250901 2学期始業式(校長室から)
2025年12月26日 10時40分令和7年度2学期始業式 式辞
R7.9.1
皆さん、おはようございます。
約40日間の夏休みは、どうでしたか。といっても、部活動や課外で、あまり休めていないというのが本音かもしれませんが、それでも授業日よりは自由に使える時間が多かったのではないでしょうか。夏休みに養った英気を、2学期からの頑張りに活かしていってください。
さて、今年の夏は、文化部のインターハイと言われる「全国高校総合文化祭かがわ総文祭2025」が、実に34年ぶりに香川県で開催されました。 日本全国からたくさんの高校生が集まり、県内各地で19の規定部門と4つの 協賛部門において、日ごろの練習の成果を発表し、親睦を深めました。
本校でも、生活デザイン部門の会場校として、お客様をお迎えしました。
私も、あなぶきアリーナ香川で行われた総合開会式や水城通りでのパレードを観覧しましたが、総合開会式では本校の吹奏楽部や合唱部の皆さんが会場を大いに盛り上げてくれました。
また、私は担当である合唱部門に参加しましたが、大会前日の生徒交流会に始まり、県内外から1800人を超える高校生たちが、すばらしい歌声を披露してくれました。私は音楽に関しては素人ですが、地域や学校の垣根を越え、多くの生徒や先生方と感動的なひとときを共有でき、忘れられない大会となりました。
このほかにも、さまざまな部門でたくさんの皆さんが活躍され、すばらしい思い出ができたことと思います。「かがわ総文祭2025」は大成功のうちに 幕を閉じましたが、この陰には、各部門の生徒の皆さんや先生方はもちろんのこと、補助員として協力してくれた多くの皆さんの存在を忘れてはならないと思います。朝早くから夜遅くまで、本当にお疲れさまでした。
総文祭の話が続きましたが、先ほどの表彰式にもありましたように、この夏、インターハイや各種大会に出場された運動部の皆さん、また、総文祭と並行して、四国大会や全国大会などに臨まれた文化部の皆さん、皆さんの活躍は新聞等でよく目にしていました。皆さんの健闘を、心からたたえたいと思います。
ただ、中には思うように結果が出ず、悔しい思いをした人もいるかもしれませんが、その経験は、決して無駄にはなりません。努力は絶対に裏切りません。きっと、これからの学校生活の糧になると思います。
また、校内行事に目を移すと、中学生を対象に、8月1日に一日体験入学が、8月12日に音楽科の体験レッスンが実施されました。準備や案内、学校紹介などで活躍してくれた生徒の皆さん、先生方、暑い中、本当にありがとう ございました。600人を超える、たくさんの中学生が来校してくれました。
この中学生たちが、未来の坂高生となってくれるよう、ぜひ皆さんの力で、坂出高校をもっともっと魅力あるものにしてほしいと思います。
さて、まだまだ厳しい暑さが続いていますが、今日から2学期がスタートします。まずは坂高祭が目前にせまっています。準備はどうでしょうか。計画通りに進んでいるでしょうか。本番に向けて、皆さんの頑張りには 期待していますが、熱中症やけがには十分気をつけてください。
そして、坂高祭は、保護者の方はもちろんですが、外部の人たちがたくさん来校します。とてもうれしいことですが、その反面、坂出高校の評判にもつながります。文化祭ということで、つい気が緩み、だらしない格好をしたり、 お化粧をしたりする人を見かけます。ほんの一部の人たちだとは思いますが、世間というのはある意味こわいもので、その一部の人たちの身なりや行動が 坂高生全体の評価になってしまうことがあります。
どうか、皆さん一人一人が、坂出高校という、伝統のある、すばらしい看板を背負っているという自覚を持ち、責任ある行動をしてほしいと思います。
そして、坂高祭当日は、皆さんのすてきな笑顔で、お客様をお迎えしてください。私は、皆さんの笑顔に勝る化粧はないと思います。
また、2学期は部活動では新人大会や県の総文祭、12月には修学旅行など、大きな行事も控えていますが、同時に、1年生は文系・理系のコース選択の時期、2年生は進路を具体的に絞り込んで行く時期、3年生はいよいよ進路を決定する時期となります。
言うまでもなく、高校生にとって、進路に関わることは非常に大きな問題です。皆さん一人一人が、自分の目標に向けて、何をしなければならないのか。自分の強みは何で、弱みは何か。時には、非常に苦しい場面に直面することもあるかもしれませんが、困難から逃げずに、立ち向かっていってください。
まさに、「高邁自主」と「パティマトス」の精神で、乗り越えていってください。みなさんならできると信じています。
最後に、私の夏休みの話を少ししたいと思います。
私は、この夏休みは、ほぼ学校か、出張かという、何かと慌ただしい日々を送っていましたが、その中でも、この夏、印象に残っていることとして、今年は戦後80年という節目の年だったということです。
テレビや新聞等でも、戦争に関連する番組や記事をよく目にしましたが、戦前・戦中生まれの人は、総人口の11.2%(約1389万人)になったそうです(総務省「人口推計」、2024年10月)。そして、10代の16.0%が広島に原爆が 落とされた日を知らず、55.5%が戦争体験者の話を直接聞いたことがないとのことです。(日本赤十字社「戦後80年に関する意識調査」、2025年6月)
いろいろなところが似たような調査をしていますので、先ほど挙げた数字は、調査もとによって多少異なるかもしれませんが、いずれにしても戦争の記憶の継承はどんどん薄れていっていると言えるでしょう。
思えば、私は30年ほど前、教員になってまだ2、3年目でしたが、当時、修学旅行の引率で沖縄に行きました。私自身、沖縄は初めてでしたが、生徒とともに「ひめゆりの塔」を訪れました。平和祈念資料館では、戦時中の さまざまな写真が展示されており、語り部の方たちが、その写真一枚一枚について丁寧に説明されていました。あの語り部の方々も、今はもう多くの方が亡くなられたと思いますが、あのとき、普段はにぎやかな生徒たちが、時間を忘れ、涙ぐんで熱心に聞き入っていた姿を、私は忘れることができません。
終戦から80年を迎え、私たちは、日々、穏やかに、当たり前のように毎日を過ごしています。でも、皆さんとそう変わらない年齢の人たちが戦禍に巻き込まれ、命を落としていったという事実は決して忘れてはならないと思います。
今も世界では戦争が起きており、多くの尊い命が失われています。また、戦争ではありませんが、国内でも、痛ましい事件や事故が連日のように報道されています。
私たち一人一人が、平和について、かけがえのない命について関心を持ち、多様性を認め、相手のことを自分のこととして思いやり、互いに寄り添いながら、毎日笑顔で暮らせるような社会を、たとえ小さな一歩であったと しても、そんな社会を、みんなと力を合わせてつくっていきたいと改めて考えさせられた夏でした。
ぜひ、これからの時代を生きていく皆さんには、遠い、歴史の話として風化させるのではなく、二度とそのような悲劇が起こらないように、また、たった一つしかない命を大切にするように、優しく、思いやりに満ちた 世の中を築いていってほしいと心から願っています。
それでは、皆さんにとって、豊かで充実した2学期になることを期待して、始業式の式辞といたします。


