チーモの「ペチュニアのスペーシング」
今日は春休みの初日です。
雨がしとしとと降り、万塚農場の気温は少し下がって肌寒い朝を迎えています。
雨の日は当番の集合点呼は機械倉庫で行われます。
チーモ「今日は雨が降っているけど、農経生はみんな早くから来ているなぁ。」
草花の先生「春は各部門ともやることがたくさんあるからねぇ。」
チーモ「草花では今日どんな作業をするんですか?」
草花の先生「今日はペチュニアのスペーシングと日々草の播種をします。」
チーモ「じゃぁ、今日は草花の実習の様子を見に行ってみよう。」
今日の草花部門の当番生徒は1年生が4人と3年生が7人です。
チーモ「今日は多いですね。」
先生「来年度環境園芸科に進む予定の1年生と、来年度草花専攻生になる予定の2年生たちです。目つきも違うでしょ?」
チーモ「そうですね。」
草花の管理室前で集合点呼をしたあと、今日の作業の説明がありました。
先生「それでは、今日は最初にペチュニアのスペーシングをします。1年生はこっちの温室のペチュニアを運搬車に積み込んで下さい。2年生は寮前のハウスに移動して下さい。あちらでペチュニアを下ろして広げます。」
チーモ「まずは1年生と一緒に運搬車に積み込む手伝いをしようかな。」
1年生が運搬車に積み込んだペチュニアを、2年生が下ろしてハウスに並べ、隣り合う苗との間隔を開けて成長を促進させるために並べ替える作業(=スペーシング)をしていきます。
チーモ「たくさんありますね。これはいつ出荷するものですか?」
先生「これは5月の連休頃に出荷するものです。専攻生たちには5月の連休中に出荷作業が待っています。」
休憩を挟みながらたくさんのペチュニアのスペーシングが完了すると、1,2年生はそれぞれ次の作業に取りかかります。
チーモ「次の作業はなんですか。」
先生「向こうの温室にあるカーネーションの水やりです。」
2年生は一鉢一鉢丁寧に水やりをしています。
チーモ「1年生はどこに行ったのかなぁ。」
先生「1年生は下のハウスで日々草の鉢上げをしています。」
先生「植え終わったトレーをこっちに並べて下さい。」
並べ終わったトレーに水をかけ、覆いを掛けます。
チーモ「草花のハウスは温かいけど、どうやって加温しているんですか?」
先生「はい。灯油を使って加温しています。でも、家にあるストーブみたいに灯油を燃やした熱風でハウスの中を暖めるのではありません。苗を植えているポットの下の地面を電熱線で暖めたり、暖かい空気をビニールのパイプを通してハウスの気温を上げたりします。空気が動かないから植物に優しいんですよ。」
チーモ「灯油で加温するのが普通なんですか?」
先生「いいえ、温室の大きさによっていろいろです。ちなみに向こうの大きい温室の燃料は重油です。寒いときはしっかり加温する必要があるので燃料代もたくさん使います。1回に2000リットルずつ、一冬で3~4回給油します。」
チーモ「ふーん。お金がたくさんかかりますね。」
先生「そうですね。でも、この間みたいに、少し気温が高い日は、温室内の気温が上がりすぎないように、換気扇を回す必要があります。特にこの時期は温度管理が難しいんですよ。」
チーモ「ふーん。」
先生「ちなみに、運搬車の燃料はガソリンで、刈払機の燃料は混合油です。」
チーモ「それって、入れ間違えたらどうなるんですか。」
先生「大変なことになります。絶対にダメですよ。まぁ、間違いませんけどね。」
チーモ「農場って、いろんな燃料が使われているんですね。」
日々草の片付けが終わると、先生は温室の前の台車を指さして、
先生「次はこの台車を使うので、ストッパーを外して、付いてきて下さい。」
そう言って、先生は倉庫の発芽器に1年生を連れて行きます。
発芽器の所に来ると、先生は扉を開け、中のトレーを慎重に大事そうに出して1年生に渡します。
先生「これを台車に載せて下さい。」
トレーをよく見ると小さな芽がたくさん出ているのが分かります。
チーモ「これはなんの芽ですか?」
先生「この秋から冬に出荷するガーデンシクラメンです。」
1年生たちはそれを慎重に台車に載せ、ゆっくりとガラス温室に運んでいきました。
温室の台の上にトレーを並べて作業終了です。
先生「それでは、管理室に行って今日の実習日誌を書いて下さい。」
管理室の近くでは、2年生が今日使った道具を洗ったり、ペチュニアのスペーシングの続きをしたりしています。
2年生も作業をキリのいいところで切り上げて、管理室の前で集合します。
日誌を書いたら今日の当番実習が終了します。チーモは「冬に出荷のガーデンシクラメンの発芽は今頃なんだなぁ。そして今日スペーシングしたペチュニアは五月の連休に出荷予定かぁ。草花部門は、先を見据えて作業を進めなきゃいけないんだなぁ」と思いました。