第6回  チーモの「南農場のトウモロコシと小玉スイカ」

今日は梅雨の晴れ間がのぞく蒸し暑い天気になりました。

チーモ「今日も三年生が専攻の授業に行っているなぁ。
そういえば、春休みに植えた南農場のトウモロコシは大きくなっているかなぁ。
そろそろ収穫できるはずだから、今日は南農場に行ってみよう!」


チーモは南農場のビニールハウスにトウモロコシの様子を見に来てみました。

南農場では、専攻の授業が始まろうとしています。

実習服に着替えた三年生が管理室前に集合して先生に作業の内容を聞いています。

先生「今日はいろんなことをします。まず、〇〇君と◎◎さんはガラス温室に行ってスイカの管理をしてください。□□さんと■■さんは、路地のトウモロコシの雄花を切ります。△△さんとチーモはトウモロコシの収穫と出荷準備をしてください。」


専攻生「はい。」


専攻生たちはそれぞれ必要な道具を倉庫から出して、持ち場に向かいます。


 
先生「△△さん、あそこの扉を開けて、入って左側の棚のところにある軍手を使ってください。あと、黄色いかごも持って来てください。」

△△さん「はい、わかりました。…チーモ、はさみはこれを使ってね。」


チーモ「はーい、ありがとう。」


チーモは専攻生と一緒に、トウモロコシのハウスに向かいました。

 
  
ハウスに向かう途中の畑では、専攻生が路地トウモロコシの除雄(じょゆう=雄花を切り取ること)をしています。

チーモ「路地のトウモロコシの収穫はもう少し先ですか?」


先生「そうですね。6月上旬の予定です。」


チーモ「おいしいトウモロコシがたくさん取れるといいですね。」


先生「ここにおいしいトウモロコシがあることを動物たちもよく知っているみたいなんです。」


チーモ「えっ!そうなんですか?」


先生「道路側に水路がありますよね。どうもあそこを通ってタヌキやハクビシンなんかが畑に入って、真ん中の方のトウモロコシをかじっている形跡があります。」


チーモ「周りに網を張っているけど。それでも入り込んでくるんですか?」


先生「谷水田の畑は、あぜに面したはじっこの方が被害に遭うみたいだけど、この畑は真ん中まで入って来るから困っています。罠を仕掛けることも考えているんだけどねぇ。」


チーモ「なるほど。おいしいトウモロコシを巡って、動物との闘いがあるんですね。」


ハウスではほとんど収穫が終わったトウモロコシの、茎に残ったそれほど大きくない実を収穫し、その後は茎を根元から刈り取って廃棄する作業をします。
    
 

    

チーモ「このトウモロコシをどうするの?」


専攻生「ハサミで根元と先の余計な茎や葉を切り取って、…こんな感じに仕上げてここに入れて下さい。」


チーモ「はーーい。」




一方、収穫を終えたハウスのトウモロコシは刈り取って、飼い葉切りで小さく刻んで廃棄します。

先生「そこを押さえて、…こんな感じでザクザク切ってください。」


専攻生「はい、分かりました。」


先生がお手本をした後、専攻生が収穫し終わったトウモロコシの茎をザクザク切って細かくしていきます。


となりのハウスでは先生と専攻生が小玉スイカの管理をしています。

チーモ「スイカが大きくなってきましたね。」


チーモは専攻生が赤いネットにのせているスイカや、白い受け皿に乗っている小玉スイカを見ながら言いました。

先生「今年は梅雨入りが早く、小玉スイカにとっていちばん大事な時期に日照時間が少なかったんです。花の開花や受粉がうまくいかなくて、例年通りの収穫が見込めません。」


チーモ「そうなんですか?あちこちにスイカが出来ていて、順調そうなのに。」


先生「本当なら、もっとたくさんのスイカが受け皿に乗っていなきゃいけないんです。これでも例年の3分の1ぐらいですかねぇ。このスイカは受粉してからの積算温度が900度ぐらい必要なんです。これから天気がよくなってほしいです。天気頼みなので、本当に農業は難しい…」


たしかに、よく見ると受粉がすんだのに実が大きくならずに枯れてしまったスイカがちらほら見えます。

チーモ「ハウスの中は寒くはないけど、曇りの日は気温が上がらないから、スイカの生育にも影響が出るのか。梅雨入りが早いと、こんなところに大きい影響があるんだなぁ…」



 
 


そうこうしているうちに、午前中の専攻の授業が終わりに近づきました。最後は管理室前で中間考査の答案返却と解説です。


 

チーモは「トウモロコシの敵は動物たち。閉め切ったハウスのスイカは動物に食べられる心配は少ないけど、天候の影響は避けられない…そうかぁ。毎年、この時期に南農場で取れる農経産の甘いトウモロコシや小玉スイカを何も考えずに食べていたけど…いやぁ、難しいなぁ。」と思いました。




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