第3回 チーモの「みどり摘み」

連休中も農場では、この時期にしなければいけない作業をしている部門があります。
5月の最初の日曜日、今日は環境園芸科デザイン部門の休日当番の様子をお伝えします。

 


今日は風がかなり強く、5月だというのに4月上旬の気温となりました。
デザイン部門では当番の専攻生が3人来ています。
8:30に集合点呼をして、デザイン部門の管理室で今日の作業の説明を聞きます。

    
チーモ「今日はどんな作業をするのですか?」

先生「今日は松の『みどり摘み』を行います。いまから管理室でみんなに作業の説明をするので、専攻生と一緒に来て下さい。」


先生「それでは今日の作業の説明をします。今日は松の『みどり摘み』をします。
『みどり』というのは新芽のことです。新芽は成長したら何になりますか?」


専攻生「松ぼっくり?」

先生「いいえ、枝になります。新芽を放っておくと変な方向に枝が伸びます。そうすると、今まで剪定して、きれいな型を作っていた松の木の形が崩れます。」

チーモ「なるほど、だから新芽を摘むんですね。」

先生「そうです。松の剪定は一般的に年に春と秋の2回行われます。4月から5月にかけて行われるのがみどり摘みです。秋は古い葉を落としたり剪定をしたりする『もみあげ』を11月から12月にかけて行います。」

先生は新芽の摘み方と残し方を黒板に図を書いて説明してくれました。

 

 

 

専攻生「今日は新芽をハサミで切るんですか?」

先生「いや、今日は新芽を手で折り取ります。今の時期のみどりは柔らかいので手でじゅうぶん折り取れます。それにその方が効率がいいからです。剪定バサミを使うと新芽の付け根に密集している松葉を傷つけてしまいます。ただ、素手で作業すると松ヤニで手がベタベタになるので、『みどり摘み』は軍手をはいて行って下さい。」

チーモ「今日はどこの松の木の『みどり摘み』をするのですか?」

先生「今日は見本園の4本の黒松の新芽をとります。それでは倉庫から脚立を運んで、野菜の管理室の下あたりに移動して下さい。」

 

 
    
見本園にある黒松をよく見てみると、新芽が伸びてきているものがたくさんありました。専攻生は手が届くものは手を伸ばして取り、高いところのものは脚立に上がって作業をします。黒松が終わると、池の畔にある赤松の「みどり摘み」も行いました。

先生「昔から日本人は松をきれいに整えるのが好きなんですよ。きちんと手入れをしていないと、見る人が見たらすぐに分かりますからね。」

チーモ「松の剪定というのは単に、伸びた枝を切る、というのではないんですね。」

先生「そうなんです。結構奥が深いんですよ。」

1時間ぐらい作業をすると、一度休憩して次の作業に取りかかります。





先生「それでは、□□君は草花温室横の道路の掃除をして下さい。珊瑚樹の落ち葉をきれいに掃いて集めて下さい。△△君と▲▲君は見本園の管理作業をします。さっき摘んだ松の新芽の片付けと、先生が剪定したヤマモモの枝を集めて捨てに行きます。」

 

   


最後は見本園を一周して、昨日からの強風で落ちた大きい枝を拾います。

 
   
チーモ「昨日からの強風で、大きい枝がたくさん落ちているなぁ。」

専攻生「そうだね。ケヤキや桜の大きい枝が通路にあると作業や通行の邪魔になるし、折れた枝が引っかかったままになっていると、落ちてきたら危険だからね。」

かなり大きな枝が運搬車にいっぱい集まりました。それを枯葉や枝を捨てるコンテナに運んで捨てたら、今日の作業は終了です。

 

  

農場当番に点呼と挨拶をして、今日の作業は終わりです。

専攻生が休日当番の日誌を書き終える頃、向こうから、作業を終えた果樹の先生が歩いてきました。ちょうどこの時期、シャインマスカットが開花の時期を迎えています。ブドウのハウスでは果樹の先生がシャインマスカットが開花したときに行う「ジベレリン処理」という作業や、ブドウの蔓を支柱に巻き付ける『誘引』という作業を行っています。チーモは「庭木でも果樹でも、植物の成長に合わせてそのタイミングでしなければいけない作業がそれぞれあるから、平日も休日も関係ないんだなぁ。」と思いました。





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