第8回 ミーモの「ミディトマトの計測と追肥」

野菜部門のミディトマトは生はもちろん、炒めたり煮込んだりしても、
それはそれは甘くておいしくいただける逸品です。収穫期が長いこともうれしいのですが、

トマトの先生「ミディトマトもそろそろ片付けようと思っています。今日は、ミディトマトを抜いて長さを測ろうと思うのですが、見に来るかい?」

ミーモ「行きます!よろしくお願いします。」

ということで、今日は専攻の時間に野菜部門にお邪魔しています。

 

先生「それでは、今日は二手に分かれます。メロンの担当はハウスで受粉作業を行います。トマトの担当は、ハウスに行ってトマトの計測をします。それでは持ち場に分かれて下さい。」

専攻生はそれぞれ道具を持って移動します。

トマトの先生「▲▲さん、剣スコ持ってきて下さい。■■君はメジャー持ってきて。」

専攻生たちは言われた道具と記録用紙を持って、ミディトマトのハウスに移動します。


ハウスでは手前の数本のミディトマトの下の方の葉が取り除かれ、根元がわかりやすくむき出しになっています。

トマトの先生「それでは、▲▲さん、この根元にこの向きでスコップを入れて、根元を掘り起こして下さい。」

専攻生は先生に言われたとおり、注意深くスコップを入れ根元を掘り起こしました。
先生はトマトの茎を誘引していたヒモやクリップを外し、絡んでいる茎をほどいて行きます。

 

 

  
  
トマトの先生「おーい、■■君、根元の方から引っ張って3号ハウスに移動して!」

専攻生ミーモは、ミディトマトの茎を数メートル間隔で持ち、折れないように気をつけながら近くのハウスに移動します。

  


トマトの先生「■■君、メジャーで測って。みんな記録して下さい。」

専攻生「先生、9m30cmです!」

トマトの先生「花房(かぼう)の数が21段と19段でだいたい40か…」

ミーモ「花房の数を数えるとなにが分かるのですか?」

トマトの先生「ひとつの花房に8~10個ぐらいの実がつくので…」

ミーモ「すごい、1本のトマトの木に350個以上の実がなったということ?!…1本の木に何個の実が着くか考えたら、本当にすごいなぁ。」


トマトの先生「他のミディトマトの片付けはあとでします。このあとは温室のミディトマトの所に移動してトマトの栄養診断をします。」

専攻生たちは温室に移動しました。



温室ではメロンの担当専攻生が受粉作業をしているようです。

ミーモ「メロンの受粉はどうやるの?」

専攻生「まずは雌花を探します。」

ミーモ「どれが雌花ですか?」

専攻生「ここの、根元の所に小さな実の赤ちゃんが着いているのが雌花です。」

ミーモ「あったあった、これですね。で、これをどうするの?」

専攻生「次に雄花を探します。こんなふうに根元が細いのが雄花です。」

ミーモ「ふーん。」

専攻生「雄花の花びらを,こんなふうにクルッとのけるとおしべが出てきます。これを雌花のめしべにチョンチョンとつけて…」

ミーモ「なるほど。」

専攻生「これで受粉は完了です。あとはこの紙テープに今日の日付を書いて、雌花の茎にきちんと巻いて、…一丁上がりです。」

 


   
ミーモ「このメロンは七月頃に食べられるんだっけ?」

先生「メロンは、天候にもよりますが、受粉から55日が収穫の目安です。」

ミーモ「収穫が楽しみですね。たくさんあるけど、受粉作業頑張ってね。」

専攻生「はーい。」




ミディトマトのハウスでは専攻生が葉が着いた茎を何枚か切り取って管理室に持って行きました。専攻生は葉を取り除き、茎を小さく刻んで乳鉢ですりつぶし、その汁を搾って小さな容器に集めました。先生がそれを機械にかけてなにかを計測しています。

 
  

ミーモ「それは何ですか?」

トマトの先生「これは硝酸イオンメーターです。」

ミーモ「トマトの汁をそれで計測するとなにが分かるのですか?」

トマトの先生「トマトの葉に含まれている硝酸イオンの濃度でトマトの栄養診断が出来るんです。」

ミーモ「なるほど。…つまり、それで肥料が足りているかどうかが分かるんですね。」

トマトの先生「そういうことです。…みんな、それぞれのとってきた列の数値を記録して下さい。▲▲さん、3500ppm。■■君のは1300~1800ppm。◎◎さんのは900~1000ppmぐらいか。ということは、ちょっと肥料が足りないのかなぁ…」


トマトの先生「それでは、道具をよく洗って。今からミディトマトに追肥しに行きます。」


先生はみんなを連れて、管理室の裏に回りました。

トマトの先生「さっき植物の硝酸イオン濃度を計測しました。2000ppmぐらいが基準なのですが、肥料が少し足りていないようなので、今からこの『魚骨粉(ぎょこっぷん』を追肥します。肥料がよく効くように水が出てくるところの近くにおいて下さい。」

専攻生「どのぐらいの量を与えますか。」

トマトの先生「そうやなぁ、スプーンに2杯ずつ与えて下さい。」


専攻生たちは先生の指示通り、すべての株に追肥をしました。

 

    
  
トマトの先生「硝酸イオンメーターで栄養診断をしましたが、トマトをよく観察したら肥料が足りているかどうかは大体分かります。この葉っぱを見て下さい。こちらの株は葉が少し黄色いのが分かりますか?こっちの株はよく育っているから葉の色が濃い緑色をしています。それとか、この花の上の部分を見て下さい。花房の上が長く伸びていると言うことは、成長点が長いということです。葉の色がうすい株の先は…ほら、成長点が比較的短いですよね。こういう点に注意して観察すれば、追肥のタイミングや量がわかりやすいんですよ。」

ミーモ「なるほどなぁ。観察のポイントを押さえておけば、トマトのことがよく分かるんですね。勉強になります。」


みんなで追肥をし終えたら、管理室の前で挨拶をして、今日の専攻の時間も終わりです。

ミーモは「データも大事だし、長年の経験や感覚も大事なんだなぁ。」と思いました。





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