第7回 ミーモの「谷水田の通路の補修」

梅雨入りしてからは珍しく、晴天の日が続いている月曜日、
今日はミーモが1年生の実習を見学しに農場にやってきました。

農場本部に向かう途中、牛舎裏の牧草地の横を通ると、牧草がきれいに刈り取られています。さらに、なにやら機械を使った作業をしているようなので、気になったミーモは様子を見に行ってみました。

 
  
ミーモ「牧草を刈り取ってサイレージ(=牛の飼料)を作っているんですか?」

先生「そうです。もうだいぶ終わったんですけど…」

先生はロール状に巻き取られた草を運搬車で運んできて、それを『ラッピングマシーン』という機械の上に置いてスタートのボタンを押しました。すると、草に白いビニールが巻かれ、あっという間に草がビニールで覆われ、勝手に機械が止まりました。

 

  
 
ミーモ「うわぁ、この機械は面白い動きをしますね!この状態でしばらく置いておくのですか?」

先生「はい。この草には刈り取ったあとで、噴霧器で乳酸菌を散布しています。この状態で3週間ぐらい乳酸発酵させて完成です。」

ミーモ「そうなんですね。暑いけど、牛舎でいる牛たちのために、頑張って下さい!!」




農場本部前では1年生が整列して点呼を受けています。今日から農経高校では制服の更衣が完了すると同時に、農場の実習服も夏服に衣替えです。みんな長袖長ズボンなので一見しても分かりませんが、よく見るとネームのところが白からオレンジに変わっています。


ミーモ「田植えは終わったみたいだけど、作物部門はどんな作業をするんだろう?
よし、今日は作物部門の見学に行ってみよう!!」




ということで、作物部門の管理室の前に来ると、B組の4人とD組の4人が初めての作物部門の実習を前に整列して挨拶をしています。今日は田植えが終わった水田の、水面上に出ている部分を平らにならしたり、通路ののり面の補修をするようです。


  

先生「今日は、水田の田ならしをしてもらいます。今から谷水田に行きますが、田植えが終わった水田の所々に土が水面より上に出ているところが何カ所かあります。そういうところには除草剤が効きません。しかも日当たりがよく、水田から十分な水分が供給されます。雑草の温床になってしまっては困るので、水面に出ている部分をならしてなくします。みんなの後ろにある、あの『長い棒の先に小さな熊手が付いた道具』を持って行って下さい。」



先生「あとは、水田横の通路の下の部分が崩れているので補修します。雨が降ると、通路下の泥が崩れてしまいます。それが用水路に流入すると、水路がふさがってしまいます。今日は通路の下を整地して、そこに土嚢を並べます。」

 
  
先生「それでは、今から谷水田に向かいます。『剣スコ』と『はぐち』と『とうぐわ』を『一輪車』に乗せて持って行って下さい。」


1年生8人は先生の後について谷水田に向かいました。谷水田に着くと、先生はまず、田植えの終わった水田をならす作業の説明をしました。


先生「こんなふうに、水面から出ている泥の部分が見えますか?ここをこうして、こんな感じで、この道具を押したり引いたりしながら、ならして下さい。」

1年生「……はい。」

1年生は、見よう見まねで、おそるおそる水田をなでながら、泥の部分をならしていきます。少しずつ慣れてくると、水田の通路を移動しながら、他の水田をならす作業を行っていました。



先生「残りの人はこっちに来て下さい。皆さんが今立っているところの下の、ここの所が、こんなふうに崩れていますね。ここのところをクワとスコップで崩してならして、土嚢を置いて補修します。この黒い土嚢袋は、よく見かける白い土嚢袋より耐久性があるので、そのぶん値段が高いです。黒い土嚢袋には穴を開けないように,特に注意して作業して下さい。」

 

  
作業を始めると、あっという間に通路がかき出した泥でいっぱいになりました。

1年生「先生、一輪車がいっぱいになったらどうすればいいですか?」

先生「あっちに運んで、捨てます。」

1年生はかき出した泥を『み』に入れて一輪車に運び、一輪車がいっぱいになると
田んぼの上の小高いところに泥を捨て、少しずつ泥を運んで整備していきました。

先生「平らになったところに土嚢を置くので、軽く踏んで下さい。」

 

    
  
しばらくすると、通路と水路の間ののり面に土嚢がきれいに並び、見た目も少しよくなりました。
1年生は汗だくになっています。

先生「では、時間が来たので管理室に戻りましょう。午後から3年生が専攻の時間に引き続き作業をするので、道具はそこに置いたままでいいですよ。」

1年生は使ったスコップやクワを通路脇に寄せ、先生について管理室に上がりました。



管理室の前で、先生から今日の作業についての説明がありました。

先生「農場にはパワーショベルのような重機もありますが、あれを使うと、通路の端の部分を壊してしまうことになるでしょう。重機は大きくて力が強く便利なのですが、今日のような細かい作業にはむきません。みんな今日は汗をたくさんかいたけど、やはりどうしても人の力でしなければいけないんです。今日やった作業は、農作物を触ったり手入れしたりする作業ではなかったけど、作物部門ではこのような作業をする日も多いということを知っておいて下さい。それでは、今日の実習ノートを早めに書いておいて下さいね。」

1年生「脱帽!気をつけ、礼。ありがとうございました!」


今日は泥を掘ったり削ったり運んだりしたのでミーモも汗だくになりました。「農場にある機械は人の力になってくれて本当に便利だけど、汗をかいてする作業もやっぱり必要なんだなぁ」と思いました。




Back