おススメ本の部屋へようこそ!

平成29年度より、おススメ本の部屋を開設しました。図書委員と図書部員と司書が、おススメする本を紹介しています。
校内の各所にも掲示していますので、興味や関心を持った人は、気軽に図書館に来て読んでみてください。貸し出し中なら予約も可能です!

おススメ本Ⅰ

『潮騒』三島由紀夫

2022年6月30日 10時48分

恋愛:★★★★ 純粋:★★★★★

 島の若い漁師の新治は、ある日ひとりの少女「初江」と出会います。新治と初江は心を通わせ、また会うことを約束します。そんなとき、新治に思いを寄せていた千代子が初江の悪い噂を流し、それを知った初江の父親はふたりが会うことを禁止します。しかし、ふたりの思いは募っていき…。
 この本は、度重なる困難や苦悩を乗り越え、ふたりが愛を育む姿が描かれており、読むと心がきれいになります。新治の恋敵である安夫との対決は、本当の愛とは何なのかを考えさせられます。純粋な恋愛小説が読みたい方には特におすすめの一冊です。

おススメ本Ⅱ

「明日へのペダル」熊谷達也著

2023年10月11日 09時25分

 直木賞作家が贈るロードバイク愛に溢れた小説です。健康上の理由から始めたロードバイク。優一は会社の部下である女性を師匠とし、ロードバイク技術を極めていきます。自転車を通して、優一たちは新たな扉を開いていきます。因みに著者自身もロードバイク愛に溢れ、イベントで受賞する腕前だそうです。

おススメ本Ⅲ

『N』 道尾秀介

2022年7月13日 10時53分

読み進める楽しさ:★★★★★
本のギミック:★★★★☆

 この本は、全六章で構成されている小説ですが、読む順番は自由という新しい形の小説です。自分が読みたいと思った章から好きに読むことができるため、720通りの物語を楽しむことができます。
 一章ごとに本文が上下逆転して印刷されていたり、本のギミックのおもしろさに驚かされます。読み進める順番は自由ですが、どの章にもほかの章との共通点があり、自分が今読んでいる章に読んでいた章がちょうどリンクしていたり、〇章の後に〇章を読んでいたらもっと別の感想を抱くかもしれない、と考えたりするのが、この本の醍醐味だと思います。
 読み方を変えて何度も読み直したくなる作品です。

おススメ本Ⅳ

「朝のあかり」石垣りん著

2023年10月11日 09時32分

 「詩人・石垣りん」ではなく今回はエッセイの総集編。「私の前にある鍋とお釜と燃える火と」「表札」「空をかついで」などの作品は、中学校や高校の国語教科書でご覧になったことがあるかも。
 2004年、84 歳で亡くなる前に3冊のエッセイ集が刊行されましたが、その中から71篇を選んで収録されたのがこの本。
 長年、丸の内の日本興業銀行で働いてきた彼女。大組織のいちばん低い場所で働いてきた彼女だから書けた作品も数多い。なぜ詩を書くのか?という新聞記者の問いに、〈長いこと働いてきて、人の下で、言われたことしかしてこなくてね。でも、ある時点から自分のことばが欲しかったんじゃないかな。何にも言えないけれど、これを言うときにはどんな目に遭ってもいいって〉
 この本には、凛とした、明晰なことばとともに、個として生きる喜びと哀しみが刻まれています。

おススメ本Ⅴ

「月と散文」又吉直樹著

2023年10月11日 09時33分

 インパクトのある表紙と又吉さんらしいエッセイの数々。彼の感情をぶつけているのに、どことなく優しく包み込まれる感覚になり、それでいて笑えるほど面白い。「火花」で芥川賞を受賞しただけあって、彼の言葉を巧みに操る技術はさすがとしか言いようがない。難しい表現ではなく、誰にでも伝わる言葉なのに深く考えさせられる文章。どことなく心が休まる本です。
 著者は、オフィシャルコミュニティサイト「月と散文」を開設中。息を呑む美しさに一見の価値あり。又吉さんならではのオンラインコンテンツです。

おススメ本Ⅵ

「教室に並んだ背表紙」相沢沙呼著

2023年10月11日 09時35分

 学校図書館を舞台に、先生と学生たちの優しい物語です。
 学校で辛い気持ちを抱えている人には特に響くかも。本を通して勇気をもらったり自分を少しずつ好きになれたり…。窮屈な世界が少しずつ拓(ひら)けていきます。素敵な大人になれそうな予感。6人の少女たちを繊細に描く連作短編集。
 ミステリー作家だけあって、ラストのタネ明かしはさすが!