第12回 ミーモの「ベリーの収穫」

6月下旬で快晴の今日も、1年生が元気に実習に励んでいます。

まずは農場本部前の点呼です。


 
先生「気をつけ、礼!…頭が下がっていない人がいます。
もう1回やり直し‼…気をつけ、礼‼」


全体に緊張感が漂います。

ミーモ「実習には危険な作業もあるから、気を引き締めてやらないといけないなぁ。」

先生の話のあと、各部門に分かれて実習が始まります。

ミーモ「最近、ブルーベリーの収穫をやっているみたいだから、今日は食農科学科の園芸利用の見学に行ってみよう!」

ミーモは加工室に向かいました。





加工室前では、今日の2類の実習に当たっている1年生8人が集合しています。

先生「それでは、今日はラズベリーとボイセンベリーとブルーベリーの収穫を行います。作業の内容は実際に見ながら説明した方がわかりやすいので、早速ブルーベリーの畑に移動しましょう。」

1年生たちは歩いて5分ほどのブルーベリーの畑に移動しました。


 

先生「ここにあるのが今日収穫するものです。それでは実習手帳を出して、今から言うことをきちんとメモして下さい。ラズベリーとボイセンベリーは何科でしょう?」

1年生「………」

先生「ラズベリーとボイセンベリーはバラ科です。ブルーベリーはツツジ科です。こないだまで学校のツツジがきれいに咲いていましたね。あの時期より少し早くこのあたりの花が咲いていて、それで、今頃収穫期を迎えています。」


 

先生「それではまずはラズベリーから説明します。一番手前の、こんもりした、これがラズベリーです。ラズベリーは完熟した真っ赤な実だけをこうしてつまんで、実の部分を収穫します。真ん中に白い芯のようなものがあって、これを『花托(かたく)』といいます。この部分はとりません。」
 

 



先生「こっちがボイセンベリーです。上の支柱に巻き付いている部分に実がなっています。下にもツルが伸びて地面に垂れていますね。これを結果枝(=けっかし)といいます。来年はこの枝に実が付きます。だから絶対に踏まないように気をつけて下さい。ボイセンベリーは黒い実を選んで収穫します。赤いのはまだ未熟です。」

 


先生「それでは、まずこの2種類のベリーの収穫をします。ラズベリーは木が少ないから女子の二人で手分けして収穫して下さい。男子はボイセンベリーの収穫をして下さい。バラ科の植物なので、トゲがありますよ。汁が付いたりトゲが痛かったりする人は、このビニール手袋を使って下さい。」


生徒たちはそれぞれ、自分の持ち場に移動して収穫します。

 
  
ミーモ「うわぁ、茎に小さいトゲがたくさんあるなぁ。」

茎にはトゲがあり、葉っぱがざらざらしていて取りづらいですが、葉をかき分けて下からのぞくと、熟した実がたくさんなっていて、探すのにはまってしまいます。

先生「取り残しがないように気をつけて下さい。木の周りをぐるっと回って、葉っぱを下からのぞいて、残らず収穫して下さいね。」

1年生は畑をぐるっと回って一通り収穫を終えました。

先生「それでは、かごをこちらに持ってきて、ひとつにまとめて下さい。まとめたら木陰に置きましょう。次はブルーベリーの収穫です。」




先生「次はブルーベリーの収穫です。みなさん、これがなにか分かりますか?

先生が木の葉を一枚みんなに見せました。

    

先生「これはブルーベリーの葉です。表から見るとうっすらメッシュ状になっている部分がありますね。裏返してみると…こんなふうにびっしり毛虫の赤ちゃんが付いています。これはイラガの幼虫です。まだ小さいので顎(=あご)が弱くて葉っぱの表面しか食べられません。だから、このように集団でいるんですね。このように小さいうちに見つけるといっぺんに駆除できます。この虫は刺されるとものすごく痛いです。こんな葉っぱを見つけたら知らせて下さい。」

ミーモ「うわ、怖―い。大きいのは見たことあるけど、イラガの赤ちゃんはこんなことになっているんだなぁ。気をつけなきゃ…あ、ここにもメッシュの葉っぱがある!…先生!」

先生「これは大変。葉っぱをちぎりますね。」

 
  
ブルーベリーは、よく見慣れた感じで,みんなも調子よく収穫していきます。

ひととおり収穫したら、集合して収穫したブルーベリーを回収します。

先生「みんな、ラズベリーやブルーベリーの汁で手が汚れましたね。完熟のボイセンベリーは黒いけど、汁はやっぱり赤いですね。これは植物性ポリフェノールといって、果物たちが紫外線をガードするためにため込んでいるものです。黒っぽいのはこれが濃縮されているためです。この植物性ポリフェノールが体にいいと言うことで近年注目を集めていますね。さて、それでは休憩するので給水して下さい。このあとは時間いっぱいまで除草作業です。」



給水後は園芸利用部門が育てているサツマイモやカボチャの畑の除草作業です。先週末の梅雨の長雨で、畝の間には雑草がびっしりと生えています。

先生「ここに道具があるから、これを使って下さい。これは『ねじりガマ』で使い方はこうです。」

先生は左手で草を引っ張りながら、右手に持ったカマの先を草の根元に差し込んでねじりました。

先生「こんな感じで、どんどん抜いて下さい。一列に三人ずつ入って!」

 
  
弓道場横の畑は南向きで日当たりがよく、しゃがんで除草作業をしているだけで、汗が噴き出してきます。20分ぐらい作業をしたところで、先生から終了の声がかかりました。


みんなは収穫したベリーや、除草作業に使った道具を手分けして持ち、加工室前に歩いて移動します。

 
  


先生「収穫の作業は楽しいけど、除草はしんどかったですね。これから暑くなってくるけど、睡眠や食事をじゅうぶん取らないと実習は出来ませんよ。体調管理もしっかりして下さいね。それでは、終わります。」

1年生「脱帽、気をつけ、礼。ありがとうございました。」


ミーモは「2類では加工の勉強だけではなく、いろんな知識が身につくんだなぁ。」と思いました。





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