チーモの「育苗ハウスの張り替え」

冬休みに入って、今日は二日目の火曜日です。

前日はこの冬いちばんの寒さの中、真冬の当番実習が始まりました。

今日も昨日ほどではありませんが、そこそこ寒い朝を迎えています。

まずは農場本部前で集合点呼です。

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そのあと、各部門に分かれて今年最後の実習当番に取りかかります。

チーモはなんとなく、草花部門の実習が気になったので、草花の管理室に向かいました。

チーモ「今日は仕事納めの日だから、各部門とも正月休みに備えての準備を行うのかなぁ。」

草花の先生「チーモ。おはよう。」

チーモ「おはようございます。草花部門の今日の作業はなんですか?」

先生「今日は下の、あの育苗ハウスのビニールの張り替えを行います。」

チーモ「この時期に行うのは、なにか理由があるんですか?」

先生「全体的に大分痛んできているし、穴が開いている箇所を補修しているところがたくさんあって、そこが強風で裂けるとビニールハウスが飛ばされてしまうからね。寒いハウスでは苗が大きくならないし、そろそろ張り替える時期が来ているんです。」

チーモ「どんな手順で作業するんですか?」

先生「今、あのハウスは古いビニールを固定しているスプリングを数カ所残して、ほぼほぼすべて外している状態です。まずはじめに新しいビニールで全体を覆ってから、次に古いビニールを抜き取り、最後に新しいビニールを固定します。そして、外側が完成したら今度はハウスの内側にビニールを貼ります。」

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管理室前で当番の2.3年生が集合したら、先生が今日の作業の説明をします。

先生「今日は下にある育苗ハウスのビニールの張り替えをします。それでは、下に移動して下さい。…軍手がいる人は持って行ってよー。」

生徒たちは軍手を持ち、草花の管理室から下ったところにある、

農場の職員駐車場近くのビニールハウスに移動していきます。

ビニールハウスに到着すると先生が当番の男子生徒に指示を出します。

先生「はい、男子全員駐車場側に等間隔に並んで。垂れ下がっているマイカ線の端を1人ずつ持って下さい。」

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チーモ「このマイカ線かな。…あれ、1本余っているぞ。…今日は誰か当番を休んでいるの?」

農経生「うん。チーモも手伝ってよ。」

チーモ「りょうかーい!」

マイカ線の端をそれぞれが持っていることを確認した先生が

先生「それでは、ゆっくりマイカ線を引っ張って下さい。ゆっくりやぞ!隣の人と速さを合わせて,気をつけて引っ張るようにな!」

みんなでゆっくりマイカ線を引っ張ると、マイカ線の反対の端にくくりつけられた新しいビニールが持ち上がってきて、ゆっくりとハウスの上を覆っていきます。ようやく新しいビニールが屋根全体を覆い、その端っこに手が届くようになると

先生「はい、それでは今から古い方のビニールを外すので、みんなは新しいビニールの端を押さえておいて下さい。」

先生は古いビニールを固定していた「スプリング」と呼ばれる針金を外していきます。

先生「じゃぁ、男子半分ぐらいこっち来て。こちら側から古いビニールを引っ張って下さい!」

農経生「先生、ビニールが動きません。なにかに引っかかっているみたいです!」

みんなでよく見ると、古いビニールが一カ所だけ、まだクリップで骨組みに固定されている場所が見つかりました。先生が脚立に乗ってそのクリップを外すと、すぐに古いビニールが動き出し、それまで屋根を覆っていた古いビニールがハウスの東側に抜き取られました。

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先生「新しいビニールを仮止めしていきます。少しテンションかけて、ビニールがピンと張った状態で押さえて下さい。」

農経生「はーい。」

みんながビニールを引っ張っている間に、先生は間隔を開けて数カ所仮止めしていきます。

先生「それでは、地面に落ちているスプリングをさびているものとまだ使えるものに分けて拾い集めます。」

みんなは地面に落ちているスプリングを長くてきれいなものとさびて使えないものに分けていきます。

先生「手が空いている人、何人かこっち来てくれるかー。」

先生がハウスの東側から生徒を呼びました。集まった男子数人に先生が指示を出して、ハウスから外した古いビニールと寒冷紗(=日よけに使っていた黒い網目状のシート)を引っ張り出して、それをきれいにたたんでヒモでくくります。

