1学期が始まって一月が経過しようとしている。部活動も活発になり、学校全体が非常に活気を帯びてきていることは大変喜ばしい。
外部の人はもちろん、先生方にも、友人にもあいさつを交し合う、すがすがしい坂高生であって欲しい。
また、学期はじめに各自が立てた目標は順調か?今一度、現状を振り返り、更なる頑張りを見せて欲しい。
先日、旧3年担任の先生からの報告会があったが、そこでは、授業を大切にし、定期考査をきちんとやっている者は伸びる。部活動との両立をやり遂げた者は、最後の伸びが非常に大きい・・・等の話があった。持てる力を精一杯伸ばすこと、しんどいけど最後まで頑張りぬくこと、周囲に左右されない強い自分を持つこと・・・を念頭に頑張って欲しい。
今日は問題意識をもつことの大切さについてお話したい。
君たちはニュートンのりんごの話を知っていると思う。ニュートンが芝生に寝転がっていて、りんごが落ちるのを見て、万有引力を発見したという話で、ニュートンの天才ぶりを物語るエピソードとして有名である。しかし、いくら彼が天才でも、単にりんごが落ちるのを見て直ちに万有引力の発見につながったわけではない。彼は当時、太陽の周りを回る地球に働く力や、地球の周りを回る月に働く力の解明に没頭しており、来る日も来る日もその原因を考えていた。そうした中で、りんごの落下がヒントとなって万有引力を考え付いたのである。つまり、そうした背景がなければいくら天才ニュートンでも万有引力の発見はできなかったのである。
もう一つ、車の生産工程でのベルトコンベアー方式。これを発案したのはアメリカ
の自動車王ヘンリー・フォードである。彼がこれを発案した経緯は、自分の会社の業
績が行き詰って、何とか生産効率を上げる方法はないかと、毎日毎日頭をひねってい
たところ、ある日、肉屋の前を通りかかった時、天井から1頭の牛が逆さに吊り下げ
られ、3人の職人さんが頭、背、足の部分とそれぞれ手分けして肉をそいでいた光景
が目に留まり、はっと気が付き、これを車の生産工程に取り入れたというものである。
これも、突然、気付いたのではなく、来る日も来る日も頭をひねっていた中で、初め
て、アイデアがひらめいたのである。
このように、すばらしいアイデアや考えは突然ひらめくのではなく、毎日、毎日、問題意識をもっている中ではじめてひらめくのである。
こうした事例は、他にもいっぱいある。楽天の野村監督はID野球で有名であるが、現役の時、キャッチャーである彼は相手の攻略法を常に考え続けていた。どういうコースのとき相手は打ち損じたか、ヒットを打ったか。このバッターは絶対に一球目は打ってこない・・・といった結果をすべて記録につけていた。すると、そこから自然に打者の癖や特徴、長所や短所が見えてくる。そして、そのことが基になって頭脳野球が完成した。
アイデアやヒントは突然浮かぶものではない。常に問題意識を持って考え続けている人にのみ、ぱっと広がるものである。こういうのを、フランスの生化学者のパスツールは「チャンスは準備した人にのみ与えられる」と言った。なお、こうした気持ちの持ち方を、英語では「プリペアード・マインド(Prepared Mind)」と呼ばれ、非常に重視されている。
これを君たちの学校生活に当てはめてみよう。
君たちが解決すべきことがらはいっぱいあると思う。
例えば、部活動では、
勉強では、
などいっぱいあると思う。
「わかりたい」「知りたい」「できるようになりたい」「解決したい」・・・すべて問題意識である。
常にそうした気持ちを持ち続けておけば、ちょっとした情報が思いがけないヒントになる。先生の朝のショートでの話の中にも、テレビの番組にも、雑誌の記事にも…役に立つヒントはごろごろしている。問題意識をもたずボーとしていれば、そうした貴重なヒントは君たちの耳を右から左に無駄に通り過ぎていくだけである。こうした、問題意識をもっている人だけが、そうした情報をアイデアの発見、問題の解決につなげることができる。どうか、常に問題意識をもつよう心がけて欲しい。