒さにも耐えながら授業にゼミに、そして部活動にと、よく頑張りました。今、皆さんの心中は、きっとすがすがしい満足感に満ち溢れているものと察します。高邁自主の精神に基づく本校の教育をしっかり受け止め、立派に成長した君たち。君たちの努力に心から敬意を表します。しかし、その一方で決して忘れてはならないことがあります。それは、君たちが今日あるのはご家族の皆さんをはじめ、先輩、友人など多くの人の支えのお陰であるということです。また、本校教職員もたまには口うるさく感じたかも知れませんが、君たちを思う気持ちは誰にも負けません。心に留めておいていただければ幸いです。

生涯を通じて学び続ける姿勢を

 さて、これから社会に巣立ち行く皆さんに、私が日頃思っていることをお話して、はなむけの言葉とします。

 まず、1つ目は、生涯を通じて学び続ける姿勢を持ってほしいと言うことです。今日、科学技術や経済の発展には目覚しいものがありますが、我が国の将来を考えた時、残念ながら決して楽観できるものではありません。国外においては、科学立国として誇ってきた工業力が中国をはじめとするアジアの国々に追われる一方、欧米との競争や対立もこれまで以上に厳しくなっています。他方、国内においては、少子高齢化社会のもたらす歪みや、所得階層の2分化といった問題も危惧されています。こうした変化の激しい、不透明な社会をたくましく生き抜くためには、課題を見出す力や、その原因を論理的に分析する力、そして、その解決策を考案する力などが特に重要となります。また、その際、先を見通す力や、多くの要素の中で何が重要かを判断する力、自分の考えを周囲に発信する力も大切になるでしょう。こうした力は、いずれも受身の学習で身に付くものではなく、問題意識を持ちながら、自ら進んで学び、挑戦することで初めて自分のものになるのです。ぜひ生涯にわたり学び続ける姿勢を持っていただきたいと思います。

高いEQ「心の知能指数」を身につけた、共生社会の担い手に

 2つ目は、共生社会の担い手になってほしいと言うことです。今後、物質的にも精神的にも豊かな社会を形成するためには、一人一人がお互いに理解し、助け合う、いわゆる共生社会の実現が必要です。そのためには自分自身を含め、一人一人がかけがえのない存在であることを認識し、「自分ひとりがよければそれで良し」とするのではなく、「自分もよりよく生きたいが、それと同様に他の人も、よりよく生きようと願っている」という考えに立たなければなりません。勝手気ままな行動をする人や、公共マナーに欠ける人、他人の立場や感情に無関心な人が増えつつあると言われる今日、皆さんが常に他者に配慮のできる人権感覚豊かな人間になるよう強く願っています。今、EQ、エモーショナル・インテリジェント・クウォティエント、日本語で「心の知能指数」と呼ばれる言葉が重視されています。これは、自分の感情をコントロールし、相手の気持ちを汲み取りながら、人間関係をうまく処理する資質を意味する言葉です。これからの社会、自分の考えを正確に、かつ、好感をもたれるように説明できなければ誤解が生じます。また、相手の立場を理解し、思いやりある態度で受け止めることができなければ相手を正しく理解することもできません。どうか、高いEQ、「心の知能指数」を身につけた、立派な共生社会の担い手となるよう期待します。

保護者のみなさま、卒業生のみなさん

 最後になりましたが、保護者の皆様、お子さまはこんなに立派に成長しました。時にはぶつかり、時には励まし、そして共に喜んだ3年間、今日の喜びには計り知れないものがあると存じます。ご卒業を心からお祝い申し上げますとともに、これまで学校が賜りましたご理解とご協力に深く感謝申し上げる次第です。

 さて、皆さん、いよいよ本校を巣立つときが来ました。これからの社会は必ず君たちの活躍を必要としています。どうか健康に十分留意され、本校で身に付けた学業への自信と誇りを胸に、たゆまぬ前進を続けて下さい。皆さんの前途に幸多からんことを心より祈念し、式辞とします。

平成19年3月2日

香川県立坂出高等学校 校長  島田政輝

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Last-modified: 2008-12-20 (土) 12:19:21