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4、活性化の事例

 観音寺市の商店街が活性化にどのように取り組んでいるか、具体例を見てみよう。

(1)空店舗解消にチャレンジストア制度

yanagi.jpg (18442 バイト) 柳町商店街は、古くから栄えた市内の中心商店街である。店舗構成は買回品店が多い地域型商店街である。平成元年に開店した大型ショツピングセンタに客を奪われ、商店街の通行量は昭和55年の3,500人から、平成元年11月には600人に激減し、空き店舗も昭和55年の8店から平成2年には23店と約3倍増加した。平成4年に空き店舗解消策を研究し考えだしたのが「チャレンジストア制度」である。この制度は、空き店舗を利用して商売をしたい人に経営活動を支援するシステムである。家主の協力で6ヶ月間は家賃を無料とし、6ヶ月間経営者としての体験をしてもらい、6ヶ月後正会員になり営業を続けるか撤退するかは自由である。平成6年にスタートし16店が参入し6ヶ月後6店が残り10店が撤退していつた。平成9年には新たに1店が参入し現在7店が営業中である。7店の構成は衣料関係3、駄菓子屋1、コインショツプ1、カイロプラクテック1、花屋1である。立案者の横田さんは「空き店舗対策を公的資金の援助を受けずに自前で行ったのは全国で唯一ここだけです。商店街に新しい血を入れることによって、活力を取り戻したい。多少とも希望の光が見えたので期待をもって見守っていきたい。」と、話していただいた。

(2)上市商店街の新しいまちづくり

tate.jpg (12975 バイト)上市商店街は古い歴史と文化をもつ市内有数の伝統ある商店街である。大宝3年(703年)琴弾八幡宮の造営、弘仁3年(812年)空海による四国霊場観音寺、神恵院の開基、中世以後、これらの門前(上市、下市、今市)において定期市がたち、室町時代に常設の小売店舗が集まり門前町が形成された。上市商店街は、柳町商店街と同様、平成元年に開店した大型ショツピングセンタに客足を奪われ、平成元年には、1日の通行量は700人と少なく、昔の繁栄を取り戻そうkami.jpg (17013 バイト)と平成2年8月に振興組合を設立し、商店街活性化事業に取り組んだ。スタートから平成9年6月の完成まで7年の歳月がかかっている。まちづくりの基本コンセプトを伝統の文化を継承しながら常に新しい文化を発信する最前線「カルチヤーフロント上市」を創造するとした。6m幅の県道を16m(車道9m、両側の歩道を3.5m)に拡幅するため道路沿いの店舗・民家をセット・バックする。道路に面した建物はすべて明治、大正、昭和初期の洋風建築をイメージしたレトロ調に統一する。舗道はレンガ色とする。aati.jpg (14480 バイト)地域住民および観光客の憩いの場として、白壁のコミュニテイホール、火の見櫓風の時計台、ガス灯をかたどった照明燈、モニュメントとして、御影石の七福神像設置する。事業資金としては国、県、市の補助金、組合費および立退き保証料の3%でまかなう。新しい上市商店街が誕生した。浅井さんは、「ハード面の整備は終わったので、これからは顧客のニーズにどう対応するかソフト面の充実が大切である。」と話していただいた。10月5日には、完成記念式典「グランドオープニングイベント」が盛大に行われた。紹介した2つの商店街に共通している点は、活性化を図るため、商店経営者自らが大変な努力をしていること。商店街をまとめていく優れたリーダーがいること。国や県の振興策を有効に活用したことなどがあげられる。

 

 

 


5、まとめ

 大型店の出店については、賛否渦巻いている。反対する側は、中小小売店の廃業による商店街の衰退と、町並みの崩壊を主張する。他方、流通近代化を唱える立場からは、中小小売業の利益を擁護する大規模小売店法は、流通の近代化を阻害し、消費者の利益に反すると主張する。平成元年からはじまった日米構造会議でわが国の国内市場の開放と大店法の撤廃がアメリカ側から強く要求され、大店法は規制緩和へ進んでいる。欧米諸国においても、都市計画の立場から厳しい大型店出店規制が行われている。フランスでは、中小小売店が激減し、1996年に大幅に規制を強化し、店舗面積300u以上を規制の対象としている。ドイツにおいても、建築利用令によって、環境面で重大な悪影響を生ずる恐れがあると判断されれば、建設は許可されない。その影響とは、既存小売店に対する影響、住民への日用品供給にたいする影響などである。tokei.jpg (14379 バイト)近辺の商店街の現状を考えると、中小小売店が大型店と自由に競争するための枠組みを整備する必要がある。それには商店街がある中心市街地の再構築が必要である。とくに、中心市街地へ人が戻ってくるための対策を主眼におき、道路の整備、コミニティ・ホール、小公園、公共駐車場、公共トイレなどの整備が必要である。中小小売業者の役割は、消費者のニーズにあったより良い品質の商品を、より安い価格で提供することによって消費者の消費生活の向上を図ることと、地域社会の一員として積極的に地域文化の向上に貢献することである。地方自治体、商店経営者、地域住民が連帯してまちづくりを進めることが大切である。