250408 令和7年度 入学式式辞(校長室から)
2025年4月8日 17時00分式 辞
うららかな春の陽ざしにつつまれ、桜花爛漫となった今日の佳き日、PTA会長鎌田万里様のご臨席と保護者の皆様のご列席を賜り、香川県立坂出高等学校令和七年度入学式をこのように盛大に挙行できますことを、教職員一同を代表し、心からお礼申し上げます。
ただいま、入学を許可いたしました普通科二二八名、音楽科二五名の新入生の皆さん、ご入学おめでとうございます。皆さんは今、これから始まる坂高生としての学校生活を想い、期待に胸をふくらませていることと思います。
皆さんが入学した坂出高校は、大正六年、一九一七年に、香川県立坂出高等女学校として開校しました。その後、幾多の変遷を経て、戦後の昭和二四年、高等学校再編成により現在の校名となり、男女共学の学校となりました。また、昭和四二年には音楽科が設置され、現在の坂出高校の形になりました。今年、創立一〇八周年を迎え、国内外の様々な分野で活躍する、約三万名の卒業生を輩出してきた伝統のある学校です。
そして、坂出高校のシンボルともいえる堂々たる白壁と松の緑に囲まれた、落ち着いた環境の中、生徒と教師が一丸となって、日々、活気あふれる教育活動を繰り広げています。そのような坂出高校の一員として、本日皆さんを迎えることができ、大変うれしく思います。
さて、坂高生となった皆さんに、これからの高校生活の指針として、ぜひとも覚えておいてほしい言葉があります。それは、正門を入って右側の石碑に刻まれている言葉で、坂出高校のモットーであり、校歌にも歌われている「高邁自主」という言葉です。少し難しい言葉ですが、「高邁」とは、「気高く、高潔なこころざし」という意味で、「自主」とは、「人から言われるのではなく、自分の判断で自ら行動を起こす」という意味です。
つまり、「高邁自主」とは、「高いこころざしを掲げ、自主・自立の精神をもって、その実現に向け、邁進する」ということです。坂高生はこの言葉を胸に、学業や部活動、学校行事などに向き合い、成果を挙げてきました。皆さんも、先輩に負けることなく、高い目標を掲げ、今日からこの言葉を実践してほしいと思います。
そして、「高邁自主」を実践するうえで、大切となる心構えが「パティマトス」です。「パティマトス」とは、正門を入って正面にある石組みに刻まれた言葉です。これは創立五〇周年を記念して、当時の校長が本校で学ぶ生徒に贈った言葉です。「パティマトス」とはギリシア語で、「英知は苦難を通じて来たる」という意味です。つまり、「高いこころざしを実現するためには、苦しい努力が必要である」ということです。
「高邁自主」と「パティマトス」、これが坂高生の精神、坂高スピリットと言えます。これからの高校生活において、もし道に迷うようなことがあったとしたら、この言葉は、きっと皆さんの道しるべとなり、進むべき道に導いてくれるはずです。
現在、社会は、グローバル化やAIをはじめとする技術革新が急速に進み、未来を予測することが非常に困難な時代を迎えています。さらに、貧困問題や環境問題など、課題は山積しており、世界各地で多発する紛争や内戦では、多くの尊い命が奪われ、いまだその終息は見えません。また、国の内外を問わず、未曾有の自然災害に見舞われるなど、世の中は混沌とした様相を呈しています。
このような時代において、皆さんが将来をたくましく生き抜いていくためには、さまざまな課題に対して主体的に関わり、他者と協働して解決に向けて粘り強く取り組んでいく力が必要となります。そして、この力は、「高邁自主」を基盤においた本校の教育活動によって培うことができると確信しています。皆さんが、学業、部活動、学校行事や生徒会活動に十分に励み、社会で活躍する人材に成長することを望んでいます。
最後になりましたが、保護者の皆様、お子様が本校に入学されましたこと、心よりお祝い申し上げます。法律的には、一八歳になると成人として扱われ、自分で判断し、行動することが求められるようになります。それだけに、高校三年間で、お子様には自主・自立の精神を養い、責任のある態度を身につけることが求められます。
私たち教職員一同、お子様が充実した学校生活を送れるよう、全力で支援・指導にあたる決意です。あわせて、ご家庭におかれましても、お子様に対して適度な距離を置きつつも、時にきびしく、時にあたたかく見守ってください。ご家庭と学校が、車の両輪のように、十分に連絡を取り合い、協力しつつ、お子様の教育を進めてまいりたいと思いますので、ご理解とご支援を賜りますよう、お願いいたします。
入学式にあたり、新入生の皆さんが、今日の感激と感謝を忘れることなく、坂高生として、学業に、また人間形成に大いに励み、素晴らしい高校生活を送ることができるよう期待し、式辞といたします。
令和七年四月八日
香川県立坂出高等学校長 渡邉 謙