令和3年度3学期始業式講話(1月11日(火))


 本来は最初に違う話をしようと思っていた。齋藤教頭先生が1月7日に亡くなられた。坂出高等学校として哀悼の意を表したい。黙とうをささげたい。

   さて、皆さんは新年になって本当におめでたいと思っているか。私はかなり長い間、今でははっきりと覚えていないが教員となってからも、新年とか自分の誕生日とかを、本当にめでたいと思わなかった。新年や誕生日は、「来て当たり前」のものだと考えていたのである。しかし、教員となって年を重ねるにつれ、思わぬ病気や事故が原因で、新年や誕生日を無事に迎えることができない人が結構な数いることということが分かるようになってきた。残念ながら、齋藤教頭先生がまさにその典型例になってしまった。そういう中で、無事に新しい年を迎えることができたという意味で「おめでとう」という言葉を自然に言えるように、そして自然に受け入れられるようになってきた。今考えると、長い反抗期だったのかもしれない。一般的には、青年期後期は大学卒業頃に終わるはずなのだが。少なくとも、私は大学でそう習ったと記憶している。

 今年度も残り3か月。昔から言われているように、「一月は居ぬ、二月は逃げる、三月は去る」で、3学期は本当にあっという間に終わってしまう。これまでも繰り返してきたつもりだが、1日1日を大切に、そして有意義に過ごしてほしい。

 3年生の皆さんには、いよいよ共通テストまで残りわずかとなった。私は君たち、坂高生を全般に非常に優秀な生徒であると思っているが、数点気がかりなことがある。その大きな一点目が欠席。皆さんのほとんどが大学へと進学していくが、大多数の大学は生活指導、具体的は欠席や遅刻、早退などについての注意喚起をしてくれない。私は、生活についていろいろ助言するのは高校までであると思っているので、敢えて言っている。社会人になって、普通の勤務日に急に休むということは常識的には考えにくい。もちろん、人間なので風邪をひいたり発熱したりして、どうしても仕事に行けない日はあるだろう。しかし、それが許容されるのは年に一度くらいではないか。甘めに言ってもせいぜい2回、通算では年間3日くらいではないか。それ以上の日を体調不良で休むということは、少なくとも私の考える常識では通用しない。体調管理というのは、社会人に課せられた大きな義務である。少し話題が逸れるかもしれないが、皆さんは日本国憲法で定められた国民の三大義務というのを覚えているか。中学校でも、また、高校1年生の現代社会でも習ったのではないかと思う。その義務とは、「教育の義務」、「勤労の義務」、「納税の義務」である。すでに習った内容だと思うので詳しくは言わないし、「欠席が多い=将来会社を休む」という単純な図式にはならないと考えるが、それでも若干の不安を感じてしまう。勤労と納税の義務はきちんと果たしてくれるのか。特に今の時期の3年生。今日、この話を聞いている人は出席しているわけだから、欠席している人に対して言うべきことである。始業式の日から共通テストまでの間、非常に欠席が多い。実に嘆かわしいことであると言いたい。しかし、今朝欠席連絡は全学年で10名ほどであった。少ないとは言えないと考えるが、ともかく休むことなく学校に来なさい。大体において、受験でうまくいく人というのは、学校を最後まで信頼して生活を送ってきた人である。今日きちんと出席している3年生の皆さんが、受験で成功することを切に願っている。本当に今日この日、即ち共通テストを4日後に控えた日であっても、いつも通り学校に来る。私はこれが当たり前だと考えている。1年生と2年生の皆さんも、去年6月に進路指導部から配られた「進路資料」の中にある合格体験記をぜひともいま一度読み返してほしい。坂高を、そして坂高の先生方の言われることを最後まできちんと実践してほしい。そうすることで、夢は必ずかなえられる。そうでない人は、必ずと言っていいほど苦労する。
 そういう体験記は書いてもらえないのが残念だが。

 さて、COVID-19と名付けられたコロナも、昨年11月下旬頃になって新たな変異株オミクロンが発見され、最近では日本でも急激な感染拡大のために、いろいろな規制がされ始めてしまった。この2年近くにわたるコロナ蔓延の影響で、生活スタイルが変わってしまった点もある。アメリカ合衆国では、誕生日にケーキの周りで happy birthdayを歌い、ろうそくを消したり、握手したり、ハグ(抱きしめる)したり、頬にキスしたりといったいわば‘伝統’までもが消えかかっていると聞く。皆さんのような若者の間ではどのような変化が起こったのだろうか。学校の臨時休業や夏休みの延長などによって、自宅にいる時間が長くなったせいで、ゲームやSNSへの依存度が高まってはいないだろうか。コンピュータ自体を否定するものではないが、それが‘依存’になってはいまいか。また、友達と対面で交流する機会が減ってしまったために、言葉によるコミュニケーション能力が落ちたのではないだろうか。悩み事を一人で抱え込んでしまい、精神面で不安な人が増えたのではないだろうか。いろいろなことを考えてしまう。もし、そういう人がいたら、遠慮なく担任の先生や教育相談部の先生に話をしてほしい。私たちは、皆さんの話を聞くことしかできないかもしれないけれど、逆に聞くことは得意である。学校は決して勉強と部活だけのための場所ではない。知性と豊富な経験を備えた立派な先生方がいる場所である。この意味でも、学校は皆さんが来る値打ちのある場所であると自負している。

 話は変わるが、今年2022年は冬季オリンピックが中国の北京で開催される。もう開幕間近である。このスポーツの祭典をめぐって昨年末あたりから、アメリカ合衆国と中国でかなり火花が散っているようである。学校では政治教育と宗教教育はしてはいけないことになっているので深入りはしないが、個人的にはスポーツと政治というのは結び付けて考えない方がいいのではないかと思う。オリンピックは、アスリートが純粋に競技に打ち込める場であるべきだと私は考える。皆さんはどう考えるか。何事につけても、自分の意見を持っておくことが大切である。 令和4年度はいよいよ「18歳成人」が本格的に始まる。2年生は4月の新年度から18歳になった時点で、3年生も18歳になった時点で、かなりたくさんのことを自分の判断だけで行えるようになる。成人なので、保護者の許可は不要である。最も注意を要するのが「契約」である。例えば、ローンを組んで自動車を購入することが自分の判断でできるようになる。これは一つの例えだが、そこにはローンの仕組みについての知識が必要になる。現在おもに家庭科で習っているはずである。いよいよ自分で判断を下す立場になる。1年生の人は一年後である。そこで、例えば現在借り入れをした場合の利率や、逆に預金をした時の利率を知っているか。「共通テストを前にして何を?」と思っている3年生も多いのではないかと思うが、実はこのような知識は社会に出てから大変重要なものである。それがゆえに、来年度入学生から新しい科目「公共」というのを学ぶようになる。

 もう高校生にもなっているのだから、いろいろなことを他人任せにするのではなく、自ら考え行動できる人間を目指してほしい。3学期は、1つ上の学年になったつもりで、学業に部活動に励んでほしい。特に学業においては、それが夢をかなえる近道である。




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Last-modified: 2022-01-11 (火) 15:44:18