第11回 チーモの「ピザ&製パン」

先日、農場を散歩していたチーモは、
農場の奥の大きな倉庫の近くに見慣れないものがあるのを発見しました。


ピザ釜です。気になったチーモが見張っていると、
どうも食農科学科Ⅲ類畜産利用部門の専攻生の怪しい動きが目に付きました。

チーモ「…なんか、おいしいものの匂いがする…」

ということで、今日は加工室に食農科学科Ⅲ類の専攻の様子を見に行ってみることにしました。




加工室に来てみると、すでに専攻生が慌ただしく動き回ってなにかを作っています。

テーブルの上を見てみると、

 

チーモ「おいしそうなピザが出来てますね。今から焼くんですか?」

専攻生「はい。」

チーモ「これは、なんの課題研究ですか?」

専攻生「私たちは農場で取れた野菜や、養豚部門が育てた豚の肉で作ったソーセージを使っておいしいピザを作る実験をしています。」

チーモ「やっぱり。農場のピザ釜で焼くんですか?」

専攻生「天気がよければそうしたいのですが、今日は雨降りなので、加工室のオーブンで焼きます。」

チーモ「ピザ釜で焼くと、やっぱりおいしいの?」

先生「オーブンは上火だけで焼きますが、釜だと全体から熱が来るので焼け方が違います。」

チーモ「ふーん…(ピザ釜のピザ、食べたい!!)」

おいしいものが大好きなチーモはピザにのっている具材もとても気になっています。

チーモ「このタマネギも、アスパラも農経産ですか。」

専攻生「はい!…タマネギは少し分厚く切りすぎたかなぁ。それから、このソーセージは先週の実習の時に作りました。」

そんな話をしているうちに、オーブンの準備が出来たので、いよいよ焼いてみます。
熱に気をつけて天板をオーブンに入れ、焼き上がりを待ちます。

チーモ「焼き上がりが楽しみだなぁ。…あっちはなにを作っているんだろう」



別のテーブルでは男子の専攻生が泡立て器で卵白を泡立てています。

チーモ「これはなにを作っているんですか?」

専攻生「私たちは農場の卵を使ったスポンジケーキを焼いています。メープルシロップやキビ糖など、加える砂糖の種類を変えて、焼き上がりの違いを調べます。」

チーモ「なるほど。」


 



オーブンの隣の見慣れない機械の中にも成形された白いパン生地がきれいに並んでいます。

 
  
チーモ「これも課題研究ですか?」

先生「これは、昼休みに販売するパンです。今この発酵機の中で60分発酵させているところです。あと30分ぐらいかなぁ。発酵が終わったら、農経産のソーセージやベーコンを上にのせてから、オーブンで焼きます。」

チーモ「うわぁ、おいしそう。専攻のある日は、1.2年生たちⅢ類のパンを楽しみにしているんじゃないかなぁ。」


別の専攻生は、先生に教わりながら、四角い型にパウンドケーキの生地を流し込んでいます。


 
チーモ「これも農場でとれたものが入っているの?」

先生「はい。農場の奥の杏(=あんず)の実を使ったジャムが入ったパウンドケーキです。…さて、そろそろ発酵が終わる頃かな。」


先生は発酵機から生地を取り出すと、専攻生たちに指示をします。

先生「それでは、ここにソーセージをのせて下さい。それから、ケチャップをこんな感じでかけて、最後にパセリを振って下さい。」

専攻生「はい。…おいしくなーれ、おいしくなーれ…」

専攻生たちは自分たちが作ったソーセージを生地にのせたり、ケチャップをかけたりと、手際よく作業を進めていきます。

先生「ソーセージが終わったら、今度はこっちにベーコンをのせて下さい。」

専攻生「分かりましたー。」

専攻生はサイコロ大に切った農経ベーコンを惜しげもなくたっぷりゴロゴロと豪快に生地にのせていきます。

チーモ「このベーコンは、冬にここで作ったものですね。」

先生「はい。ベーコンは販売するだけではなく、こうして加工品にも使っています。」

 

 

    
  
そうこうしているうちに、先ほどオーブンに入れたピザが焼き上がりました。ピザが焼けてしばらくすると、今度は先ほど専攻生が作っていたスポンジが焼き上がりました。粗熱を取ったらそれぞれ切り分けて専攻生たちが食味調査をします。

この間に、少しオーブンの温度を下げパウンドケーキやソーセージパン、ベーコンパンを焼いていきます。

     
          【焼く前】⇒⇒⇒⇒⇒⇒⇒⇒⇒⇒【焼き上がり】


先生「それではパンを焼いていきます。…200度で、9分ぐらいがちょうどいいかな。」

チーモ「たくさんあるから何回かに分けて焼くんですね。」

先生「そうですね。焼き上がってから少し冷ましてパッキングします。昼休みが始まるころに販売できるように逆算して焼くんです。あまり早くに完成しちゃうと冷めてしまうので、それが難しいところです。」

チーモ「先生はパン屋さんみたいですね。」

先生「いやいや、まだまだです。パンは奥が深いんですよ。」


そうしているうちに、パンやパウンドケーキが次々焼け始めました。焼き上がったパンに含まれる空気を抜くために、先生はテーブルの少し上から天板を落とします。

   
    
先生「パウンドケーキは少し冷まして、明日以降に販売します。」

パウンドケーキは扇風機に当てて冷まします。他のパンは粗熱が取れたらパッキングしていきます。

 
  
これらの作業が終わり、ちょうどお昼になりました。

パッキングしたパンはすぐに販売です。

チーモは「加工室に来ると、おいしいものがおいしい理由がよく分かるなぁ。」とおもいました。自然の恵みに感謝して、今日もおいしく「いただきます!!」





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