さぬき・東かがわ支部メディア教育研究部会活動報告

研究主題

「豊かな学びを支援するメディア教育のあり方」

1  はじめに

 コンピュータが画像や音声,動画を扱うメディア機器の中心的存在となり,様々なメディアの編集や教材の制作,事務処理など私たちの学校現場でも必要不可欠な道具として定着した。最近では,地上波デジタル放送の本格的な開始やワンセグ放送を受信することができ情報末端としての地位を確立しつつある携帯電話など,これからの私たちを取り巻く情報通信社会の変化はますます加速しそうな勢いである。また,時代がどんどん便利になる一方で,教師のメディアリテラシー向上の必要性や現実とバーチャルの世界を混同し人と人との関係を築けない生徒の増加,チェーンメールなどに代表されるモラルの低下,さらには心が育たないことによって引き起こされるいじめや自殺など,多くの課題が浮かび上がっている。
 さぬき・東かがわ支部では,今年度より情報教育研究部会と視聴覚教育研究部会がメディア教育研究部会として新しいスタートをきった。今年度は「豊かな学びを支援するメディア教育のあり方」というテーマを設定し,まずは会員自身の技能の向上を図る実技研修を中心に研究を進めた。

2  研究の概要
  1. 第1回部会(4月28日 津田中学校)
    1. 研究主題の決定
    2. 研究組織の決定
    3. 研究計画の決定
      • 実技研修会について
      • 実践発表について
      • 校内LAN共通仕様について
  2. 第2回部会(7月28日 大川第一中学校)
    1. パワーポイントによるプレゼンテーションの作成及びムービーメーカーによる動画の編集とプレゼンテーションへの活用( 基礎編 )
      ( 講師 大川第一中学校 大高教諭 )
      • ムービーメーカーの基本操作
      • 動画のパワーポイントへの貼り付け
      • 自作教材の制作
    2. 研究協議
      • 校内LAN共通仕様の検討
        • 校内LANを使ってできることの確認
        • ネットワーク構成について
        • 必須ハードウェアについて
        • 必須ソフトウェアについて
        • 保守管理契約について
      • 各校のメディア教育の取り組み・予定についての報告
  3. 第3回部会(11月21日 大川第一中学校)
    1. パワーポイントによるプレゼンテーションの作成及びムービーメーカーによる動画の編集とプレゼンテーションへの活用( 応用編 )
      (講師 大川第一中学校 大高教諭)
      • 自作教材の制作 ( 第2回部会の続き )
    2. 研究協議
      • 校内LAN共通仕様の検討・決定( 第2回部会の続き )
      • 各校のメディア教育の取り組みについての実践発表
        • 今年の夏に新しいパソコンが入った。総合的な学習の時間や選択教科での調べ学習に活用している。 ( 引田中 )
        • 現職教育で,プロのカメラマンに依頼して,デジタルカメラの撮影方法についての研修を行った。 ( 白鳥中 )
        • 総合的な学習の時間や選択教科・社会科での調べ学習に活用している。また,現職教育で,webメールの使い方,Excelの研修を行った。
        • 技術科2年で地域の調べ学習に活用し,「わが街の魅力」というページを作って情報発信している。また,3年では,学校のWebページを分担して制作している。 ( 大川一中 )
        • 技術科1年でデジカメの操作とWordを使った学校紹介の制作をしている。技術科3年でExcelを使ったカレンダー制作をしている。 ( 天王中 )
        • 学校に導入されるPCやデジカメの品質に問題がある。また,放送設備の老朽化が著しい。パソコン部で部活動紹介VTRと卒業生に贈るビデオレターを制作している。 ( 志度中 )
        • 「今日の東中」として毎日情報発信している。学級の掲示板があり,日直が写真とコメントを載せている。生徒が道具として使えるようになった。 ( 志度東中 )
        • 行事のVTRを編集して,オープンスクールで公開している。 ( 津田中 )
3  おわりに
  1. 今年度の研修について
    1. 校内LANの共通仕様を検討していくことの意味は大きい。この申し合わせに留まらず,必要な環境が整うよう,各校で毎年,具体的な要求をしていくことが重要である。
    2. プレゼンテーションの研修は,会員のリテラシーを向上させるという意味で,大きな効果があった。しかし,コンピュータを使うことが絶対条件ではない。模造紙を用いたプレゼンテーションも1つの選択肢であるし,生徒全員が制作に参加できるというメリットもある。様々な方法を模索していくことの意味は大きい。
  2. 来年度の課題について
    1. 実技研修は,会員のリテラシーを向上させるという意味で,大きな効果があった。ただ,研修内容の自由度が大きすぎて,その成果にも個人差があった。参加者がヒントを与えてもらえるような,ポイントを絞った研修になればなお良い。
    2. 研修内容をどう生徒に還元するかという発想が必要である。そう考えると,2回の研修会のうち1回は研究授業など,生徒への指導方法の研究を進めることができる内容を取り入れたい。
    3. これからの時代,情報モラルに関する研修や授業研究がより一層大切になってくるのではないか。