第2回 ミーモの「カーネーションの出荷準備」

4月の終わりの日曜日、今日は草花部門が休日返上で
出荷準備をしているということで草花温室にやってきました。

 
  

カーネーションは、母の日に送る定番のプレゼントです。草花部門の温室では赤やピンクのほかにも、黄色や赤紫、白に赤の縁取りが入ったものなど、たくさんの種類のカーネーションが育てられています。

 
  
大型連休を前に、今月末に出荷する予定のカーネーションの出荷前の仕上げ作業を、今日は草花部門の専攻生が全員でしています。

ミーモ「たくさんのカーネーションが並んでいてきれいだなぁ。このまま出荷しても大丈夫そうだけど、仕上げの作業ってどんな作業ですか?」


先生「今日はカーネーションの茎の間にある枯葉をとります。葉と葉の間をよく見て下さい。茶色や黄色の枯葉があるのが分かりますか?今日はこれを一枚一枚取り除いていきます。」


ミーモ「えーっ!!ここにある全部の鉢の枯葉をとるの?」


先生「はい。それが終わったら、明日の専攻の授業で出荷袋をかけて、水曜日の競売にかけるためにカーネーションを市場に出荷するんです。」


ミーモ「なるほど。たくさんあって大変そうだから、僕も手伝わせて下さい。」


先生「それでは、このピンセットと枯葉を入れるバケツを持って、作業をして下さい。椅子に座っての作業となります。あそこの丸椅子も持って行くといいよ。」


ミーモ「分かりました。何色のカーネーションの枯葉取りをすればいいですか?」


先生「専攻生はそれぞれ担当の色が決まっています。ミーモにはあの黄色いカーネーションを頼んでもいい?」


ミーモ「はいよー!」


 

ミーモは鉢を持ち上げ、下からのぞくようにして枯葉を取り始めました。

専攻生「ミーモ、鉢は丁寧に持ってね。となりの鉢に当たると茎が折れたり、つぼみがとれたりするよ。」


ミーモ「はーい。」


茎をかき分けてよく見ると、枯葉はけっこうたくさんありました。作業をしているうちに、ミーモはピンセットの先で葉をつまみ、茎から剥がすようにひっぱるときれいに取れることが分かりました

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みんなで作業を続けたので、ようやく枯葉取りが終わりました。

少し休憩を挟んで、次の作業に取りかかります。

先生「それでは。○○さんはサルビアの鉢上げをします。」

 
    
専攻生は鉢上げの要領も分かっています。ポットの中央にくぼみを作り、小さな苗をピンセットでそっと持ち上げ、軽快なペースで作業を進めます。

先生「▲▲さんと■■さんは、あっちのサルビアの苗のスペーシングをするからこっちに来なさい。」


出荷前のカーネーションの開花を抑制するために、カーネーションの温室の屋根には寒冷紗(かんれいしゃ=日よけ)が張ってあります。その温室に苗を置いておくと苗の生長が抑制されてしまうので、専攻生は温室のサルビアの苗を台車に載せ、ビニールハウスに移動させます。そして、苗と苗の間隔を開けて、これまた手際よく並べ替えていきます。

 
    

別の専攻生は、となりのガラス温室からカーネーションを運んできています。

ミーモ「このカーネーションは別のところで育てていたのですか?」


先生「はい。これは販売用とは別に、□□さんの課題研究のカーネーションです。□□さんは矮化剤(わいかざい)についての課題研究をしています。この三つのカーネーションを見て下さい。」


ミーモ「同じ色だけど、少し大きさが違っているなぁ。矮化剤ってなんですか?」


先生「矮化剤というのは『草丈が大きくなりすぎないようにあたえる成長調節剤』です。」


ミーモ「なるほど。それで、同じ環境で育てているのに大きさがちがうんですね。」


先生「そうです。これが矮化剤の効果です。その品種が最もきれいに見える大きさに育てるために、その品種にあった矮化剤の濃度を調べる実験をしているのです。」


 
  
専攻生「向かって左から『矮化剤を使用しないもの』『40000倍に薄めた矮化剤を使用したもの』『20000倍に薄めた矮化剤を使用したもの』です。矮化剤を使用しなくても大きくなりすぎないものもあれば、矮化剤を使用しないと大きくなりすぎてしまうので少し矮化剤を使用した方がよいものもあるのだということが分かりました。」



ミーモ「あっちの植木鉢に植わっているのはなんですか?」


先生「あれは△△さんの課題研究のひまわりです。△△さん、課題研究の内容をミーモに説明してあげて下さい。」



 
専攻生△△さん「これは切り花用のひまわりです。一つの鉢に何本ぐらい植えたらちょうどよい大きさのひまわりが咲くのか実験しているんです。」

ミーモ「ちょうどよい大きさって、どれぐらいですか?」


専攻生△△さん「切り花なので、すーっと伸びて、ぽん!と咲いている感じです。」


ミーモ「ふーん…すーっと伸びてぽん!ですか。実験結果が気になりますね。」


専攻生△△さん「はい。課題研究発表会で発表するので聞きに来て下さい!」


先生「次はメランポジウムのスペーシングをします。台車であっちのハウスに運んでスペーシングしてください。」


専攻生は苗のトレーをバケツリレーで台車に載せ、それを温室に移動させると、手際よくスペーシングしていきます。

 
  
先生「それが終わったら、道具を洗って片付なさい。」

 
  

専攻生は次々と指示されることをひとつずつこなしていきます。

ようやく正午になって、今日の作業は終了です。


 
先生「今日はご苦労さま。みんなで作業したおかげで出荷のめどが立ちました。今日の当番日誌をきちんと書いておきなさい。あと、□□さんが課題研究で育てたカーネーションは、出荷はできないので、各自で好きな色を選んで一人一鉢ずつ持って帰って観察して下さい。それでは、終わります。」

専攻生「脱帽。気をつけ、礼。ありがとうございました!」


専攻生は日誌を書くと、(お母さんにあげるために…ではなく)観察をするために持って帰るカーネーションを、
今日一番の真剣な顔で選んでいました。日曜日も農場で作業をする農経生はたいへんです。
ミーモは「専攻生は作業するだけでなく、課題研究でいろいろなことを勉強しているんだなぁ。」と思いました。






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【こたえ】