川崎医科大学医学部研究室体験研修(1日目)
2025年8月7日 09時52分8月5日、6日の2日間、川崎医科大学医学部にて本校2年生3名を対象に研究室体験研修を行いました。今回のテーマは「オオサンショウウオが医学を変える?」です。
こちらの記事では1日目の様子を報告します。
今回ご指導くださったのは川崎医科大学医学部教授 西松伸一郎 先生です。
西松先生は両生類、特にオオサンショウウオを対象として分子生物学的アプローチで研究をされております。
今回の研修では、オオサンショウウオと外来生物のチュウゴクサンショウウオ、そしてそれらの交雑種についてDNAから区別するという実験を行いました。
川崎医科大学に到着後、西松先生の経歴とオオサンショウウオの研究に至るまで、そして2日間の研修で行う実験に関する基礎的な知識についてお話いただきました。
レクチャーの中では、生徒たちに質問を投げかけたり、意見を聞いてくださったりと、生徒とのコミュニケーションを積極的にとってくださり、生徒の緊張も徐々に解けていきました。
午後から本格的に実習が始まり、最初にオオサンショウウオの各個体のDNAサンプルを使ってPCRの準備を行い、PCRを行う機械にかけました。PCRがうまく行ったかどうかは2日目にわかります。
PCRの作業が終わり、次は実験動物の飼育施設の見学と細胞の観察の研修に向かいました。
実験動物の飼育施設では実験動物として広く使われているマウスやラット、実験動物としては珍しい有袋類(お腹に袋のある動物、カンガルーやコアラなどの仲間)のオポッサムを見せてくださりました。
飼育施設の統括の方は、「どうしても医学や生物学の研究には多くの動物の命が必要となってしまい、実験の処置などは時に残酷なこともある。だからこそ、そういったとき以外は動物たちが少しでもストレスがなく幸せに生きていけるよう我々は尽力する必要がある。実験に使うからといって無碍に扱うことはない。」とお話されており、我々が日々享受している医療を支えている実験動物たちに心から感謝しなければならないと改めて感じました。
その後、西松先生と再度合流し、西松先生が飼育しているオオサンショウウオの飼育施設を見学させていただきました。
飼育しているオオサンショウウオは1m以上のサイズの個体もおり、想像以上の大きさに生徒たちは皆驚いていました。また、少しだけオオサンショウウオの尻尾を触らせてくださり、オオサンショウウオの生命力を肌で感じることができました。
飼育施設の見学の後は、細胞の観察について岩知道さんと千郷さんにレクチャーをしていただきました。今回観察したのはマウスの腎臓の糸球体と言われる、血液をろ過する部分です。
岩知道さんには光学顕微鏡による観察と観察に至るまでのサンプルの調製について教えていただきました。特に観察のために組織を薄く切る技術の実演では、プロの技に大いに魅せられました。
千郷さんには腎臓の糸球体を走査型電子顕微鏡と透過型電子顕微鏡で観察させていただきました。
電子顕微鏡の基本的な原理から、それぞれのタイプで見れるものや見れないもの、どういったサンプルの準備をする必要があるのかということについてレクチャーをしていただきました。
普段学校では見ることのできないサンプルや顕微鏡での観察を経て大いに刺激を得ました。
また、観察することでわかることがたくさんあり、観察実験の重要性に改めて気づかせてくださりました。
1日目最後のメニューは電気泳動用のゲルの調整です。明日はこのゲルをつかってPCRにかけたDNAサンプルを電気泳動していきます。どのような結果が得られるか楽しみです。
1日目の報告は終了です。2日目に続きます。