おススメ本の部屋へようこそ!

平成29年度より、おススメ本の部屋を開設しました。図書委員と図書部員と司書が、おススメする本を紹介しています。
校内の各所にも掲示していますので、興味や関心を持った人は、気軽に図書館に来て読んでみてください。貸し出し中なら予約も可能です!

おススメ本Ⅰ

『かにみそ』 倉狩聡

2022年3月9日 15時20分

怖さ:★★★★★ 気持ち悪さ:★★★★

人間の言葉が話せる不気味な蟹を拾った平凡な「私」。蟹の食費を稼ぐために始めた派遣の仕事で出会った彼女を、殺してしまいます。何でも食べる蟹に死んだ彼女を食べてもらってから、私の生活は一変してしまいます。(「かにみそ」)
 もう一つの話は、父親が急死した大学生の忍の家に清野と名乗る謎の女が住みついてしまいます。清野は忍を「ノブさん」と呼び、家事を全て引き受け、不気味な植物「百合」を育て始めます。(「百合の火葬」)
 この本にある2つの話は全く別の怖さがあります。特に「かにみそ」は表紙からは想像できないような怖さと同時に、私と蟹の友情に感動する話です。衝撃的なラストなので、ぜひ読んでみてください。

おススメ本Ⅱ

「明日へのペダル」熊谷達也著

2023年10月11日 09時25分

 直木賞作家が贈るロードバイク愛に溢れた小説です。健康上の理由から始めたロードバイク。優一は会社の部下である女性を師匠とし、ロードバイク技術を極めていきます。自転車を通して、優一たちは新たな扉を開いていきます。因みに著者自身もロードバイク愛に溢れ、イベントで受賞する腕前だそうです。

おススメ本Ⅲ

「文豪、社長になる」門井慶喜著

2023年10月11日 09時28分

 高松市に生まれた菊池寛の伝記です。 郷土が生んだ文豪、菊池寛先生のことをよく知る人はどの程度でしょうか。芥川龍之介や直木三十五を親友に持ち、早逝した二人の名前を冠した文学賞を創設したのも菊池寛です。
 日露戦争真っ最中のころ、香川県教育委員会は旧製糸場の地所と建物を購入し、高松市七番丁に図書館を開館させました。明治38年2月10日のことです。中学生の菊池寛は、父親に頼んで 5 銭をもらい、1 ヶ月間有効の入場券を 一番に買い、この図書館を利用しました。「こんまいころはトンボ釣りや百舌(もず)狩りなんぞやに熱中して、ずいぶんわんぱくな坊(ぼん)やったけんど、さすがは血やのう。藩政のころ、江戸へ出て漢詩の名手になったゆう菊池五山(ござん)翁の後裔(すえ)だけある」と街の人はうわさしたと言います。
 伝記がこんなに面白いなんて!と思える本です。

おススメ本Ⅳ

『15歳のテロリスト』 松村涼哉

2021年6月21日 11時25分

ミステリー:★★★★★ 面白さ:★★★★★

 この本は新宿駅に爆弾を仕掛けたと実名を名乗って宣言した少年と、少年犯罪を専門に追う記者・安藤の物語です。

 犯罪によって家族を失った被害者家族、罪を犯した家族を持つ加害者家族の心情がとても丁寧に書かれています。双方の家族がどのように追い込まれていくのかがよくわかり、想像しながら読むことができます。

 初めはとても加害者側を恨んでいた被害者の兄が加害者の妹と協力して、次々と真実に気づいていくところが面白かったです。

 

 

おススメ本Ⅴ

「月と散文」又吉直樹著

2023年10月11日 09時33分

 インパクトのある表紙と又吉さんらしいエッセイの数々。彼の感情をぶつけているのに、どことなく優しく包み込まれる感覚になり、それでいて笑えるほど面白い。「火花」で芥川賞を受賞しただけあって、彼の言葉を巧みに操る技術はさすがとしか言いようがない。難しい表現ではなく、誰にでも伝わる言葉なのに深く考えさせられる文章。どことなく心が休まる本です。
 著者は、オフィシャルコミュニティサイト「月と散文」を開設中。息を呑む美しさに一見の価値あり。又吉さんならではのオンラインコンテンツです。

おススメ本Ⅵ

「教室に並んだ背表紙」相沢沙呼著

2023年10月11日 09時35分

 学校図書館を舞台に、先生と学生たちの優しい物語です。
 学校で辛い気持ちを抱えている人には特に響くかも。本を通して勇気をもらったり自分を少しずつ好きになれたり…。窮屈な世界が少しずつ拓(ひら)けていきます。素敵な大人になれそうな予感。6人の少女たちを繊細に描く連作短編集。
 ミステリー作家だけあって、ラストのタネ明かしはさすが!