令和3年度 第1学期始業式講話 (4月6日(火))

                     

 春休みに入った頃には、まだ桜も早いものが咲き初めといった頃だった。それから20日足らずだが、私たち学校の教員が1年で最も慌ただしい日々を過ごしている中、いつの間にか本格的な春になっていた。本当に、「気がつけば春真っ盛り。」というのが学校に勤める私たちの常である。この素晴らしい季節の到来を、しみじみと味わうこともできないというのは非常に残念なことだと、毎年ゴールデンウィーク頃になって思う。

 皆さんの春休みはどうだったか。学業に、部活動に、充実していたか。昨年度最後の講話で話した通りの生活が実践できたか。大きな事故の報告を受けていないのは幸いだが、何か変わったことがあった人は、この後のホームルームで担任の先生に伝えてほしい。

 今日はまず、皆さんにまず知らせておきたいことが2つある。1つは大学入試について、2つ目は部活動での活躍についてである。私は今年度で坂出高校の校長として4年目を迎えるが、先生方には大きく3つのことをお願いしている。そのうちの二つが、進学に関することと、部活動に関することである。

 まず大学入試に関して。先月卒業した先輩方だが、現在判明している分で、国公立大学に120名が合格した。過年度生10名を含むが、卒業した生徒数263名から単純に国公立大学に合格した人の割合で言うと、45.6%である。この40%超えというのは4年連続である。中でもこの45.6%というのは、過去21年間の中でも一昨年の47.1%に次いで2番目に高い数値である。 この学年の特徴は、第一志望を貫いた人が多く、最後の最後まで粘った者が多かったということ。ただ1年次から学習時間が少なく、そこが心配な学年であった。みなさんも第一志望を貫徹してほしい。私は皆さんによく言っているつもりだが、「先輩ができることは、皆さんにもできる」ということ。それが伝統というものの持つ力である。

 もう一つは、部活動での活躍である。ちょうど春休みが始まった3月20日、宮崎県で行われた全日本アンサンブルコンテストで、本校の打楽器五重奏が全出場校(全国の各ブロック予選を勝ち抜いた22校)のうち、7校にしか与えられない金賞を獲得した。金賞のうち、打楽器は本校のチームだけだったということで、打楽器の日本一と言ってもよい。コロナの影響で、練習にも制約が設けられる中での快挙である。全校をあげて喜びたいと思う。

 ここからは、真に新年度の初めにふさわしいことを話す。これは、「高邁自主」に並ぶ坂出高校の伝統の一つである「パティマトスの石組み」についてである。「この石組みは、本校創立50周年記念事業として、建て替えで使われなくなった木造校舎の礎石などを転用して作られたもの。制作は空充秋(そら みつあき)氏、ギリシャ語の碑文は校長の高塚寛氏による。(「創立百周年記念誌」より。)」私は5年前に本校に赴任したが、それ以前から、この石組みに大変興味を持っていた。その理由は2つある。

 一つには、ギリシャ語である「パティマトス」の意味、「英知は苦難を通して来たる」という言葉に感銘を受けていたこと。何事も、楽をして好ましい結果が得られるということはなく、素晴らしい結果を生むにはそれ相当の努力や苦労が必要であるということだ。 そして今一つには、この碑文を選定した当時の高塚寛校長先生のことを、自分が教員になりたての頃に頻繁にうかがっていたから。私が新任教員として勤務していた学校(善通寺第一高校)には、坂出高校で勤務した経験がある先生方がたくさんいた。高塚先生は、本校の第14代目の校長で、昭和37年度から昭和46年度まで、実に10年間にわたって本校の校長を務めた方である。たいへん博学な先生だったと伺っており、古代ギリシャの三大悲劇詩人と言われるアイスキュロスの言葉を刻んだ。先生の専門が何であったかは知らないが、社会科、特に哲学の方面の専門でもない限り、普通は余り知らないような言葉だと思う。デザインも大変洗練された石組みで、このような高潔な言葉を刻んだことが、その当時の職員に大変な感銘を与えるとともに、坂出高校が知的レベルの高い学校として県下に名をとどろかせたというふうに聞いている。皆さんもどうか、パティマトスという言葉の意味をしっかりと認識し、知的レベルを高めてほしいと思う。私たち教職員も、この気高い言葉を大切にしていきたいと思う。

 最後に。明日には新入生251名が入学してくる。新入生がどのように育つかは、先輩である皆さんがどのようなものであるか、すなわち学業や部活動・生徒会活動への取り組み方、行動の仕方にかかっている。良い先輩・良いお手本となれるよう自覚ある行動を望む。


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Last-modified: 2021-04-07 (水) 17:06:10