さくらいNEWS

本校理学部(生物班)が香川生物学会第76回総会で研究報告しました。

2025年3月23日 00時12分

本校理学部(生物班)が香川生物学会第76回総会(於 香川大学幸町キャンパス)で研究報告しました。今後も絶滅が懸念される生き物の保全研究に取り組んでいきたいです!

「香川県西讃地域におけるカワバタモロコの生息域外保全に関する研究」報告要旨
カワバタモロコHemigrammocypris rasborellaは,コイ目コイ科ラスボラ亜科カワバタモロコ属に分類される日本固有の淡水魚類で,環境省カテゴリー絶滅危惧ⅠB類(EN),香川県カテゴリー絶滅危惧Ⅰ類(CR+EN)に選定されている。全長3-6㎝で,本州中部以西,四国の瀬戸内海,九州北西部に分布し,平野部の砂泥質からなる浅い池沼,ため池,用水,また河川では岸辺に水草が繁茂する場所などの緩流域に生息する。現在,ため池護岸や浚渫工事などの生息地改変や災害による生息地自体の埋没,オオクチバス・ブルーギルなどの肉食性外来魚による食害,アメリカザリガニによる産卵床破壊によって個体数の激減や生息地の消失が多数報告されており,本種の生息が確認されているすべての府県でレッドデータブックに記載されている。
 本研究の対象となったもとの生息地は天然分布池で,近い将来堰堤工事が計画されている。工事期間中水深が浅くなるためサギやカワウなどの鳥類の食害により絶滅が懸念されること,浚渫工事を伴うため植生が改変され産卵床が消失する恐れがあること,遺伝子多様性を確保するために当該個体群を保全する必要が生じたことから,今回の生息域外保全に取り組んだ。

120724_0