250108 3学期始業式式辞(校長室から)
2025年1月8日 17時00分式辞
皆さん、おはようございます。そして、新年、明けましておめでとうございます。
令和7年、2025年がスタートしました。この冬休み、皆さんはどのように過ごされたでしょうか。
ご家族と旅行に出かけたという人もいるでしょう。あるいは、遠く離れた親戚の方と久しぶりに会って楽しく過ごしたという人もいるかもしれません。3年生の皆さんの中には、受験勉強をしながら年を越したという人もいると思います。今、皆さんと、こうして元気に新しい年を迎えることができて、本当にうれしく思います。
ただ、社会に目を転じると、昨年は新年早々、能登半島地震や航空機の衝突事故という痛ましい出来事がありました。あれから1年が経ちました。年明けの新聞にも、能登半島地震を取り上げた記事が多く見られました。お正月、ふるさとで、また家族団らんで過ごしていた楽しいひとときが、一瞬で悲劇に変わりました。時や場所を 選ばない自然の脅威、天災の恐ろしさを痛感した出来事だったと思います。そして、地震の爪あとは1年たった今もなお至る所で残っており、一日も早い復興を祈るばかりですが、被災された方々の心に負った傷はなかなか癒えるものではないでしょう。
南海地震もいつ起こるか分かりません。「備えあれば憂いなし」という言葉もあるように、私たちも日ごろから災害に備えておきましょう。
また、世界各地で戦火は絶えず、世界で6人に1人以上の子どもが紛争下で生きているといった数字もあります。たまたま違う場所に生まれたというだけで紛争に巻き込まれ、多くの尊い命が今日も失われています。そう考えると、私たちにとっても、決してひとごとではないと思います。とはいえ、私たちは無力です。今すぐ何かできるというわけではないかもしれませんが、そういう人たちのことに思いをはせ、自分は何ができるのだろうかと考える。あるいは平和について考え、日々無事に過ごせていることに感謝する、それだけでも、まずは大切な一歩ではないかと思います。
さて、ここで少し、私自身の冬休みのことについて、お話をしたいと思います。私の年末年始の過ごし方ですが、前々から、いろいろなところから頼まれていながら、ついつい後まわしになっていたあいさつ原稿などの執筆に追われ、大掃除もろくにしないまま、年を越してしまいました。それでも、いつもの年とは少し違った新年を迎えようと、昔、私が小学生のころ、今はもう亡くなった父といっしょに初日の出を見に行っていたことを思い出し、息子をさそって初日の出を見に行きました。元来、私は出不精で、だいたい元旦は寝正月というのが例年のパターンなのですが、今年は息子も私のさそいにのって初日の出を見たいと言ったので、眠い目をこすりながら、久しぶりに見に行きました。
思ったより多くの人出に驚きながら、寒さの中、しばらく息子といっしょに東の空を眺めていました。途中雲が出たりして、少し危ぶまれた場面もありましたが、何とか初日の出を拝むことができました。とはいうものの、私は初日の出の由来や意味については、あまり知りませんし、拝み方も自己流です。調べてみるといろいろと説明がありましたが、それはそれとして、遠くに見える暗い山の稜線が次第に明るんで、一条の光が射し込んで来たときは、やはり何とも言えない緊張感に包まれ、来たる新しい年の幸せを願わずにはいられないような、新鮮で清々しい気持ちになりました。
考えてみると、太陽は、生きとし生けるもの、すべての生命(いのち)の源(みなもと)であり、「日はまた昇る」「明けない夜はない」などといった言葉もあるように、希望の象徴でもあります。そういえば、合唱部がよく歌っている「瑠璃色の地球」の歌詞の中にも似たようなフレーズがあったように思います。もし、今、皆さんの中に、何かに苦しんでいたり、悩んでいたりする人がいたとしても、いつまでも暗い夜は続きません。いや、むしろ、あの「パティマトス」にも示されているように、つらく苦しい時にこそあきらめずに努力を続けることが皆さんの進むべき道の指針となり、豊かな人生に導いてくれると言えるでしょう。以前読んだ本の中に、花が咲くためには朝の暖かさはもちろんだが、夜の冷たさや暗さが必要だという文句がありました。ぜひ、皆さんも花を咲かせるために、苦しさから逃げることなく努力を続け、豊かな人生を送ってください。
最後になりますが、3学期は1年間の総決算の学期です。3年生は、3月の卒業を控え、2月からは家庭学習に入り、いよいよ進路を決定するという、3年間の集大成の時期です。1・2年生は、1年間の総決算に加えて、新学年に向けての準備期間、いわゆる新学年のゼロ学期とも言えます。2年生であれば、受験生になるための準備期間。1年生であれば、後輩を迎え、学校行事や部活動などで中心となる2年生への準備期間です。もちろん、日々の学校生活の基盤である、あいさつや掃除なども大切にしてください。
最後の最後に、3年生の皆さん、高校生活も残りわずかです。目前に迫った入試への焦りや不安でいっぱいになっている人もいるかもしれません。でも、今までやってきたことに自信をもって、平常心で臨んでください。そして同時に、かけがえのない友だちや先生方と過ごす、高校生としての一日一日を大切にしてほしいと思います。
皆さんにとって、今年がすばらしい年になることを心から願って、3学期の始業式式辞とします。