ミーモの「養豚 出荷と出産」

農場の草花部門や果樹部門のハウスがある所では毎年、春休みのこの時期にスモモの花が見頃を迎えます。

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ミーモ「大きなスモモの木が二本ありますね。」

果樹の先生「手前がハニーローザで、奥が大石早生という品種です。ハニーローザは初夏に収穫できる赤い果肉の品種です。」

ミーモ「ジャムにするとおいしいから、毎年楽しみにしています。」

果樹の先生「今年もたくさん出来るといいねぇ。」

春休みの三日目は少し風が強くて気温の低い朝を迎えています。これでも平年並みと言うことですが、週末は暖かかったので寒く感じます。スモモの花だけではなく、運動場や農場付近の桜も一気に開花が進みました。今日もたくさんの農経生が農場に集合しています。

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集合点呼のあと、今日の担当の先生からお話があります。

先生「今日は人数が多いですね。今この時期の作業は各部門とも、春からの準備作業が多いと思います。春休みが終わったら皆さんはそれぞれに学年が上がって上級生になりますが、一つ一つの作業をなんのためにするのか、どのような意味があるのか、考えながら作業しましょう。」

今日は養豚部門で出荷作業が行われると聞いたので、ミーモは豚舎の方に行ってみました。

ミーモ「先生、おはようございます。今日は出荷だと聞いたので見に来たのですが、当番の生徒は2人だけなんですか?」

先生「おはよう。今日は出荷が11時からなので、それまでは一般管理とちょっとだけ出荷の準備を当番生徒がします。10時過ぎぐらいに専攻生が全員揃うと思うので、それから出荷の打ち合わせと準備をします。」

当番生徒は、餌やりや豚舎の水洗いなどの一般管理をしています。

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先生「この豚は出産間近です。おそらく、今日中には出産が始まりそうですよ。それでは、ここのところ、糞出しをして、おがくずを多めに敷いて下さい。」

農経生「はい。」

先生「それが終わったら、今日の出荷の流れを説明するので、こちらに来て下さい。」

当番の生徒は糞出しをして、母豚のお尻の位置に多めにおがくずを敷き終わると、豚舎の机のまわりで今日の出荷作業の流れの説明が始まりました。

先生「それでは、今日は豚の出荷があります。出荷と同時に豚をたくさん移動させるので、通路にあるものを移動の邪魔にならない場所に動かします。」

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先生「餌の入った一輪車は、その通路の奥に動かして下さい!」

農経生「はい。」

一輪車を動かそうとすると、豚たちがそわそわし始めました。豚舎の中で暴れたり大きな鳴き声を上げたりしている豚もいます。

先生「こんなふうに、私が普段と違う動きをしていると、豚たちもなにかを感じるみたいなんですよね。」

ミーモ「そうですね。明らかに落ち着きがない様子です。」

先生「これはこの場所にこの向きで置いて下さい。」

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2人の当番生徒は、豚の体重計を動かして通路を塞ぐように移動させました。

他にも通路をせき止める板を動かして、出荷や移動がスムーズに行えるように準備を行います。

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先生「それでは、次に今日出荷する豚に『豚熱ワクチンの接種が終わっています』という印を付けます。この赤いスブレーで豚の背中に『V』のマークを付けて下さい。」

ミーモ「動き回る豚に印を付けるのは難しそうだなぁ」

先生「コツは豚の背中にスプレーを押しつけ、手早く印を付けることです。」

農経生「うまく出来るかなぁ。」

先生「この段ボールが豚だとすると…こんな感じです。ちょっと練習してみて。」

農経生「…(シューッ‼)…こうですか?」

先生「そうそう。では、やってみましょう」

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そうこうしているうちに、養豚部門の専攻生たちが集まってきました。先生は専攻生を集めて今日の作業を詳しく説明し、手順の確認を行います。

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先生「それでは、プリントをよく見て下さいね。まず最初に肥育豚房の豚をトラックに乗せて出荷します。すると、肥育のこことここが空になるので、そこに育成豚房のここの子豚とここの子豚を移動して入れます。次に空になった育成豚房に分娩豚房の赤ちゃん子豚を移動します。」

ミーモ「なるほど、空いたところに次々詰めていく感じで移動させるんですね。」

先生「そうです。一つ一つの作業を全員でするのではなく、何人かずつに分かれて同時進行で作業を進めると効率よく終わらせることが出来ます。」

ミーモ「でも、場所を間違えないように気をつけながら作業をするのが難しそうだなぁ。」

先生「たしかに、慣れたら早くできるのですが、この専攻生たちは今日が初めての出荷作業なので、ちょっと手間取るかもしれませんね。」

トラックが来るまで、まだ時間があるので、先に子豚や親豚のワクチン接種をします。

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トラックが豚舎裏に到着しました。いよいよ出荷です。まずは十分に大きく育った豚をトラックに乗せます。

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次に仕切りの位置を変えて、子豚の移動。

なかなか言うことを聞かない豚は、赤い板でお尻の方から押して動かします。

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赤ちゃん子豚も移動。まだ子犬ぐらいの大きさなので、こちらは比較的スムーズです。

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最後に豚が通った通路や使った道具を高圧洗浄機で洗い流します。豚を移動すると、食べる餌も変えなければいけないので、餌箱も外して洗います。その間に、豚を移動した結果、現在どこの豚房に何頭のどんな豚がいるのか、ホワイトボードの表を更新します。

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専攻生「ミーモ、子豚が生まれているよ!」

ミーモ「え、どこどこ?」

見に行ってみると、すでに小さな子豚が生まれています。生まれたばかりの子豚はまだへその緒が付いたままで、目もほとんど開いていませんが、一生懸命お母さんのおっぱいを飲もうとして動き始めています。

先生「早かったですね。この調子だと、これから少しずつ産んでいく感じかなぁ。」

ミーモ「母豚は初産ですか?」

先生「いや、今回が2回目ですね。まだ若いから、へその緒が太いですね。」

ミーモ「個体差はあるけど、どれも元気そう。」

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お昼が過ぎたので、午前中の作業は一度終了です。

先生「当番の2人は昼食後、今度は集卵作業。明日の当番は、親豚の移動をします。専攻生よろしくお願いします。」

専攻生「はい。」

先生「それでは終わります。」

農経生「脱帽、気をつけ、礼。ありがとうございました!」

挨拶のあと、分娩房でミーモは子豚が生まれる瞬間に立ち会いました。「生まれたばかりの子豚は小さくてかわいいなぁ。無事に育ってくれるといいなぁ。」と思いました。