蒟醤 KINMA

蒟醤(キンマ)は東南アジア由来の技法。堅地の上に漆を十数回重ね、塗膜に厚みを持たせた後、鋭敏な剣(けん)と呼ばれる刃物で模様を線彫りする。そこに色漆を埋めて乾かす。表面を平らに漆を研ぎ出すと、線彫りした部分のみ色漆が残り、模様がはっきり見えるようになる。

存清 ZONSEI

堅地の上に漆を十数回塗り、厚みを持たせた後に上塗りを施す。その上に模様を漆絵や蒟醤で描き、呂色仕上げを行う。その後図案の輪郭や花弁などを刃物で毛彫し画風を整えると、上品で繊細な味わいが出る。毛彫には金粉を刷り込む場合もある。

彫漆 CHOUSHITSU

古くは堆朱(ついしゅ)、堆黒(ついこく)と呼ばれた。器物に100回近く漆を塗り重ねた後に(100回で厚さ3mmほど)漆をレリーフ状の模様に彫る。断層によって繊細で立体感のある美しい模様が作り出される。現代では様々な色の漆が用いられており、表現の幅を広げている。

後藤塗 GOTOUNURI

江戸時代末期、高松藩士の後藤太平によって発案された。中塗りの後に朱漆を塗り、漆が乾かないうちに、たんぽや指でた叩いて凸凹の地紋を作る。乾いた後、透漆(すきうるし)を薄く塗りこみ仕上げる。日用品の仕上げとして末永く愛されている技法である。

象谷塗 ZOUKOKU NURI

香川漆芸の祖、玉楮 象谷(たまかじ ぞうこく)から名を取り、象谷塗と呼ばれる。素地に不規則ならせん状の彫を入れ、生漆(きうるし)を摺り込む。その上に真菰粉(まこもふん:イネ科 多年草の根元から取れる粉)をまいた摺り漆で仕上げる。使い込むほどに渋みを増す民芸的な味わいがある。