第1回 チーモの「農業と環境(1年生)」
ある日の午後、チーモが農場を歩いていると、牛舎裏の畑で何か作業をしている声がしました。
行ってみると、1年生と先生方がトウモロコシを植える作業をしているようです。
1年生の長靴はまだ真っ白でピカピカです。
先生「では出席番号13番と14番の人、こっちに来て下さーい。」
呼ばれた生徒が田んぼの畝のところに近づいていくと
先生は丁寧にトウモロコシの苗の植え方を説明します。
先生「まずは苗をポットごとこの穴に入れてみて、穴の深さを確認して下さい。
次に、ポットから苗をそっと出して、穴の中に置いてみます。
そうして、周りの土を根元に寄せてかけて、軽く押さえたらできあがりです。
それではやってみて下さい。」
1年生は、先生に言われたとおりに苗を植えています。
かなりぎこちない手つきですが、先生はいちいち口出しせず、あえて見守りながら、最低限のアドバイスをしていきます。
1年生の「農業と環境」の授業では全員がトウモロコシの苗を植えて、観察をします。
この時間も、全員が3本ずつ苗を定植しました。苗を植えたら今度は水やりです。
先生「今日は少し多めに水をやります。苗に直接かけるのではなく、マルチにかけて流し込んでいく感じです。誰かやってくれますか?」
先生は近くにいた3人を指名しました。
1年生「こんな感じかなぁ。」
先生「ちょっと水が強いですね。ホースを握って、水量を調節して下さい。
それと、畝の間の通路が水浸しにならないように気をつけてやって下さい。」
この日は少し風が強かったので、すぐにトンネルを作り苗を守ります。
1年生は先生が手際よくトンネルを作っている作業をみんなで見学しました。
先生はまず、トンネルの支柱になる緑色の半円状のパイプを等間隔に畝に立てていきます。
その支柱のうえにビニールを貼り、「マイカ線」(=黒くて平たいひも)で押さえます。
先生「今日は先生がやっているけど、これからは苗の準備からトンネル作りまでみんながやるんだよ!
しっかり作業を見ておきなさい!」
苗の定植が終わると、次は農場本部の二階にある農場管理実習室に移動して、今日行った作業の復習です。
先生はみんなに「農業学習ノート(トウモロコシ【スイートコーン】)」と書かれた黄色いワークブックを配りました。そのワークにはトウモロコシの生育に関する説明が書かれてあり、生育日誌をつけられるように日誌のページもついています。
チーモ「今日植えたトウモロコシは何という種類ですか。」
先生「今日植えたトウモロコシはスイートコーンという種類のトウモロコシで、品種は『ゴールドラッシュ』です。」
チーモ「あ、南農場で植えた品種と同じですね。」
先生がみんなに説明を始めました。
先生「今日、黒マルチのところにペンで数字を書いていたのに、みなさんは気づきましたか?」
1年生「…なにか文字は書いていたけど、よくは見ていません。」
先生「あれは苗と苗の間隔です。」
先生はそう言って「株間」と「条間」の説明をしました。
先生「みんなが植えた畝のマルチは黒マルチだったなぁ。となりの畝は何色だった?」
1年生「…たぶん銀色だったと思います。」
先生「そうですね。今日使った黒マルチには雑草を生えにくくする除草の効果と、地温を上げる効果があります。」
そう言いながら、先生は先生は黒板にマルチの効果を書きました。1年生はそれをトウモロコシノートにメモしていきます。
ほかにも、先生は水やりの仕方や、生育調査について説明しました。
先生「みんな自分が植えた苗の成長が気になりますよね?畑は校舎から離れていて少し遠いけど、毎日だれかが見に行って、水をやったり大きさを測ったり、葉の枚数を数えたりして下さい。」
1年生「はい。」
先生「それではそろそろ時間が来たので、これで授業を終わります。清掃に遅れないように急いで本校に移動して下さい!」
チーモは「農経生は、農場での実習だけじゃなくて、教室での授業を受けて、それを農場で実践しているから農業に詳しくなっていくんだなぁ。こうやって勉強することは大切だなぁ。」と思いました。