チーモ「外したビニールの方は変色しているし、所々破れて大分痛んでいるようだなぁ。これは何年ぐらい使ったものですか?」

先生「3.4年ぐらい使ったかなぁ。ちょっともう使えないので、折り畳んで処分します。」

昨日ほどではありませんが、少し風が吹いてきました。生徒たちはこれまでハウスを覆っていた大きなビニールをハウスの横の駐車スペースに広げ、たたんでいきます。

先生「それじゃ、ちょっと休憩にしましょう。」

休憩の間に先生が、黄色いヒモが付いた野球のボールと、おもちゃのバズーカーを準備していました。

チーモ「先生、それはなんに使うんですか?」

先生「これはビニールハウスを上からマイカ線で押さえるために、そのマイカ線をビニールハウスの屋根の上に張り渡す作業に使います。あとで使い方を説明するので、楽しみにしていて下さいね。」

休憩を挟んで、今度はハウスの内側にビニールを貼る作業に取りかかります。

先生が生徒を集め、内張り用のビニールについて説明しました。

先生「今、外側に貼ったビニールは厚手のもので、厚さが1mmでした。今から張ってもらうのは、触ったら分かると思うけど、厚さが0.75mmです。破れやすいので注意して扱って下さい。それでは、ハウスの中に入って下さい。」

みんながハウスの中に入ると

先生「それでは等間隔に並ぶんだけど…はい、このビニールの先端を持って広がって行って下さい!…広げるときは字が外側になるようにな。…ハウスの中心の骨組みが、ビニールの真ん中の点線に合うように注意して下さい。」

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内張りのビニールは取扱には注意が必要ですが、ハウスの中は風の影響がなく、ビニールもうすくて軽いので、作業は順調に進んでいきます。

先生「あとは内側を固定していきます。専攻生は中に残って作業を手伝って下さい。2年生は、外側をマイカ線で押さえる作業をしてもらいます。あと、両サイドの内側に貼るビニールを準備して下さい。あそこに余っているビニールがあるから高さを2.2mで、長さはビニールハウスの長さ。多めに準備して下さい。」

農経生「はい。」

内張り用のビニールが広げられたところで、3年生の専攻生2人をハウスの中に残し、2年生は広い駐車場で次の作業の説明を聴きます。

先生「それでは今からこのバズーカーでボールを飛ばして屋根の上にマイカ線を張っていきます。まず、このボールに付いている黄色いヒモの端をマイカ線に結びつけて下さい。」

農経生「こうですか?」

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先生「そうそう。あとからほどきやすいように軽く結んだら、次にこのバズーカーで向こう側の正面にまっすぐ打ちます。このとき、ハウスの上の電線に引っかからないように気をつけて下さいね。」

2年生は「打つ方」と「受ける方」に分かれ、ハウスの両側で楽しそうに作業をしました。

ハウスの外側を数カ所マイカ線で止めると、今度は内側の両サイドに張るための細長いビニールを切り出す作業です。2年生は駐車場に大きなビニールを広げ、長さを測って,必要な大きさをハサミで切りとっていきます。

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チーモ「このビニールは新品じゃないみたいだなぁ。」

先生「そうですね。これは別のハウスで内張りに使っていたビニールの再利用です。」

切り取った長いビニールはすぐに使うので、広げやすいように「蛇腹折り(=じゃばらおり)」

で畳みます。そのビニールをハウスに運び、広げて長さを合わせ、きちんと止めたところで、当番終了の時間になりました。

先生「では、時間が来たので今日はここまでで終わりましょう。管理室に戻って、当番カードを書いて下さい。」

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ハウスの南北の出入り口はきれいに止められ、吸気口のダクトも取り付けられています。

チーモは「当番実習だと、これだけ大がかりな作業が出来てしまうんだなぁ。」とびっくりしました。