第8回 チーモの「梅の収穫と選果」

6月の初旬は梅の季節です。
農経高校拓心寮の西側斜面には梅林が広がっており、
収穫を控えた梅がたわわに実っています。
チーモは農経産の大粒完熟梅で作った梅干しが大好きです。

チーモ「今日から教育実習が始まっているのか。…おや?実習生も1年生の総合実習に参加しているぞ。よし、今日は果樹部門で教育実習生が1年生と一緒に梅の収穫している様子を見に行ってみよう。」


チーモ「先生、こんにちは。今日は教育実習生が来ていますね。」

先生「そうなんですよ。私もこの学校に教育実習に来たときに、最初に果樹の実習で梅の収穫をしたので、とても懐かしいです。」

チーモ「そうなんですか?ということは、そろそろ梅の実が収穫できる頃ですね。」

先生「はい、今日は梅の実を収穫しています。赤く色づいた実や、大きくなった実だけを選んで収穫します。」

チーモ「この木はずいぶん低いところまで枝が垂れ下がっていますね。」

先生「この木は5月の連休の強風で枝が折れてしまいました。でも、日当たりがいい南側の枝は色づいています。たくさん実がなっているから、今年は大丈夫そうです。」

 

  
  
チーモ「梅は品種の違いが分かりにくいですね。この梅は何という品種ですか?」

先生「これは『白加賀(しろかが)』です。実の表面が比較的ツルツルなのが特徴です。向こうにあるのが有名な『南高(なんこう)』です。『白加賀』に比べると表面に産毛がたくさんついているのが特徴です。梅は自家不和合性が高く『南高』も自家受粉できないので、親和性が高い『白加賀』を植えているんですよ。」


 
チーモ「なるほど、相性がいいんですね。あの木は小さくて若そうだけど、もう実がついていますね。」

先生「梅は実がつき始めるのが比較的早いですよ」

チーモ「今日収穫しない実はどうなるんですか?」

先生「このまま木に残しておいて、梅雨の雨で実が大きくなったら収穫する予定です。」

チーモ「なるほど、だから梅雨と書いて『つゆ』と読むんですね。で、今年の出来はどうですか?」

先生「うーん、樹勢が弱まっているから収量は少ないなぁ。」


1年生の総合実習の時間が終わりに近づきました。各自の収穫かごをトラックの周りに持ち寄り、キャリーケースにゆっくり移してから農場本部に戻ります。

 


    
 
午前中の前半は1年生の総合実習、後半は3年生の専攻の授業です。
3年生の専攻生は梅林の下の方にある別の木の梅を収穫しています。

 


  
チーモ「この木の梅は全体的に大きくて黄色いですね。」

先生「そうですね。完熟に近くてもうだいぶ落ちているので、全部収穫します。」

チーモ「この梅で梅干しを作ったらおいしいだろうなぁ。」

先生「そうですね、このぐらいビワ色になったら梅干しにできるかもしれません。」

チーモ「◎◎君の家では梅干し作らないの?」

専攻生「作ってないですねぇ。」

チーモ「梅干し作ったらいいのに。」

先生「授業でも作ってみたんだけど、消毒がうまく出来ていなかったのか、カビが生えてしまって失敗しました。結構難しかったです。」

そうこうしているうちに、手が届くあたりの低い枝はすべての実を取り尽くしました。さっきまで地面に着いていた枝の先端が、宙に浮いています。

チーモ「キャリーケース何ケース分もの重さから解放されたら、軽くなっただろうなぁ。」

専攻生「あれを全部支えていたって考えたら、梅の枝も大変ですよね。」


農場本部では専攻生の女子が、さきほど1年生が収穫した梅の選別と選果をしています。

専攻生「ここで、虫食いや傷のあるものを取り除き、それを向こうの選果機にかけます。」

 
  
選果機にかけられて大きさ別に分けられた梅の実は、重さを量って袋詰めします。果樹の専攻生たちは、他にもラズベリーのパック詰めをしたり、倉庫の掃除をしたりと忙しそうです。


 
チーモ「よし、今年はこの実でおいしい梅干しを仕込むぞ!」

チーモは専攻生たちが心を込めて育てた梅を、おいしい梅干しにしようと決心しました。





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