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暑さも和らぎ、次第に過ごしやすくなってきた。勉強の大切さをしっかり認識し、十分に取り組むことで、充実した学校生活が展開されていくよう大いに期待する。
さて、物事がうまく行くかどうかは、ものの見方や考え方に大きく左右される。もし、次のような場面に遭遇したらどうするか?
前者は直感で対応する方法、後者は分析的に考え予測する方法と言える。それぞれ一長一短があるが、社会人として本当に必要なことは後者の方。これは論理的なものの見方につながる。
自然科学の研究の仕方や学び方は、非常に論理的である。つまり、「観測や実験の結果を分析して法則や規則性をみつける(帰納)。そして、その法則や規則が正しいかどうかを検証するためにモデルつまり仮説を立て、それが正しいとすれば生じるはずの新たな現象を予測する(演繹)。もし実験結果と合わなければモデルを修正する。…」といったプロセスを続けていく。
実は、こうした考え方は自然科学だけでなく、社会現象もすべて同様であり、そこには理系も文系もない。複雑化が一層進むこれからの社会では、どのような仕事に対しても絶対に必要な考え方である。例えば、商品開発を行う場合、まず、市場分析を行い、商品のニーズを探る・・・車であれば、売れている車の要因は、色か、形か、燃費か、機能か…等を徹底的に分析して、その原因を予測する。そのためには、逆に、売れていない車の分析も必要。そして、売れる要素と売れない要素の共通項を見つけるが、これは実験や観察から規則性を見つけ出すのと同じ。そして、それに基づき、新製品の色や形、性能…を予想していく。このように、社会現象でも経済活動でも、すべて観察、分析、予想、修正…といったサイクルで進んでいる。そして、「勘」とか、「出たとこ勝負」とか、「行き当たりばったり」とかいった考えは、まず通用しない。
学校生活も同じ。例えば部活動の場合、まったく同じような体格、能力、生活状況なのに、なぜ相手の方が成績がよいのか、ぜひ、様々な角度から自分と見比べてみて欲しい。きっと違いが見つかるはず。練習方法、食事の仕方、練習記録のつけ方、通学手段・・・思わぬところに様々な違いが見つかるはず。次に、それが正しいかどうかを、他の優れた選手に当てはめてみて欲しい、その結果、その予想が当たっていれば、ぜひ、それを取り入れて欲しい。これは勉強についても同じである。
このように、ものごとを論理的にみること、つまり、分析的に、総合的に見ることはこれからの社会に生きる人間にとって絶対に必要なことである。論理的に見るということは、決して理系だけの話ではない。また、面倒だから避けて通るべき話でもない。これからの学校生活で、こうした思考の習慣をしっかり身に付けて欲しい。
自然科学の話が出たので、一つ付け加えておく。今年の夏は特別に暑かった。北極の氷が史上最小になったとの報道もあったが、氷が小さくなれば何が問題なのか?水面上昇か?…北極の氷はもともと水に浮いているのであまり関係ない。実は地球全体の太陽光線の反射能が低下して光線の吸収量が増すことと、氷に閉じ込められていた二酸化炭素やメタンガス等の、いわゆる温室効果ガスが放出され、ますます温暖化を加速する恐れがあることが問題である。その結果、気温の上昇の様子が地域によって変わり、異常気象の原因にもなり、ひいては深刻な食糧不足と水不足が起こると言われている。
地球の温暖化は二酸化炭素の発生量の増加に大きな原因があるので、その原因となる化石燃料の消費を抑えなくてはならない。そもそも化石燃料は、地中で数億年にわたり作られてきたもので、これを我々はたった数十年で使いきろうとしている。化石燃料は燃やしてしまうのではなく化学工業や医薬品の原料として後世に残しておくべきである。それが我々が子孫に対して果たすべき責務であろう。