第14回　チーモの『牛舎の糞出し＆新堆肥舎』

９月下旬の月曜日、今日はチーモが１年生の実習に来ています。
猛烈な残暑とは行かないまでも、まだまだ日差しがあって気温が高く感じられます。

チャイムが鳴って五分後には農場本部前に集合が完了しています。
まずは点呼と服装検査があり、次に農業科の先生から実習服についての話がありました。

先生「学校の制服も１０月から更衣移行期間に入ります。農場での実習服も、今は全員が夏の実習服ですが、次からは冬の実習服でもかまいません。」

本部前での点呼が終わると、１年生はそれぞれの部門に分かれます。
チーモは久しぶりに動物科学科の養牛部門で糞出し作業を手伝うことにしました。
まずは牛舎の前で点呼があります。

先生「今日は短縮授業なので、いつもより時間がありません。牛の移動は先生たちがしてくれているので、速やかに床替えをして、あとは牛舎の周りの掃除をします。」

チーモ「ふーん、今日はテキパキ作業をしないとお昼ご飯食べる時間がなくなっちゃうなぁ。みんなで協力して作業しよう。」

先生「それでは、スクレーパーとシャベルを準備して、作業に取りかかって下さい。」

牛舎に行ってみると、乳牛が搾乳スペースに集められていて、寝床が掃除しやすいように空っぽになっています。

寝床の床一面に広がる牛糞を、１年生がスクレーパーで糞を寄せ集めます。

次に一輪車とスコップを持った男子がやって来て、集めた糞をスコップですくって一輪車に乗せていきます。

先生「遠慮しないで、しっかり山盛りにして。たくさん乗せて持って行けよ。」

１年生「もう無理－…。」

先生「今は新堆肥舎の工事をしているから、ぐるっと回って捨てに行くこと。運ぶ途中でこぼすなよ。もし、糞がアスファルトの上に落ちたら、すぐにスコップですくって下さい。」

チーモ「そうか、いつもは牛舎前の畑の脇から斜面を下って最短ルートで堆肥舎まで行けるけど、今はぐるっと遠回りして行かなきゃいけないのか。大変だなぁ。ちょっと新堆肥舎も見てこよう。」

チーモ「新堆肥舎の出入り口は工事中で危険なんだなぁ。中はどうなっているんだろう…うわぁ、柱の材木がピカピカ！屋根が透明で格好いい！！」

1年生は重い一輪車を押して堆肥舎まで行くと一輪車の中身を空け、来た道をまた戻ります。
この作業を繰り返すこと数回で、ようやく乳牛の寝床がきれいになりました。

きれいになった寝床に、おがくずと石灰を混ぜたものを置き、スクレーパーで広げます。

きれいになった寝床に牛を戻します。

チーモ「自分でおがくずを広げたり、早速横たわっている牛もいるなぁ。なんか、みんなうれしそう♪」

ひととおり糞出し作業が終わると、こまごまとした牛舎の掃除をします。

先生「あの一番奥の所に藁が積んであるのが見えますか？あれは牛が食べ残した硬い藁の茎です。あれを運搬車に積んで下さい。」

１年生「はい。」

先生「この牛は今週末に出荷予定の肉牛です。」

チーモ「向こうの牛の方が大きいみたいだけど、こっちが先に出荷なの？」

先生「向こうのはＦ１です。わかりやすく言うとハーフです。半分が外国人だから体も大きくなりやすいんです。」

チーモ「たしかに、ホルスタインが混じると顔つきも外国人っぽくなるんですね。」

先生「こっちは和牛です。小さいけど、単価は高くなります。」

チーモ「ふーん」

牛舎の外側の壁には（水飲み場）が付いています。先生が手でゴミをすくってのけ、きれいな水をたくさんくんであげると、すぐに牛が顔を近づけて水を飲んでいます。

チーモ「すごい勢いで飲んでいますね。」

先生「乳牛は一日に何十㍑もの牛乳を出しますからね。一日に２００リットル近くの水を飲むと言われています。」

先生「そこの３人は、こっちに来て。北側と南側の溝の掃除をするよ。」

生徒たちはグレーチング（＝側溝のフタ）を開け、貯まっている汚い水などを掃除します。

他の１年生たちは、牛舎の周りの糞を集めたり、使った道具を洗ったりしています。

そうこうしているうちに実習の終了時間になりました。

先生から「今日の実習ノートはその日のうちに書いておくように！！」という注意があったあと、今日の実習が終わりました。

チーモは「今日の実習も暑かったなぁ。でも、床替えのあと牛たちがちょっとうれしそうだったのが、印象的だったなぁ」と思いました。