250407 令和7年度始業式式辞(校長室から)
2025年4月7日 17時00分令和7年度 第1学期始業式 式辞
おはようございます。いよいよ新年度がスタートしました。4月に入っても、まだ肌寒い日が続いていましたが、ここに来てようやく暖かくなってきました。
皆さん、春休みはどうでしたか。新学年に向けて有意義に過ごせたでしょうか。
新3年生の皆さんは、いよいよ最終学年として高校生活の集大成となる学年です。進路決定の大切な時期であるということは言うまでもありませんが、それだけに終始するのではなく、残された高校生活をクラスや部活動の仲間たちと十分に楽しみ、たくさんの思い出をつくってください。
新2年生の皆さんは、学校行事に、部活動に、その中心的存在となって活躍してください。そして、漫然と高校生活を送るのではなく、自分自身が誇れるもの、これだけは絶対に負けないというものをつくってください。坂高生の要(かなめ)として、坂高を引っ張っていってください。
また、春は「出会い」と「別れ」の季節だとよく言われます。
「別れ」ということでは、3月に卒業していった先輩たち、そして、先ほど離任のご挨拶をいただいた、お世話になった先生方との「別れ」があります。それぞれ勤務年数の長短こそありますが、先生方お一人お一人の言葉からは、坂出高校を愛する気持ち、皆さんのことを大切に思う気持ちが感じられ、そのお気持ちは違うことなく同じものだと思います。ぜひ、皆さんも先生方の思いを忘れることなく、これからも頑張ってほしいと思います。それが、お別れする先生方への恩返しになると思います。
「出会い」ということでは、明日は入学式です。新しい制服に身を包んだ新入生が入ってきます。皆さんは坂高の先輩として、新入生たちの模範となるよう、リーダーシップを十分に発揮してください。また、今日から新しいクラスとなって、新しい先生方や友だちとの出会いが待っていると思います。
私は「すべての出会いには意味がある」と思います。そのときの「出会い」が、その後の人生を大きく変えてしまうこともあります。私自身、これまで多くの人との「出会い」や「別れ」を経験してきましたが、そのすべてが今の私を形づくっていると思います。今、こうして目の前にいる皆さんとの「出会い」、先生方との「出会い」も、私にとってはかけがえのない「ご縁」であり、その「ご縁」を大切にしていきたいと思います。皆さんも「袖すり合うも他生の縁」「一期一会」の気持ちを持って、これからもすべての「出会い」を大切にしてほしいと思います。
さて、新年度の始業式にあたり、私から皆さんにもう一つお願いをしたいと思います。
先日、かつて私が勤めていた学校の卒業アルバムを何気なく見ていると、授業風景と題したページに、たくさんの写真が掲載されていて、その中の一枚に、私が担任をしていたクラスの黒板のすみに、当時、私がよく書いていた言葉が写されていて、少し懐かしくなりました。その言葉は「勇気・やる気・根気」という言葉です。ある意味、言い古された、よく見かける言葉であり、あまり新鮮味のない言葉ですが、妙にその言葉に惹かれました。
私自身、これまでの教員生活を振り返ったとき、やはり担任をしているときが一番楽しく、いろいろと苦しい場面もありましたが、一教師として充実していたように思います。それで、そのとき受け持っていた生徒たちによく言っていたのですが、誰しも多くの弱点や悩みを抱えて生きている。だからこそ、そういった自分の弱さに 目をつぶらず、夢や希望を膨らませ、一歩踏み出す、挑戦する「勇気」が必要だと。
そして、何事も「できない」のではなく、自分を甘やかしたり、周りのせいにしたりして「やらない」だけなのだと。ときどき、年配の方が「昔の子はいろいろできたが、今の子はできない」と言っているのを、耳にすることがありますが、私は「昔の子にできて、今の子にできないことはない。ただ、やらない、やらせないだけだ」と思います。まさに、「為せば成る」だと思います。
もちろん、自分の弱さに負けず、夢や希望に向かって挑戦する「勇気」を持ち、「やる気」を奮い立たせて努力をしても、実現できないこともあります。いや、むしろ、現実にはそちらの方が多いかもしれません。それでも自分を見限ったり、あきらめたりせず、「根気」強く、辛抱強く、頑張ることが大切だと思います。ある意味、人生とは常に挫折感を持ちながら、挫折とともに歩んでいくものかも しれません。
ただ、そうした辛い思いや苦い経験を積み重ねながら「根気」強く生きることで、人は鍛えられ成長するのだと信じています。そして、ひいてはその人の人間としての幅や強さ、人生の豊かさにつながるのだと思います。そのときは、辛く、無駄なことのように感じたことも、あとで経験知として返ってくることがあります。私も「あのときの経験がこんなふうに生きてくるのか。あの経験をしていてよかった」と思うときが何度もありました。
ぜひ、皆さんもどんな状況になっても、たとえ逆境が続いたとしても、その経験は絶対に無駄になりません。いや、そもそも人生に無駄なんてありません。根気強く、粘り強く、自らの人生を切り拓いていってください。
少し長くなりましたが、新しい年度の始まりにあたり、皆さんに、すべての「出会い」を大切にすること、そして「勇気・やる気・根気」という三つの「気」を大切にしてほしいという言葉を贈り、始業式の式辞といたします。