3学期終業式式辞(3月19日(火))

 1年が過ぎた。あと2週間ほどで1つ上の学年に上がる。  この1年間を振り返って「長かった」という人はどれくらいいるだろうか。大部分の人は「早かった、短かった」と思っているに違いない。「100年」などと言われる人生というのも、このように過ぎていくものであると、心しておくべきであろう。人生は長いようで短く、本当に「あっ」と言う間に過ぎてしまうものなのだろう。私自身57歳という年齢になってつくづくそう思う。皆さんには信じられない話だろうが、「高校を卒業したのもまだ10年かそこら」という気持ちがどこかにある。実際には40年近くたとうとしているのに。

 「少年老い易く、学成り難し」ということわざもある。その意味は、若いうちはまだ先があると思って勉強に必死になれないが、すぐに年月が過ぎて年をとり、何も学べないで終わってしまう、だから若いうちから勉学に励まなければならない、という意味のことわざである。

 さて、31.2.24(日)の朝日新聞に「日曜に思う」というコラムが掲載されていた。引用する。

 「人手不足」。だから入管法を改正して外国人をもっと受け入れる必要があるとされた。でもこの言い方にはちょっとごまかしがあると思う。問題の本当の名前は「国民不足」ではないのか。  いたるところで働き手が足りない。工場でもスーパーでもレストランでも農地でも介護や医療の現場でも。人手不足が深刻なのは間違いない。 けれども人が不足し始めているのは経済活動の現場だけではない。 市町村議会では議員のなり手不足があちこちで問題になっている。警察にとっても自衛隊にとっても採用対象の若年層は小さくなる一方だ。どれも国民にしか担えない役割だ。働き手だけではない。消費者も納税者も減っている。(以下略。)

 私はこれを読んで「はっ」とした。確かに不足しているのは「人手」ではなく「国民」である。皆さんも知ってのとおり、日本の人口は減少期に入っている。総務省統計局のデータによると、平成31年2月1日現在の我が国の人口は1億2,633万人で、前年同月に比べ27万人減少しているそうだ。日本の人口が最も多かったのは今からおよそ15年前−皆さんが生まれたころ−の平成16年12月で、その時には1億2,784万人だった。現在のところでは、そう大きな減少にはなっていないものの、出生率の低下とともに、高齢化率が上がっている状況にある。ちなみに、日本の人口は今から約30年後には9,500万人程度に減少することが見込まれているようだ。その一方で、国連の推計によると、現在の世界の人口約73億人は、約30年後には97億人にまで増加するという予測である。人口の増加はアジア、アフリカが中心となりそうであるとのことである。

 このような人口の変動は、私たちにどういった影響があるのか。まずは「日本の人口の減少」。日本人の寿命が長くなっていくのは、喜ばしい話である。その一方で、年金や医療費といった社会保障費については、おもに現役世代が負担することになる。現役世代が多い時には、例えば4人で1人の高齢者を支えればよかったものが、やがては現役2人で高齢者1人を支えなければならないような計算になる。こんなことが果たして可能か。

 また、世界規模での人口増加も、それに対応できる食料の供給が可能かという問題がある。

 今挙げたのは、SDGsの課題例である。SDGsというのは国連がいう「持続可能な開発目標」(Sustainable Development Goals)という意味で、2030年までの達成を目指すものである。「貧困をなくそう」「働きがいも経済成長も」「住み続けられる街づくりを」「ジェンダー平等を実現しよう」「エネルギーをみんなに そしてクリーンに」など全部で17の目標が掲げられており、今言った日本における人口減少や世界規模での人口増加にどのように対処し、日本をそして世界を持続させていくかということはSDGsの一つと言ってよいと思う。ちなみに、香川県もSDGs日本モデル宣言の賛同自治体である。

 今日このような話をするのは、4月に入学してくる1年生から、皆さんがやっている「総合的な学習の時間」が「総合的な探究の時間」に変わり、SDGsなどについて探究活動をしていくことになるから。

 大学入試が大きく変わるのは現1年生からだということは認識にあると思うが、平成34年4月の入学生から高校での学習内容が変更になる。各教科・科目の実施に先行して「総合的な探究の時間」に変更になる。

 「なんだ。自分たちには関係ない。」と思う人も多いと思う。しかし、こういった学習内容の変更を受けた後輩と、もしかしたら同じ年に受験することになるかもしれないし、皆さんが就職した際には確実に皆さんとは異なった教育を受けた世代とともに仕事をするという状況になることは確実である。    卒業式の式辞でも触れたが、皆さんは、世の中がものすごい勢いで変化する中を生きることになるのは確実である。その中でもしっかりと生き抜ける力をつけるよう、学業に励むのはもちろんのこと、社会の変化に柔軟に対応できる人間でなければならない。それを肝に銘じておいてほしい。

 新学年、次年度は暦の関係で4月8日(月)。元気に再会できることを期待している。




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Last-modified: 2019-03-19 (火) 15:38:49 (159d)