241224 2学期終業式式辞(校長室から)
2024年12月24日 13時00分第2学期終業式 式辞
皆さん、おはようございます。
さきほど、多くの皆さんに表彰状を渡すことができました。皆さんが日ごろから頑張ってきた成果の表れだと思います。また、惜しくも今回は表彰まで至らなかった皆さんも、悔しさをバネに努力を続けてください。きっとすばらしい結果が待っていると思います。これからも皆さんの活躍に期待しています。
さて、いよいよ2学期も今日で終わりです。そして、明日から冬休みです。2024年も残すところ、あと1週間となりました。皆さんにとって、2学期は、そして、この1年はどのようなものでしたか。満足のいくものだったでしょうか。それとも悔いの残るものだったでしょうか。思いはそれぞれだと思います。
1年生の皆さんは、中学生から高校生という、さまざまな面で変化のあった、節目の年だったと思います。日頃の授業や部活動、先生や友だちとの関係など、期待とともに不安や戸惑いもたくさんあったことと思います。入学当初の気持ちは持続できているでしょうか。2学期も終わり、少し疲れたところが出てきたという人は、心機一転、新たな気持ちで来年を迎えてください。2年生の皆さんは、坂高生の中心的存在として、勉強に部活動に活躍し、先輩を助け、後輩の良き模範となり、昨年より一段と成長したことと思います。そして、以前話したように、勉強でも部活動でもこれだけは誰にも負けないという武器をつくってください。きっとそれが皆さんを上昇させる自信に繋がっていきます。3年生の皆さんは、年が明けると、いよいよ受験本番です。でも、まだ勝負はついていません。最後の最後まで、絶対にあきらめないでください。限界は、自分で決めるものです。自分の可能性を最後まで信じて頑張ってください。
振り返ると、今年はオリンピックが開催されたり、ドジャースの大谷選手がメジャーリーグの新記録を樹立したりと、例年になく、スポーツ界がにぎわいました。先日、その大谷選手をよく知る方の講演を聞く機会がありました。その方は白井一幸さんという方で、本県出身で、かつて日本ハムファイターズで活躍され、最近では2023WBC侍ジャパンのヘッドコーチをされました。その方が言っていたのですが、大谷選手の夢はWBCで世界一になったり、メジャーリーガーとして活躍したりすることではなく、それはあくまでも結果論であって、彼の夢は「たくさんの人に夢や感動を与えられる野球選手」になることだそうです。
その話を聞いて、これは私たちにも通じることのように感じました。難関大学に合格する、一流企業に入る、地位や名誉を手に入れる、それも大切なことかもしれません。しかし、私は、そういうことだけに終始するのではなく、皆さんには「人に夢や感動を与えられるような人」になってほしいと思います。では、どうすれば「人に夢や感動を与えられるような人」になれるのでしょうか。それは「何事も全力で取り組む人」になるということではないでしょうか。
例えば、先ほど言及したオリンピックや、高校野球を考えてみてください。リレーなどの競技で優勝すること、甲子園に出て試合に勝つこと、それは 確かにすばらしいことですが、そういうことが必ずしも感動を生むとは限りません。たとえ優勝できなくても、たとえ試合に負けたとしても、全力で取り組む姿、泥だらけになって全力でプレーする姿に、私たちは感動し、熱い涙を流すのではないでしょうか。
先ほどお話しした2023WBCの中国戦のとき、日本には少し力を抜いたような雰囲気があったそうです。ところが試合が始まると、雲行きが怪しくなってきた。そんなとき、ファーストゴロでも一塁に向かって全力疾走した選手が、その流れを変えたそうです。その選手こそ、ヌートバー選手。彼は相手を見て試合をしない。常に全力を出す選手だそうです。その後、彼が人気者になったのも頷けるエピソードです。
この話に関連するものとして、ある童話を思い出してみてください。それは「ウサギとカメ」の話です。あの話はウサギとカメが競走し、ゴール手前で断然有利だったウサギが眠ってしまい、その間に後からやってきたカメに負けてしまうという話です。この話から私たちは何を学ぶのでしょうか。ウサギのように慢心してはいけない、最後まで油断してはいけない、カメのようにコツコツ努力することが大切だ、とういうことを教えられますが、私はもう一つ違った見方もできるような気がします。
それは、ウサギとカメは、それぞれ見ているものが違うということです。カメは相手がウサギであれ、ライオンであれ、関係ない。ただゴールだけをひたすら見ていたのだと思います。それに比べて、ウサギはゴールではなく、カメを見ていた、つまり勝負の相手を見ていた。ウサギも、相手がヒョウやチーターなら油断しなかったでしょう。つまり、ウサギとカメの勝敗を決したのは、ウサギのように相手を見て勝負をしたか、カメのようにひたすら自分の目ざすゴールだけを見て勝負に挑んだかの違いだったように思います。つまり、カメにとってのライバルはウサギではなく、自分自身だったということです。
これから皆さんが、高校生活や大学生活を送っていく中で、そして社会に出て人生を歩んでいく中で、本気で何かをやりたいと思ったとき、それを実現できるかどうかは、そう決意した自分との約束を守れるかどうかということです。もし、守れなかったとしたら、その程度の約束でしかなかったということです。どんなに周りに遅れをとったとしても、どんなに周りから嘲笑されたとしても、自分の夢に向かって、愚直なまでに、まっすぐ、ただひたむきに、全力で取り組んでほしいと思います。皆さんが、何事にも全力で取り組み、「人に夢や感動を与えられる人」になれることを願って、今年最後の終業式の式辞とします。
皆さん、良いお年をお迎えください。そして、来年の1月8日、また笑顔で会えることを楽しみにしています。