学校再開にあたって 〜生徒の皆さんへ、全校集会に代えて〜

 このたびの新型コロナウイルスの感染拡大は、世界中に大きな影響を与えました。まず、世界で558万人を超える感染者と35万人を上回る死者を出したこと。(アメリカのジョンズ・ホプキンズ大学の5月27日の集計による。)そして、経済への計り知れないダメージを与えたということです。

 私たち坂出高校の日常も、ほぼすべてがストップしました。4月6日に始業式を、7日に入学式を行い、その後2日間授業をしただけで臨時休業の措置となったからです。通常であれば年度初めに行われる様々な団体や組織の「総会」というのも、ほぼすべてがなくなり、書面による議決が多く行われました。本校のPTA総会の中止もそのうちの一つです。

 人間は一人では生きていけないものですが、お互いが物理的に過度に寄り添うこともできなくなってきたと感じます。それは、今回国の専門家会議から「新しい生活様式」というものが提言されたからです。まず、基本的感染対策として、「人との間隔はできるだけ2m(最低1m)空ける」。食事については、「大皿は避けて料理は個々に」「対面ではなく横並びで座ろう」「おしゃべりは控えめに」。冠婚葬祭の場面でも、「大人数での会食は避けて」。働き方の新しいスタイルとして、「テレワークやローテーション勤務」、「会議はオンライン」、「名刺交換はオンライン」。そして、「対面での打ち合わせは換気とマスク」。

 このウイルスに打ち勝つまでの期間限定だとは思いますが、少し前に見たテレビで、ある感染症の専門家が、「3年から4年くらいはこのような生活をする必要があるのではないか。」と言っているのを聞き、愕然としました。治療薬やワクチンができていない現状では、私たちには「生活様式を変える」しか手はないということです。

 さて、5月25日に全国の緊急事態宣言が解除され、私たちの坂出高校でも明日6月1日(月)から「学校再開」ということになりました。生徒の皆さんにあっては、木曜日、または金曜日にHRで配布された『感染症予防を意識した学校での過ごし方』をよく読んで、感染防止のための基本的な習慣(手洗いの励行やマスクの着用、そして咳エチケットを守ること、ソーシャルディスタンスを確保すること等)を、できる限り意識して行い、「自らが感染者にならない、あるいは、すでに感染しているが症状が出ていないだけかもしれない、そして周囲にいる大切な人を感染させない」ということを常に念頭に置いた生活を送ってください。そして、体調不良の時には、ためらわずに学校を休んでください。  しかし一方では、社会的距離をとりつつも、級友らとの親交を深め、生涯にわたって付き合っていけるような友だちを見つけてほしいと願っています。高校時代の友人は、一生ものです。特に1年生の皆さんは、可能な限り部活動に入部し、「高邁自主」や「パティマトス」の精神の下、自己鍛錬にも励んでいただきたいと思います。

 そして、これが私からの一番のお願いです。万が一、皆さんのだれか、先生方のだれかがこのウイルスに感染するようなことがあっても、決してその人を責めないでください。だれもこの病気にかかりたいわけではありません。決して、二次被害を出してはならないのです。

 文化祭、体育祭もなく勉強中心の生活となります。インターハイも県総体も、合唱や吹奏楽のコンクールも、いろいろなイベントや大会がなくなり、それを楽しみに、また励みにしていた皆さんの心中を察すると、本当に胸が張り裂けそうな思いです。特に3年生。「総体等で区切りをつけて受験勉強に切り替える」というのがこれまでの典型的なパターンだったわけですが、今回はそれがかなわない可能性があります。競技ごとに、県総体の代替の大会開催を模索中のようではありますが。

 本当に厳しい状況ですが、ひとまずは学校再開です。これは喜ばしいことです。生徒の皆さん一人ひとりが、しっかりと前を向いて頑張ってくれることを期待しています。私たちも、皆さんを懸命にバックアップしていく覚悟です。

                                     令和2年5月31日 坂出高等学校長 黒島俊哉   

 

 


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Last-modified: 2020-06-01 (月) 09:05:11