平成21年度 卒業証書授与式 式辞

ご卒業おめでとうございます

 日増しに明るさを増す朝夕の日差しの中に、確かな春の訪れを感じる本日、ただいまは普通科240名、音楽科24名の生徒諸君に卒業証書を手渡しました。まずは、ご卒業おめでとう。心からお祝いを申し上げます。そして、今日の佳き日にあたり、香川県教育委員会、香川県議会をはじめ、多数のご来賓の御臨席と保護者各位の御列席のもと、ここに香川県立坂出高等学校卒業証書授与式が挙行できますこと、誠に喜びに耐えません。

頼もしく成長した君たち

 さて、卒業生の皆さん、大きな希望と少しばかりの不安を胸に本校の正門をくぐったのは今から3年前。「あっという間の3年だった」と言うのが正直な気持ちではないでしょうか?文武両道を旨とする本校だけに、勉強のこと、部活との両立のことなど、悩むことも多かったかもしれません。また、友人との誤解や諍いに悲しむこともあったかもしれません。しかし、皆さんは立派にそれらを乗り越え、本日ここに晴れやかに卒業を迎えることができました。高邁自主の精神に基づく本校の教育をしっかり受け止め、頼もしく成長した君たち。君たちの努力に心から拍手を送ります。
 また、保護者の皆様、本日は誠におめでとうございます。時にはぶつかり、ともに悩み、励まし、喜びあった3年間、今日の喜びには計り知れないものがあると存じます。ご子様は立派に成長されました。ご卒業を心からお慶び申し上げますとともに、これまで学校が賜りましたご理解とご協力に厚く御礼を申し上げます。

「自ら学び、考え、行動する人間になれ」

 さて、私は、皆さんにこれまで全校集会等を通じて、様々なお話をしてまいりました。その一つ一つに真剣に耳を傾けてくれた君たち。今日はその最後の機会でもあります。日頃思っていることを申し上げ、はなむけの言葉とします。
 まず、1つ目は、「自ら学び、考え、行動する人間になれ」と言うことです。1月の始業式で皆さんに、「グライダー人間にはなるな。飛行機人間になれ」と言いました。これまで世界をリードしてきたわが国ですが、その将来は決して楽観できるものではありません。中国の著しい発展や潜在力豊かなインドの成長など、益々国際競争が激化する中、我が国は、これまで培ってきた科学技術の力や知的財産を如何に発展させるかが強く問われています。一方、国内においても、経済不況とそれに起因した雇用問題をはじめ、医療、福祉など様々な問題が顕在化しつつあります。また、今世紀の人類共通の課題である環境問題についても国際社会の先頭に立つことが求められるでしょう。こうした時代にあって、明日の社会を牽引するのは紛れもなく君たちです。これはた易いことではないかもしれませんが、決して悲観することはありません。日本の若者には他国にない優れた教育水準と真面目さがあります。しかし、それだけではだめです。今後求められるのは、間違いなく「自ら学び、考え、行動する」という物事への取り組み姿勢でしょう。君たちは、ともすると、人に言われて学び、指示されて動く、いわばグライダーのような人間なのかもしれません。しかし、今日の社会はそのような人間ではなく、推進力を持ち自立飛行ができる飛行機人間であることを求めています。そのためには、何をすればよいのでしょうか。それは「興味を持つこと」。この言葉につきると思います。人の話を聞き、本を読み、新聞やニュースを見て、様々な情報に触れてください。そして、それらを、まずはプラス思考で受け入れてください。そうした中から、興味が芽生えてくるのです。「グライダー人間になるな、飛行機人間になれ」この言葉を拠りどころにして、自らを切り開く人間になるよう期待します。

「自分を客観的に見ることのできる人」

 2つ目は、「自分を客観的に見ることのできる人」になって欲しいということです。人は誰でも自分の欲するままに、行動したいものです。しかし、言うまでもなく、社会は多くの人の共同体です。「自分だけが幸せであればよい」のではなく、「自分と同様、周りの人々も幸せでありたいと願っている」という考えに立たなければなりません。我々は、時として勝手気ままな人や、公共マナーに欠ける人、相手の気持ちに無関心な人に出会うことがあります。でもその時、相手を非難するだけでなく、「ちょっとまて、自分もそのように見られてはいないか?」と少し距離を置いて問いかけてみてはどうでしょうか?それが自分を客観的に見るということなのです。そうすることで、気配りのできる人権感覚豊かな人間へと成長していけるのです。

「高校生活の最大の財産は人との出会い」

 3つ目は、すべての君たちにとって、「高校生活の最大の財産は人との出会い」であるということです。坂出高校という共通の学び舎で共に学んだ3年間、ここに築かれた人と人の絆は間違いなく君たちのかけがえのない宝物です。級友、先輩、後輩を生涯にわたり大切にしてください。また、我々教師一同も、決して君たちを忘れません。嬉しいこと、つらいこと、何かあればいつでも相談に来てください。

皆さんの前途に幸多からんことを

 さて、皆さん、いよいよ本校を巣立つときが来ました。これからの人生、必ずしも平坦な道ばかりとは限りません。しかし、社会は必ず君たちの活躍を必要としています。どうか健康に十分留意され、本校で身に付けた学業への自信と誇りを胸に、たゆまぬ前進を続けて下さい。皆さんの前途に幸多からんことを心より祈念し、式辞とします。

平成22年3月4日
香川県立坂出高等学校
校長  島田政輝

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Last-modified: 2010-03-08 (月) 09:54:21