第17回 ミーモの「デコポンの袋がけ」

期末考査が終わり、もうすぐ冬休みのこの日、

3年生の専攻の時間にミーモは果樹部門の前を通りかかりました。

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果樹部門の軒下にはたくさんの干し柿が吊されています。

ミーモ「これを見ると、もうすぐお正月、って感じがするよなぁ。…あ、先生こんにちは。」

先生「こんにちは。だいぶ寒くなってきたねぇ。」

ミーモ「寒いですね。今日の専攻の時間はどんな作業をするんですか?」

先生「今日は鞍掛山(=果樹園)に行って、デコポンの袋がけをしますよ。」

ミーモ「デコポンですか。ちょっとお手伝いさせてもらってもいいですか?」

先生「それじゃ、一緒に行ってみよう。」

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専攻生が果樹の管理室前に集合して挨拶が終わると、今日の専攻の授業が始まりました。

先生「今日はデコポンの袋がけをします。これまでの作業を見たけど、引っ張ったら外れてしまうような袋もいくつかありました。今日は丁寧に袋がけの作業を行って下さい。それでは、道具を持って、トラックに乗って下さい。」

専攻生たちは軍手と摘果ハサミを持って、トラックに乗り、

先生の運転で鞍掛山に移動しました。

トラックが山に着くと、倉庫に置いてある収穫かごに、デコポンに掛ける袋の束を入れて、デコポンを栽培しているエリアに向かいます。

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デコポンの木が植わっているところに着くと、木の枝の葉っぱに混じって緑色の袋が欠けられている実があるのが分かります。

ミーモ「この袋を掛けるんだね。他のミカンは掛けないのにどうして袋を掛けるの?」

先生「デコポンはこの状態で冬を越すから、寒さ対策として袋がけをするんです。この袋はこんなふうに二重構造になっていて、真ん中に切れ目が入っていて、こっちの端は針金が入っています。今から袋がけの説明をするので、専攻生と一緒にきいて下さい。」

先生は近くの木の手頃なデコポンを使って、作業のやり方を教えてくれました。

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先生「それでは、今日もデコポンの袋がけをします。もう一回やり方をおさらいしますよ。まず、この袋は真ん中に切れ目があって、右の端の紙の中に針金が入ってるな。デコポンはこんなふうに実が付いているので、まずは実の近くの葉っぱを2~3枚取り除いて下さい。」

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先生「袋をこのように持ち、実に袋をかぶせたら、真ん中の切れ目に茎を合わせます。

そうして、右側と左側の端から蛇腹に折っていって、…最後に針金を外側からぐるっと茎に巻き付ける感じで…こうします。」

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ミーモ「なるほど、針金の所を枝にぐるっと巻き付けておけば、簡単には外れないね。」

先生「そうですね。たくさんあるから、大変だけど、ひとつずつ丁寧にお願いします。」

専攻生たちはそれぞれの持ち場に分かれ、黙々と作業をしていきます。

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何個か袋掛けしていくうちにだんだん作業に慣れ、効率よく作業できるようになると、デコポンの木に目立っていたオレンジ色が減り、その代わりに袋のみどり色が増えていきます。12月の肌寒さこそあれ、日当たりがよく風のない小春日和の果樹園で、専攻生たちは手際よく袋がけを行いました。

ミーモ「実は大きくなってきているし、こんなに黄色いけど、まだ食べられないの?」

先生「そうですね。この状態で年を越して、収穫した後は倉庫でさらに予措(=よそ:酸を抜くために保管すること)すると、甘くなって食べられるようになります。」

ミーモ「農経のデコポンは春祭りでたくさん販売されますよね。…ふーん、食べられるのはまだまだ先だなぁ。…。」

そうこうしているうちに終わりの時間が近づいてきました。

先生「はい、それじゃ、そろそろ時間なので各自あと2個袋を掛けたら、終了して倉庫に移動して下さい。」

専攻生「はーい。」

専攻生は最後の袋がけを終えると倉庫に戻り、片付けをしてトラックに乗って、農場本部に帰りました。

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農場の果樹の管理室前で集合点呼をして今日の専攻の授業は終了です。

ミーモは専攻生が掛けてくれた袋に守られて冬を越したデコポンが、どんな味になるのか楽しみになりました。